・・・ゆめみる魚・・・
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#211 [向日葵]
拍子抜けした。
玄関の電気をパチンとつければ、オレンジ色の温かい光が辺りを照らす。
フゥとため息をついて、風呂の用意へ向かう。
風呂が出来るまでと、リビングでテレビを見る。
対していい番組なんてなかったけど、とりあえずつけとく事にした。
その時、ニュース速報の音が流れた。
反射的にその文字の所を読む。
内容は車の大規模な事故があったとの事だった。
しかも事故が起こった場所は、この近くの道路だった。
:08/02/06 23:54
:SO903i
:☆☆☆
#212 [向日葵]
私は吐き気に襲われた。
車事故で亡くなった両親……。
もしかして……松川も……巻き込まれたとかじゃ……。
アイツは車通勤だ。
その可能性は大いにある。
な……なんで私、こんなに動揺してるんだろう……。
私はソファーに座ったまま、動けないでいた。
大丈夫。なにかあれば、電話くらいかかってくるだろうし。第一事故に遭ったと決まった訳じゃないし……。
:08/02/06 23:58
:SO903i
:☆☆☆
#213 [向日葵]
心配するだけ……無駄なんだってば……。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
ガチャガチャと言う、せわしない音が玄関から聞こえたのは、それから2時間してからだった。
あれからソファーに座りっぱなしだった私は、弾かれたように立ち上がり、玄関の方へリビングの出入口から顔を出した。
そこには、靴を脱いでる途中の松川がいた。
無意識にホッとする自分をよそに、松川に何も言葉をかけず、部屋へ行こうとした。
:08/02/07 00:02
:SO903i
:☆☆☆
#214 [向日葵]
「……おかえりとか、言ってくれないの?」
茶化した、だけど疲れているような松川の声に、私は足を止めて振り向いた。
「なんか、別にいっかなって。疲れてんなら風呂入りなよ。」
「ってかなんでお前まだ制服?」
「……さっきまで、多香子と勉強してたから。外で。」
本当は2時間前だけど。
松川はゆっくりと私の前にやって来た。
「遊びほうけてんじゃねぇぞみかげ。」
:08/02/07 00:05
:SO903i
:☆☆☆
#215 [向日葵]
その言葉にカチンと来た。
確かに半分遊んでたけど、勉強してたのは確かだ。
どんな理由か知らないけど、遅くに帰ってきた松川に、そんな口きいて欲しくない。
そんな思いを募らせていると、フワリと何かが匂ってきた。
「……香水……。」
私は呟いた。
確かに、おばさんがつけてるようなのではなく、優しい草花のような匂いが私の鼻まで届いた。
:08/02/07 00:09
:SO903i
:☆☆☆
#216 [向日葵]
松川は私の呟きは聞こえていない。
そして何故か、さっきより距離を詰めていた。
思わず、少し後ずさる。
「何……。」
「抱き締めさせて。」
と、有無を言わせず私の手を引いた。
もう少しで抱き締められるという瞬間、私は見てしまった。
首筋に、前よりついてる赤い痕。
カッターの襟に、少しだけついてる口紅。
さっきより増して香る、香水の匂い。
:08/02/07 00:13
:SO903i
:☆☆☆
#217 [向日葵]
気づいた時には、私は松川を力一杯両手で押し退けていた。
松川は、少しだけしか下がらなかったけど。
「……?どうした。」
「やめて……。いい加減にして……。」
「みかげ……?」
馬鹿みたい。
何が事故かも、よ。
やっぱり無駄だった。
さっさと風呂に入って寝てれば良かった。
事故かもと思ったら、連絡があるかもしれないと、私はリビングから動けずにいた。
:08/02/07 00:17
:SO903i
:☆☆☆
#218 [向日葵]
そんな忠実な犬みたいに、待っていただなんて。
自分に笑ってしまう。
「アンタ、何がしたいの?私で遊ぶの、もうやめてくんないかな……。私そんな、暇じゃないんだよ。」
「遊び?別にそんなつもりは」
「じゃあ何?つぐみさんが遊び?だから痕が残るような行為出来るの?」
松川は「痕?」と呟いた。
「この前も、首に赤いの、残ってたよ。知らなかったの?」
:08/02/07 00:20
:SO903i
:☆☆☆
#219 [向日葵]
そこまで言うと、松川はようやく気づいたのか、ハッとして首を右手で押さえた。
「結局好きなんでしょ?だから私に抱きつかないで。私もアンタに刺激を求めない。だから好きなように動きなよ。もう……ごっこは終わりだ。」
そこまで言ってから、私は胸が苦しくなった。
何でこんな気分にならなくちゃいけないんだ。
夢を見てれば、全て楽に毎日が過ごせたのに……。
眠れないのも、夢を見ないのも、頭がぐちゃぐちゃになるのも……全部松川のせいだ。
「それで早く……私を別の所に連れていけばいいよ。」
:08/02/07 00:25
:SO903i
:☆☆☆
#220 [向日葵]
「みかげ。……そんなつもりな」
「早く追い出せっつってんでしょ!!」
松川の言葉を遮って、私は叫んだ。
もうとっくに気づいていた事だ……。
「荷物なら、それなりにまとめとくから……。」
「みかげ……!」
松川の声を、部屋のドアを閉める音でかき消す。
それから私はベッドに倒れるようにして寝転んだ。
涙が流れた。
:08/02/07 00:29
:SO903i
:☆☆☆
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