・・・ゆめみる魚・・・
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#191 [向日葵]
「は、はぁー……。」
「松川君はずっと側にいてくれて、お世話してくれる夫婦より、何より私の心の拠り所だったの。そんな彼に、どんどん惹かれていったわ。」
微笑んでいたつぐみさんの顔が、急に暗くなった。
「でもね……。」
********************
松川君と付き合える事になった私は、彼を物凄く束縛してしまったの。
「ねぇ松川君。さっき喋ってたのって、2組の林さんよね?」
「それが、何?」
私は彼を誰にも捕られたくなくて、特に女の子との接触を何より嫌ってたの。
:08/02/04 00:35
:SO903i
:☆☆☆
#192 [向日葵]
「彼女がいるんだから、あまり周りの子と喋らないでよ!そういうのヤダ!!」
「あー……分かった分かった。」
最初は、松川君も私の気持ちを尊重してくれたの。
でも私は頭に乗って、松川君を更に縛りつけた。
「また喋ってた!ヤダって言ったじゃない!」
「用事があるんだから仕方ないだろ!」
「伝言で誰かに言ってもらえば済むことじゃない。」
私は両親を亡くした事から、大切な人が自分から離れていく事を極端に恐れたの。
:08/02/04 00:40
:SO903i
:☆☆☆
#193 [向日葵]
あの時の私は、松川君を縛りつける事で、なんとか自分の方へ気持ちを向けさせてたけど……。
物には、限度ってものがあるから……。
「もういい。普通の友達に戻ろう。俺……疲れた。」
そう言われた瞬間、私の中で何かの歯車が狂って、気づけば、泣き叫んでいたわ。
ちょっとした精神病にかかっていた私は入院。
当然、彼とは、自然消滅して、それから会う事はもう無かったの。
*******************
「だから、また会えた時嬉しかったの。もう1度、前みたいに戻りたいって。そう思ったら、また暴走しかけてる自分がいるのよね……。」
:08/02/04 00:45
:SO903i
:☆☆☆
#194 [向日葵]
つぐみさんの話を聞いてる半分、私は違う事を考えていた。
私とつぐみさんは、あまりに似すぎている。
違う所と言えば、思想。
つぐみさんは何かを失った事により、真と言う限りある存在に執着した。
私は失った事によって全てが嫌になり、目を背けている。
真は何故私を引き取ったのだろう。
実は前から気になっていたのだ。
もしかして真は、自分のせいでつぐみさんを壊してしまい、修復出来なかった事を今でも後悔してるんじゃないのだろうか。
:08/02/04 00:49
:SO903i
:☆☆☆
#195 [向日葵]
そして、同じような境遇の私が出現した事によって、今度こそ助けたいと思ってるのではないだろうか。
私は……ただの代わりか。
ならもうごっこはいらない。
好きなようにつぐみさんと過ごせばいい。
そうすれば、私はまた夢の中へといけるのだから……。
話している最中に来た紅茶の代金を机に出して、私は席を立った。
「そんなに心を縛らなくても大丈夫。大事にしたいと思えば、おのずと結果は見えてくる筈だから。」
:08/02/04 00:53
:SO903i
:☆☆☆
#196 [向日葵]
軽く頭を下げて、私は喫茶店を後にした。
車が行き交うのを目の前で見ながら、私はぼんやりと考えていた。
ごっこも終わり……、若者改造計画も終わり……。
なら、真にとって私はお払い箱だ。
そうしたら、必然的に私はあの家を出なくちゃいけなくなる。
また……振りだし。
真はちゃんと次の場所を探してくれるだろうか。
それともアイツの事だから、自分で探せとか言うかな。
:08/02/04 00:57
:SO903i
:☆☆☆
#197 [向日葵]
結局私は、誰かの特別な存在となる事はあり得ないんだ。
流されて海を漂う流木を止めてくれるものは何も無い。
私も正にそのようなものだ。
早いとこ、荷造りしておこう……。
いつものマンションについて、私は私専用の鍵でドアを開けた。
入れば、靴があった。
真が帰っているらしい。
黙って部屋に行こうとすると
「ただいまくらい言えんのか馬鹿たれ。」
:08/02/04 01:01
:SO903i
:☆☆☆
#198 [向日葵]
振りむけば、リビングに続く出入口に、真が腕を組みながらよっかかっていた。
私は真を見た途端に、何だか疲れがどっと体を襲った。
「自分だって言わない時あるじゃん。私にばっかり咎めないでよ。」
えらくツッケンドンした言い方になった為か、真は片方の眉を上げた。
「どうかしたのか?何をイライラしてる。」
「どうもないっ。疲れてるだけっ。いちいち私に口出ししないで!」
「なんだよお前。月1のアレか?」
:08/02/04 22:53
:SO903i
:☆☆☆
#199 [向日葵]
おどけた口調の真になんだか腹が立って、持ってたカバンを投げつけた。
「もう嫌!なんで私がアンタの言う通りにならなきゃなんないの?!アンタが提案したゲームだって全然楽しくもない!」
「おいみかげ。落ち着けって。」
「夢を見るな現実を見ろ?一番現実見ずに代わり作ってるのはどこの誰だよ!」
「……何の話?」
真は怪訝そうに顔色を変えた。
心外とでも思ってるのだろうか。
いや、代わりになってた私の方が心外だ。
:08/02/04 22:58
:SO903i
:☆☆☆
#200 [向日葵]
「今日、つぐみさんと会った。アンタの過去の話も聞かせてもらったよ。」
「それで?何よ代わりってさ。」
「とぼけないで。自分が一番分かってるくせに!」
それでも、真は分からないと言った表情を浮かべている。
「真は……つぐみさんが好きなんでしょ。私の歳ぐらいだった時のつぐみさんを救えない代わりに、同じ境遇の私を救う事で満たされようとしてる。違う?」
真は黙ったまま私を見ていた。
その顔からは、動揺も、困惑も見当たらない。
:08/02/04 23:03
:SO903i
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