・・・ゆめみる魚・・・
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#251 [向日葵]
「あの子良い子だね。お友達になれて嬉しいっ。」

あぁ……友達になっただけか……。

「……松川君。私と、やり直してくれないかな……。私あの頃とは少しは変わった……」

「それは出来ないっていっただろ。」

出てきたビールの気泡を眺めながら言った。
隣から、つぐみの悲しそうな視線が突き刺さる。

「友達……でも、ダメ……?」

「……。」

「ダメなの……っ?」

⏰:08/02/10 12:43 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#252 [向日葵]
深くため息をついて、出てきたつまみを一口食べた。

「あんまり……連絡すんなよ。」

隣をちらりと見れば、つぐみは嬉しそうに頷いていた。

「よし!今夜はいーっぱい飲もうね!」

とつぐみはビールを頼み始めた。

友達関係なら、昔のようになれるだろう。

俺だって、つぐみが嫌いな訳じゃない。
出来れば、わだかまりを無くしたいと思ってたから。

⏰:08/02/10 12:50 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#253 [向日葵]
また楽しく、つぐみと過ごせる事は嬉しく思う。

*******************

あぁ……なんてお人好しなんだ私。

テーブルの上に並べた料理の数々を見ながら私は思った。

毒されてるなぁ……真に。

まぁ、なんだかんだで私を養う為に働いてるんだし。
恩を返せと言われる前に少しでも返してやろうじゃないか。

「さて……風呂入って勉強すっか……。」

⏰:08/02/10 12:57 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#254 [向日葵]
・・・・・・・・・・・・・・・・

コチコチと秒針が鳴り響く。

時間は午後9時。

真が遅くなると言っても、週末ではないから、もうそろそろ帰ってくる筈なのに、「帰って来ないなぁー。」とか思いながら私は教科書とにらめっこしていた。

……って、心配なんかしなくてもいいか。

前みたいに、心配して自分が馬鹿な思いをするのはもう嫌だ。

……でも。

⏰:08/02/10 13:04 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#255 [向日葵]
私は、帰って来ると信じて、帰って来なかった絶望を……知っている。

教科書から目を話して、近くに置いていた、「ゆめみる魚」を手に取る。

表紙を見た後、ギュッと抱き締める。

「お母さん……。」

私、どうしたらいいかな……。
分からない。
自分の事なのに……。

……何1つ。
……どれ1つ。

⏰:08/02/10 13:14 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#256 [向日葵]
ガチャガチャと、鍵を開ける音が聞こえたような気がした。

うっすらと目を開ける。

……え。

「朝ぁっ?!」

周りはシーンと静まりかえり、部屋には朝日の暖かな陽射しが差し込んでいた。

「あ……つつつつ……。」

机に伏せたまま寝てしまったので、体のいたる所が痛い。

⏰:08/02/10 17:18 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#257 [向日葵]
と言うか、いつの間に寝たのやら私。

手には絵本が抱き締められたままだった。

あ、そういえば。

部屋を出て、玄関の方を見る。
何も人の気配が感じられなかった。

ぼんやりしながら、リビングへ向かうと、昨日用意した料理がラップをかけられたままだった。

真帰って来なかったんだ……。
やっぱり仕事だったのか?

ソファーに目を向けると、脱ぎ捨てられたブレザーとカッターがあった。

⏰:08/02/10 17:27 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#258 [向日葵]
やっぱり帰ってきたんだ。で、着替えてまた行った……と。

ったく。
ハンガーにかけるなり、洗濯かごに入れるなりしてくれないかね……。

親切な私はブレザーにハンガーをかけて、カッターはかごに入れた。

投げるようにカッターを入れた時、何か香りがした。

それはいつもの真の香水じゃなく、どこか優しい女性らしい匂いだった。

……まさか。

……まさか……ね。

⏰:08/02/10 17:32 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#259 [向日葵]
そんな訳ないと思いたいのに、胸が痛かった……。

私も学ばないな。
だから心配なんてするだけ無駄だと……。

情けなくて、涙が出た。

もう知らない。

赤い痕を簡単につけるアイツなんか……嘘つきなアイツなんか……もう、知らない。

知らないと思うのに、出ていこうとしない自分にはもっと腹が立った。

嫌い……。

やっぱり現実なんて、大っ嫌いだ……っ!

⏰:08/02/10 17:37 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#260 [向日葵]
―――――……

「ひどい顔!」

言ったのは多香子だ。

「昨日私の事あれだけ馬鹿にしたくせに、アンタの方が今よっぽどひどいよ。」

「ほっとけ。」

無理矢理涙を引っ込めた目は真っ赤。
再び現実に失望した顔は暗かった。

テストなんてどうでもよくなった。
追試でも何でもすればいいや。

「席につけ。」

監督で来た教師は、皮肉にもまた真だった。

⏰:08/02/10 17:45 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


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