・・・ゆめみる魚・・・
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#33 [向日葵]
「ちゃんと笑うんだな。」
「は……?」
「いや別に。ホラ、とっとと帰れ。」
そう言って、スタスタとレジへ進んで行ってしまった。
聞きたい事が頭からスコーンとどこかにいってしまった事を感じながら、私は松川の言葉を頭の中で反芻させていた。
「“ちゃんと笑う”……?」
どういう事?
私は今までちゃんと笑えてなかったって事?
:08/01/08 01:23
:SO903i
:☆☆☆
#34 [向日葵]
そんな事はない筈。
楽しければそれなりに笑ってた事だって……。
「それ…なり…。」
つまり、心の底から笑っているようにはアイツの目に映らなかったって訳か……。
相変わらず、何考えてるかわかんねー奴だな。
そう思いながら、刺激を得られるワクワク感とはまた違う気持ちがくすぶり始める。
それが何なのかは、全然分からないが……。
ぼんやりしながらスーパーを出ると、後ろから袋を持った松川が続けて出てきた。
:08/01/10 12:04
:SO903i
:☆☆☆
#35 [向日葵]
「どこか行くのか?」
「関係ないでしょ。」
「ま、迷惑かけない内に早く帰れよ。」
「は?迷惑って誰に……。」
質問の最中なのに、松川はきびすを返して雑踏の中へと消えてしまった。
「迷惑なんて……。」
かけてるつもりもなけりゃ、かけるつもりもない。
私は勝手にタライ回しにされて、勝手に住む様にされてるだけ。
「はぁ……まったく……。」
つまらんなぁ……。
:08/01/10 12:08
:SO903i
:☆☆☆
#36 [向日葵]
曇り気味の濁った空を見上げながら白いため息を吐いていると、携帯のバイブが震えた。
「何多香子。」
{何じゃないっ!1人で寂しいから早く来てよ!}
いつも私を振り回す多香子。不思議と多香子に飽きないのは、彼女の振り回し方が尋常じゃないからかもしれない。
―――――……
散々買い物に連れ回されて、新居に着いた頃には7時を回っていた。
今日は家主帰ってんのかな。
:08/01/10 12:13
:SO903i
:☆☆☆
#37 [向日葵]
エレベーターで上がりながら、6階まで上がっていくエレベーターの表示を眺める。
チンとなって、6階到着。
歩きながら渡された鍵をポケットから出し、軽く投げながら部屋の前まで辿り着いた。
「……ん?」
鍵を開けた筈が、ノブをひねると閉まっていた。
どうやら家主は帰っているらしい。
もう1度開け直そうとすると、向こう側から開けられて、ご丁寧な事にドアも開けてくれた。
:08/01/10 12:17
:SO903i
:☆☆☆
#38 [向日葵]
さて、今回の奴はどんなのかね。
と顔を上げた私は口を開けて絶句した。
「言った筈だぞ。迷惑かけるなと。」
そいつは不機嫌な顔をして、本人は睨むつもりが無いようだが、明らかに睨んで私を見ていた。
私は口を開けたまま表札を見る。
「うそ……でしょ。なんでアンタが……っ!ま、松川が……っ!!」
そこにいた奴は、紛れもなくさっきスーパーで出くわした奴。
そして、地理の教師。
:08/01/10 12:20
:SO903i
:☆☆☆
#39 [向日葵]
「ハァー……。何て言うか……つくづく馬鹿ッポイな。お前。」
ってかキャラ違くね?
こんなくそ生意気な喋り方してたっけ。
「ってか今まで気付かなかった方がびっくりするわ。すげぇ鈍いのなお前。」
「ちょ、ちょちょちょちょっと待て!」
ドアを後ろ手に閉め、松川を見る。
確かに退屈な日常に飽々していた私だが、物には全て限度と言うものがあり、それに慣れるには時間が必要だ。
:08/01/10 12:24
:SO903i
:☆☆☆
#40 [向日葵]
「何でアンタが私の同居人?!」
「前の面倒みてもらってた緑叔母が何も言わなかったのか?俺はあのババアの親戚だ。まぁ大分遠めのだけどな。」
「ってかアンタのキャラ!」
「人は処世術と言うものを持ち合わせなくてはならない非常に面倒な生き物でなぁ。しかしながら残念な事に俺はそう言ったものを振る舞える程性格がよろしくない。」
難しい言葉いくつも並べやがって……。
完全に馬鹿扱いか?
:08/01/10 12:29
:SO903i
:☆☆☆
#41 [向日葵]
「だが、俺って顔いいらしいから。この性格出したら多分お前らの年代何人も泣かすだろうし。」
それってつまりは、モテるって言いたいんだろ。
「二重人格って訳……。」
「失礼な。女の子を泣かさない為の俺からのちょっとした気遣いじゃないか。」
にっこりと笑うその顔は悪魔とでしか言い様がない。
タラシ。
頭に3文字の言葉が連想された。
:08/01/10 12:40
:SO903i
:☆☆☆
#42 [向日葵]
どちらにしろ、私はコイツに誰が泣かされようが知ったこっちゃないが。
それに、コイツは私が直感で選んだ獲物。
誰かに盗られるなんてまっぴらゴメンだ。
などと考えていると、顔の横らへんに片手をついて、松川が私の顔を覗き込んだ。
「お前ってさぁ……俺の事好きなの?」
「馬鹿じゃねーの。」
とんだ自惚れ大魔王だ。
「私は刺激が欲しいから丁度良さそうなアンタをターゲットにしただけ。他意はない。」
:08/01/11 00:33
:SO903i
:☆☆☆
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