・・・ゆめみる魚・・・
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#322 [向日葵]
「あ、あの、メール返さなくてすいません。」
「いいのいいの!こうして会えたから!さ、乗ってっ!」
有無を言わさず乗ってきた車の助手席を開けて私は押し込まれた。
「この頃暑いよねー。」なんて世間話をしつつ、車は発進した。
「あの……。私に用でも……?」
「久しぶりにみかげちゃんに会いたいなぁって。色々話もしたいし。」
つぐみさんは、私と真の関係を知っているのだろうか。
知らないなら、あまり言わない方がいいのかもしれない。
:08/02/19 11:30
:SO903i
:☆☆☆
#323 [向日葵]
またつぐみさんが壊れてしまったら……。
「さて、着いたよー。」
「へ?」
着いた所は海辺だった。
しかもこの海知ってる。
……真と来た所だ……。
「外出ない?」
「あ、はい。」
外に出ると、潮風が心地よく体に吹き付けてくる。
海の音も、気持ちを落ち着けてくれるみたい。
「この頃、松川君とはどう?」
「あー……別に普通に過ごしてます……って、え!?」
:08/02/19 11:35
:SO903i
:☆☆☆
#324 [向日葵]
綺麗な黒髪をなびかせながら、つぐみさんはにっこり笑った。
「貴方はどうか知らないけど、松川君は貴方が好きみたいね。……私といても、上の空だし。」
最後の一言はとても寂しそうだった。
だってつぐみさんは真が好きだもの。
真だって……ううん。私は真を信じる事にした。
こんな事、思っちゃいけない。
「ここね、松川君とよく来たとこなの。」
「あ……そうなんですか……。」
だから真は、私をここに連れて来たのか。
:08/02/19 11:45
:SO903i
:☆☆☆
#325 [向日葵]
思い出の場所をあの時連れて来たのは、私の為じゃなく自分の為だったのかもしれない。
つぐみさんと会って、心揺さぶられる自分を落ち着かせる為に……。
「松川君は、私が嫌いかな……?」
「そんな事……。」
「友達でいいって言ったの。でも……本当は昔みたいに戻りたかった。」
どう答えればいいか分からなくて、私はうつ向く。
複雑な心境。
真が好きなのは私で、私も真が好き。
でも2人は昔恋人同士で……。
:08/02/19 11:50
:SO903i
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#326 [向日葵]
「松川君が……好き……。」
さっきよりより一層悲しそうな声に、私は顔を上げた。
すると、つぐみさんの大きな眼からは、大粒の涙が流れていた。
「好きなのに……っ友達でいるって決めちゃった……っ!本当は私を好きになって欲しいのに……!」
「つぐみさ……。」
私が真を好きになりかけていた頃なら、まだ間に合ったかもしれない。
真をなんとかしてでも、つぐみさんとくっつけようとしたかもしれない。
:08/02/19 11:53
:SO903i
:☆☆☆
#327 [向日葵]
でもごめんなさい。
つぐみさんごめんなさい。
私は、真が好き。
真が必要。
真だけなの。
今まで、引き取ってくれた中で、親族以外に愛情を注いでくれたのは。
現実から逃げた私を、再び呼び戻してくれたのは……。
温かい目で、微笑んでくれたのは……。
だから、真は、貴方に渡せない……。
そう思っていても、つぐみさんの華奢な体か震えるのを見れば、やっぱり私は口にすることは出来なかった。
:08/02/19 11:57
:SO903i
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#328 [向日葵]
口にしない方が、より残酷なのかもしれない。
それでも、私は言う事が一向に出来ず、海に飲み込まれていく夕日をただただ静かに眺めていた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ごめんなさいね。」
つぐみさんが泣き止んだ頃には、もう日が沈んでいた。
「今から、松川君に電話したいの。みかげちゃん、側にいてくれない?」
なんですと?
「え……でも……。」
「お願い。友達宣言してから、連絡取るの今日が初めてなの。」
:08/02/19 12:01
:SO903i
:☆☆☆
#329 [向日葵]
フフと恥ずかしそうにつぐみさんは笑う。
「久しぶりとなると、緊張するのはどうしてかしらね。」
そう言って携帯を開く。
画面の光で、つぐみさんの顔が青白く照らされる。
その顔は、本当に緊張してるのか、堅かった。
リダイヤルボタンを押し、携帯を耳に当てる。
少しだけ、呼び出し音が聞こえてくる。
「……あれ?」
つぐみさんが首を傾げる。
「出ないみたい……。」
:08/02/19 12:06
:SO903i
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#330 [向日葵]
「まだ仕事中かな。」と呟きながら、携帯を閉じた。
「仕方ない。付き合わせてごめんね。今日はありがとう。家まで送るわ。」
「あ、ハイ……。」
ライトを照らし、車は夜道を走って行く。
海辺なので、ほとんど周りは真っ暗。
近くにある家の明かりと街灯だけが光っていた。
「みかげちゃんは、昔松川君と会った事とかあるの?」
「いえ。松川とは、遠すぎる親戚みたいなもので、会った事は無いです。」
:08/02/19 12:10
:SO903i
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#331 [向日葵]
「そう……。」
つぐみさんは呟く。
「私がみかげちゃんだったら良かったのに……。」
「……。」
何も、言えなかった。
「変わってあげましょうか?」だなんて、冗談でも言いたくなかった。
本当、私は子供すぎ……。
30分ほどして、私の家へ到着した。
「今度、プールにでも行かない?もうすぐ7月だし、松川君とみかげちゃんと、あとみかげちゃんのお友達でも連れて。」
:08/02/21 01:05
:SO903i
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