・・・ゆめみる魚・・・
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#261 [向日葵]
反応したけれど、私は決して顔をあげなかった。

声を聞くだけでも、ひどく落ち込んだ気分になったからだ。

私はこれから、どれだけ騙されてしまうんだろうか……。

「チャイムが鳴ったら、名前を記入して各自始めるように。」

事務的な態度……。

私の世話も、事務だから?
だから平気で嘘つけるの?

チャイムが鳴り、皆一斉に始める時、私は1人席を立った。

⏰:08/02/10 17:49 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#262 [向日葵]
何も言わず、黙って教室を出る。

「葛。」

真の声が後ろからした。
でも私は無視する。

「おい葛!」

真は腕を掴んで私を止めた。

「どこ行くんだ馬鹿。そんなにテストが嫌なのかよ。」

小声で裏真が登場。
しかし私にはそんなことどうでも良かった。

「テストじゃない。……アンタが嫌なのよ。」

⏰:08/02/10 17:53 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#263 [向日葵]
睨みながら、乱暴に腕を振り払う。
真が追いかけてくる気配はもうなかった。

屋上に行けばすぐ見つかってしまうと思ったので、使われていない教室に入った。

シーンとしていて、カーテンをしているせいで暗かった。
でも暗くていい。
眠りやすいから。

机もないその教室には、ありがたいことに絨毯が敷いてあったので、大胆にも床に転がる。

転んだ瞬間、せき止めていた涙がまた溢れた。

⏰:08/02/10 17:57 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#264 [向日葵]
もう目覚めなくてもいい。

一生夢の中で生きてやる。

なんならこのまま死にたい。
そうすればお母さん達がいる所にいける。

もうつまらない事も、悲しい思いも、しなくていい。

ただ、楽になりたい。

そう願う。

どうして……現実はこんなに寂しいんだろう……。

どうして誰も、側にいてくれないの……?

⏰:08/02/10 17:59 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#265 [向日葵]
――――――……

「みかげ。」

優しく、自分を呼ぶ声が聞こえる。
頬に添えられる手は大きく温かい。

でもこれは、目が覚める1歩手前。

嫌だ。
私はもう目を開けたくない。
もう目を開けないって決めたんだ。

「……みかげぇっ!!」

「ぅえっ!」

突然のデカイ声に驚き、私は目を開かずをえなかった。

⏰:08/02/10 18:03 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#266 [向日葵]
そこにいたのは、やはりと言うかなんと言うか、真だった。

「ったく。探したぞ。何してやがる。」

「寝てる。」

「そうじゃない。俺が嫌ってどういう事だ。説明してみろよ。」

なんでそんなに偉そうに。全部アンタが悪い癖に。
玩具だろうが何だろうが、私はちゃんと心を持ってるのに……こんな粗雑な扱い、なんで受けなくちゃならないの?

「真なんて、嫌い……。」

また涙が溢れる。

⏰:08/02/10 18:07 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#267 [向日葵]
「嘘ばっかりつくし……挙げ句の果てに逆ギレだし……。アンタが言ったんでしょ?現実見ろって。なのに、現実なんて、全然楽しくない。楽しく、思わせてくれない……っ。」

床の絨毯に、涙が染み込んでいく。
久しぶりに、こんなに泣いてる。

「つぐみさんがいいなら、あっちにいけば、いい。アンタが言った通り、楽になりたい。辛いのは……もう嫌。しんどい。お願いだから……夢の世界に帰して……。」

子供みたいに、しゃっくりが出る。

⏰:08/02/10 18:11 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#268 [向日葵]
またこんな風に泣けば笑われて、馬鹿にされて惨めになるだけ。
分かっているけど涙は止まらなかった。

次々に、絨毯に染みが出来ていく。

早く出て行ってくれればいいのに、真は動かない。

もういい。
ほっといてくれればいいから。

願ってる反面、行かないでと言ってる自分もいる。

私はまるで魚。
真という網に、捕われてしまっている。

だから自分から動かず、相手が手放してくれる事を待ってる。

⏰:08/02/10 18:15 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#269 [向日葵]
そんな私を、何かが包んだ。

真の腕だ。

少し惚けた私は、ハッと我に返り、真の腕の中でもがいた。

「やめ……ってよ……。話て……っ。離してってば!!」

「ごめん……。」

静かに真はそう言いながら、私の頭を撫でた。
私は動きを止める。

「辛い思いばっかさせて……ごめん。何も知らなくて、ごめん……。」

ずるい。真はずるい。

⏰:08/02/10 18:19 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#270 [向日葵]
簡単に謝って、何もかも無かった事にするんだ。

だけど、本当に優しく抱き締められてる腕の強さとか、慈しむように頭を撫でる手が、不覚にも、許していってしまうように誘う。

また私は涙が溢れる。

その目に、真は口づけた。

その時の触れ合いに、私は確かに愛とか言うむずがゆいものを感じてしまったんだ……。

⏰:08/02/10 18:23 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


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