・・・ゆめみる魚・・・
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#312 [向日葵]
前のような、不安な気持ちは一切無かった。
いや、無くなっていた。

自分を包む腕を感じれば、もう何もかも大丈夫なんだと安心して寄りかかる事が出来た。

大切なものを失っても、夢に逃げたりすることはもう無いだろう。

優しく髪を撫でる真の指が、私をさらに安堵の世界に連れていく。

ああ……。
心が通じるって、こんなに心地良いものなんだ……。
私は何かから守られている気さえした。
まるで赤ん坊のよう。

⏰:08/02/16 01:41 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#313 [向日葵]
何かから守られる安らぎ感に、ゆっくりと、目を閉じる。

しかし、通じたものは、まるで張りつめた糸が段々と千切れていくように、儚い事も起こるのだ……。

―――――――……

<今日、学校の帰り会えないかな?>

つぐみさんからのメールだった。

「だぁれー?」

箸をくわえながら私の方に身を乗り出す多香子。

「別に。」

と言って、返信を後回しにする事にして携帯を閉じた。

⏰:08/02/18 01:34 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#314 [向日葵]
「あー!分かった!コレっしょ!?」

多香子が右手の小指を立てる。
が、私はそれを無視してお弁当の蓋を開けた。
途端に、私は顔に熱が宿る。

多香子に悟られないように、下のカバンから物を取り出すフリをして顔を隠した。

今日の朝は、いつもの朝より1味も2味も違った。

どこか甘ったるい雰囲気を醸し出していて、でも私はその雰囲気をもう知ってるかのように真と過ごした。

⏰:08/02/18 01:38 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#315 [向日葵]
真に侵食されてる自分が、急に恥ずかしくなった。

でもそれが嫌じゃないと思ってる自分はもっと恥ずかしかった。

「みかげー?何してんのー。」

「べ、別に。少し暑いと思ったから、下じき探してるだけ……。」

「あー。もう夏だもんねー。」

外を見れば、夏の訪れを知らすかのように入道雲が発生していた。

真に引き取られて早2ヶ月。
1人の家にこんなに長く滞在したのは真が初めてだ。

⏰:08/02/18 01:43 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#316 [向日葵]
「そういえば、文化祭、何するか決まったの知ってる?」

忘れてた。

「何すんの?」

「実は、な・ん・とー……。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「仮装部屋ぁ?」

珍しく社会科準備室に用があった私は、たまたまそこにいた真とくっちゃべっていた。

私は真の呆れたような声にただコクンと頷いた。

「限られた予算で服作るんだって。」

⏰:08/02/18 01:49 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#317 [向日葵]
「予算っつっても限られてるだろ。」

「ここの卒業生の兄弟をもつ子がクラスに何人かいてその中の1人が私達と同じような事やったから何着か服持ってるって。」

他の人達はメイド喫茶をやったからメイド服があるだの、劇をした時に作った衣装がタンスに眠ってるだのと言ったもんだから、多数決を取るとそれに決まったらしい。

仮装部屋、なので仮装したい人達に服を貸すシステム。
それでいて写真撮影なんかもあったりしちゃって少し豪華なのだ。

そして店番兼スタッフは、仮装しなくちゃならないとか言う迷惑極まりない出し物なのだ。

⏰:08/02/18 01:56 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#318 [向日葵]
店番はクラスでローテーションしなきゃならない為、最悪な事に私も仮装しなくてはならないのだ。

「だから……真は絶対に来るな。」

「はぁ?そんな面白そうなの見にくんなってか。」

「私が店番の時間帯を教えるからそれ以外に来てくれ。」

「そうもいかない。俺達の見回りだってまばらだからなぁ。」

とか言いながら時間を教えれば、なんとか調整してくるのが真だ。

どうせなら時間を教えない方が得策かもしれない。

⏰:08/02/18 02:00 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#319 [向日葵]
「あ、そろそろ行かなきゃ。じゃあね真。」

「おぅ。……あ、みかげ。」

「は?」

振り向いた私の頬に、真の唇が押し付けられた。

「行ってらっしゃい。」

「や……っ、やめてよっっ!」

顔が赤くなったら多香子に怪しまれるんだから!!

私は足早に社会科準備室を後にした。

「お帰りみかげー。週末課題を運べーだなんて、松川も鬼だよねー。」

⏰:08/02/18 02:04 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#320 [向日葵]
ため息をつきつつ、「そうだね。」と答えようとすると、男子が外を見て騒ぎ始めた。

「ヤバイ!超ー美人なんですけどぉっ!?」

「色しっろー!!UVカットしてますみたいな!」

「誰の彼女だぁー!?手上げてみろ!?」

「俺でーす!」

「いやあり得んから。」

雛鳥が親鳥から餌をねだるが如くピーチクパーチクうるさい男子の間から、その噂の的を垣間見た。

「……あ!」

⏰:08/02/18 02:09 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#321 [向日葵]
スカートのポケットから携帯を見て、また入れる。

「多香子、帰りのホームルームサボる!」

「えぇ!?ちょ、みかげぇっ!!」

走って走って、靴の履き替えもそこそこに私は校門へ向かった。

「つぐみさん!」

彼女こそ、頭が騒ぐしかない小学生のままの男子の噂の的だ。

つぐみさんはにっこり笑って小さく私に手を振った。

「みかげちゃん。」

気品漂う夏の服装に、自分の制服がやけに子供じみてる気がした。

⏰:08/02/18 02:13 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


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