・・・ゆめみる魚・・・
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#401 [向日葵]
「松川ってさー、家ではどんななの?みかげあんまり話さないけど。」

「例えば?」

「実はスケベだとか。エロ本集めてます!みたいな。」

エロ本云々はともかく、多香子大正解。

そうなんだよ。
アイツ誠実ぶってドがつくほど実はスケベなんだよ。

この前だって……。

[出なくていい。]

あの声の色っぽく聞こえる事と言ったら……。

⏰:08/02/29 02:07 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#402 [向日葵]
もう少しで動きを止めてしまおうとする自分にも驚いたけど……。

アイツはあんな声やら行動やらを巧みに使って今まで何人もな女の子を……。…………。

そこまで考えを膨らませたくせに、自分の考えに自分で傷付いた。

「で、どうなの?」

多香子の声に我に返った。

「ほんっっとうの事聞きたい?」

少し身を乗り出した多香子は、目をキラキラさせて聞く体勢に入る。

⏰:08/02/29 02:11 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#403 [向日葵]
「失神しても知らないんだから。」

それから私は多香子に1から10まで真について話をした。

実は超俺様野郎だとかナルシストだとか。
私達2人の関係は、とりあえず控えておくことにして、あとは全て話した。

多香子は声も出さずに驚いていて、目が飛び出るという言葉が分かった気がした。

「あの……松川が……?」

やっと出た多香子の声は、少し上ずっていた。

⏰:08/03/01 01:09 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#404 [向日葵]
私はコクリと頷く。

多香子は色んな表情に変化させながら理解に苦しむ。

それもそうだろう。
あのムッスリした顔が家に買えれば一変するだなんて誰が想像するだろうか。

「なにアイツ……。二重人格ってやつ?」

「本人曰く、世の中の女の子の為に表と裏使い分けてるらしいよ。」

多香子は「うっわー……。」と呟く。

「アンタ……イジメられてない……?」

⏰:08/03/01 01:13 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#405 [向日葵]
そりゃ最初はイジメられたさ。
それが今じゃ…………。ね……。

「あ――――っっ!!」

いきなり多香子はデカイ声を出した。

クラスと目の前にいる私は体をビクリと震わせる。

「な、何……。」

「プールの日、みかげ誕生日じゃん!」

あぁそうだっけ。
誕生日なんて何年も祝ってもらうことは無かったから、自分がいつこの世に生を受けたかなんて、とっくの昔に忘れてしまってた。

⏰:08/03/01 01:18 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#406 [向日葵]
真は知ってるのだろうか。
私が誕生日だって事。

知ってなくても、別にいいかもしれない。

今年はいつもとは違う。
なんてったって真がいる。
今のところ、それでいいかもしれない。

「ま、別にいいや……。」

「じゃあ、今日パフェ奢ってあげる!」

「いや別にいいって。」

「水着買ったデパートで、美味しいパフェのとこあんだって!」

それって……あの男がいるとこじゃん!

⏰:08/03/01 01:22 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#407 [向日葵]
榊 歩!

……。
アレ。今思い出せた。前まで忘れてたのに。
恐るべし人間の記憶。

「あそこやだ。」

「えーいーじゃぁん!」

「やだったらやだ!」

頑なに拒否した。
どうもアイツは調子が狂う。
まるで真の分身みたい。

頭が回らなくなる。

結局、その日はどこにも行かず、真っ直ぐ帰ることになった。

⏰:08/03/01 01:28 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#408 [向日葵]
・・・・・・・・・・・・・・・・

帰る道の途中、ブルブル携帯が鳴った。

真からだ。

<つぐみ来る。飯いる。>

「は?」

歯抜けた文を見て少しムッとした。
だって意味が分からない。

まずつぐみさんはどこに来るのか。
そして飯いるって、それはつぐみさんとご飯を食べに行くけどいるのかとか全くわからなかった。

<意味分からん。>

送信。

⏰:08/03/01 01:32 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#409 [向日葵]
でも1つ言えることはどちらにしても夕飯は私が作らなくてはいけないらしい。

材料何かあったっけなぁ……。
無かったらまた出て買いに行くか。

エレベーターで上がりながら考えた。
チンと目的の階に着いたので、鍵を指で振り回しながら部屋まで行く。

「――……ゃん……。」

「ん?」

声が聞こえた。

足元を見ていた顔を、正面へ戻す。

⏰:08/03/01 01:38 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#410 [向日葵]
「みかげちゃん。」

「つぐみさん……っ!」

―つぐみ来る―

1つの謎解決。
つぐみさんは私達の家に来るんだったんだ。

つぐみさんはスーパーの袋を2つほど持っていた。
綺麗な白い指に、重みで袋の持つ部分が食い込んで痛々しい。

素早く袋を持ってあげた。

「どうしたんですか急にっ。」

「プールの事で話したくて。給料前でお互いお金持ってないから、外じゃなく家で食べようって松川君が誘ってくれたの。」

⏰:08/03/01 01:44 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#411 [向日葵]
この頃、つぐみさんに対する真の警戒が少し薄れた気がする。

つぐみさんもそれを望んでいるだろうし、もしかして真は、つぐみさんが気になるんじゃなくて、元の幼なじみの関係に戻りたいのだろうか?

「で、この大荷物は……。」

「ビールとおつまみ。あと、夕飯作ろうかなって。みかげちゃんと。」

ビールかぁ……。
なんだか大人……。

1度、ビールを舐めた事があったが、背筋を抜ける苦さにもう2度と口に入れるものかと誓った。

⏰:08/03/01 01:52 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#412 [向日葵]
※お詫び※

大変勝手な事ながら、先程出ていたみかげの誕生日説は無かった事にしてください

冒頭では17歳になったばっかりにしてありますので話が繋がらないです

こちら側のミスですので大変読みにくいかとは思いますが、よろしくお願いします。


向日葵

⏰:08/03/01 09:49 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#413 [向日葵]
「とりあえず中へ。」

鍵を急いで開けて、荷物を台所まで運んだ。

「グラタン作ろうと思うんだ。」

牛乳を持ちながらにっこり笑うつぐみさんは、好きな人に料理を作れる事が嬉しそうだった。

その好きな人と私が付き合ってるだなんて、つゆ知らずに……。

さすがと言うかなんと言うか、つぐみさんはテキパキと作っていった。

グラタンでもちゃんとルーから作って、焼いてる間に他の1品作ったりと手際はピカいちだった。

⏰:08/03/03 00:00 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#414 [向日葵]
そんなつぐみさんだから、私は胸が痛んだ。

私が真とくっつかなければ、つぐみさんは真と付き合ってたかもしれないのに……。
そんな事思っても、手放せない私はズルイのだろうか。

リビングに美味しそうな匂いがたち込む。
ヨダレが出そうな思いで真を待った。

「松川君とはいつもご飯一緒に食べてるの?」

「あ、いえ。私が大抵先に食べちゃいます。」

2人でイスに座りながら話した。

⏰:08/03/03 00:04 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#415 [向日葵]
「でもいいな。毎日顔合わしてるんだもんね。……羨ましい……。」

最後にそう呟いたつぐみさんに、なんて声をかければいいか分からない私は、気まずくなりながらうつ向いてしまった。

沈黙が続いて、そろそろ限界が近付いた時、世話しなく鍵を開ける音が聞こえた。

満面の笑みで立ち上がったつぐみさんは、玄関まで小走りしていった。

まるで旦那の帰りを待っていたかのように。

その姿をぼんやりと眺める事しか出来なかった。

⏰:08/03/03 00:07 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#416 [向日葵]
*****************

「お帰りなさい。」

迎えたのはつぐみだった。

てっきりみかげが来るもんだとか思ってた俺は、内心肩を落とす。

つぐみにバレないように、つぐみの後ろをチラリと見たが、みかげが来る気配は無かった。

「あぁ。」

なんだか新婚みたい……と思ったのは俺だけではないだろう。
少し頬を赤くさせてるつぐみも多分同じ事を考えたに違いない。

⏰:08/03/03 00:14 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#417 [向日葵]
期待させちゃいけない。

前にみかげは、「つぐみは前よりは弱くない。」と言っていたが、それを丸々信用するのは難しい。

友達としての距離をしっかり保っておかないと、後々面倒になる事もある。

一瞬の内に、色んな事を考えてると、リビングから何か割れた音が聞こえた。

「みかげちゃん……?」

「何か落としたか?」

とおどけた風に言ったが、体はみかげの元へと早く動いた。

********************

「あー……。」

⏰:08/03/03 00:19 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#418 [向日葵]
何もする事が無くなった私は、気をきかせようと2人がビールを入れる為のグラスを用意している所だった。

が、手元が狂って手からグラス落下。
パリーンと意外にうるさい音を立てながらグラスは割れてしまった。
しゃがんで破片を拾う。

「――いっ…!」

指先から、ゆっくりと赤い血が溢れ出す。

あぁ……踏んだり蹴ったり……。

「みかげ。」

後ろから声。
真だ。

⏰:08/03/03 00:23 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#419 [向日葵]
怪我をしてるのを何だか知られたくなくて、親指と傷をしてる人差し指とを擦り合わせて血を拭き取る。

「ゴメン真。手元狂った。」

「掃除機持ってこい。」

ため息をつきながら言われた。

呆れてるってこと?

「みかげちゃん。怪我なかった?」

あったけど。

「大丈夫です。」

そう言って、掃除機がある部屋へ行った。
そこには救急箱もあった筈だから、絆創膏を貼っておこう……。

⏰:08/03/03 00:27 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#420 [向日葵]
・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「って事で、2人共もいっかな?」

夕飯も食べ終わり、食べながら話していたプール計画の事も話し終えた。

「ちょっと待てつぐみ。」

真が問う。

「お前の友達って誰?」

真からそう言われると、つぐみさんは苦笑いした。

「スルーしてくれると思ってたんだけどなあ。言っても行かないとか言わない?」

⏰:08/03/03 00:31 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#421 [向日葵]
「つまり俺と仲が悪い奴って訳だ。そんで、そいつと俺は一応、顔見知り。そんなとこか?」

“一応”の部分が、やけに強調して聞こえた気がするんだけれど……?

つぐみさんは言いにくそうにしながら、ついにその人物を口にした。

「そう。松川君がちょっと苦手な、あの榊君よ。」

あ、なんだ。女じゃないんだー。

……え?
ちょっと待て。榊?

「つぐみさん。もしかして、榊 歩?」

⏰:08/03/03 00:36 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#422 [向日葵]
私のこの発言に、つぐみさんも真も目をパチクリさせていた。

「あれ?みかげちゃん知り合い?」

「知り合いも何もっ、この前デパ……。ちょ、ちょっと、色々とありまして……。」

デパート云々を言ってしまったら、後で真がうるさい気がして言葉を濁した。

しかし……。

「つぐみさん。榊って人、松川に似てません?」

「あー。本質的には似てるのかもね。」

⏰:08/03/03 00:41 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#423 [向日葵]
私達の発言に、真は大否定した。

「失礼な!俺はアイツ程やかましくもないし、品もちゃんとある!」

それもどうだかね。

久しぶりの2人以上の食事は思っていたよりも楽しくて、何だか私は子供のような懐かしい気持ちになっていた。

部屋を温かく包む空気が、また私を心地よくさせた。

⏰:08/03/03 00:45 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#424 [向日葵]
10P・迷い

魚はまたひとりぼっちになってしまいました。

あたりをみわたしても、さっきまでいっしょにいた魚たちはもういません。

するとまた、なみが大きくゆれました。

・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

子供から、いい大人までが大きな声ではしゃぐなか、私はぼんやりとしていた。

うるさい……。

「みかげ!どーう!?」

⏰:08/03/03 00:51 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#425 [向日葵]
買いに行った時見せてもらったでしょーがよ。

「あー可愛い可愛い。」

適当にあしらっても、多香子は別に気にした風もなく、水に濡れて意味がないのに髪型を可愛いアレンジしようとしていた。

「多香子ちゃんの水着すごいねー。でも彼女の印象とあってるー。」

そう言ったつぐみさんの水着は、体のラインを際立たせるかのようなビキニで、色は髪の毛と同じ黒だった。

胸元の小さく光るライトストーンがまた大人っぽさを感じた。

⏰:08/03/03 00:56 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#426 [向日葵]
「みかげちゃんも可愛いね。」

にっこりとつぐみさんは言うが、適当で選んだ適当な色の適当な水着のどこが可愛いか疑問に感じる。

「つぐみさんは色っぽいですね。」

「そんな事ないよ。もっとダイエットすればよかったかなー。」

それ以上痩せたら死にますって。

「じゃそろそろ行こっか。」

つぐみさんの言葉を合図に、多香子を呼んで、真達と落ち合う約束をしていた場所に向かった。

⏰:08/03/03 00:59 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#427 [向日葵]
最近のプールは凄い。

波が出たり、ウォータースライダーみたいなのがあったり。
水の遊園地そのものだ。

「何で……上着着てんの?」

先程合流した真が私に聞いてきた。

水着姿、と言っても、私は上に長袖のパーカーを羽尾っていた。

理由はこうだ。

「無駄に露出したくないの。」

学校のプールだって嫌なのに……。
学校以上の人の目に自分の肌がさらされるなんて我慢も限界だ。

⏰:08/03/04 00:04 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#428 [向日葵]
「それにしても……。」

ツツーと首筋から鎖骨辺りを真の指先が撫でた。

鳥肌と体温上昇が一気に起こる。

「白くて綺麗な肌だな、みかげは……。」

不敵な笑みを浮かべる真は、今日はメガネをしていない。

そのせいか、色気のようなものがいつもより倍にも3倍にもなってビシビシ私の体に張り付く。

でもつぐみさんがいる前でそんな事しないで欲しい。

⏰:08/03/04 00:11 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#429 [向日葵]
苦し紛れに、力一杯真のオデコにデコピンをお見舞いする。

「よし!じゃあどこから行こう?」

張り切ってしきるは多香子だ。
手をかざして辺りをキョロキョロ観察する。

「ふーん。君、みかげちゃんって言うんだ。」

さりげなく隣に来て、榊 歩が私に囁いた。
そしてにっこり笑う。

笑った時に少し見える八重歯が、少年ぽさを感じさせ、愛嬌があると思った。

まぁ本質的なものは真の分身なんだけれど……。

⏰:08/03/04 00:16 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#430 [向日葵]
「俺の名前覚えてる?」

「つい最近思い出した。」

「でも知ってるは知ってるんだ。ならいいや。あ、歩って呼び捨てで構わないから。」

次々に出てくる言葉にため息。
話すテンポが早いからそれがまた疲れる。

早足で多香子の隣に行こうとするも、なんなくついてくるのど追い払う事が出来ない。

「ちょっと……何……?」

「みかげってさ……松川と付き合ってるの?」

⏰:08/03/04 00:21 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#431 [向日葵]
他の人達に聞こえるかどうか際どい音量。
でもなんとなく皆が聞耳を立ててる気がしたから

「んな訳ない。」

と答えてしまった。

「榊君。あんまりみかげちゃんばっかりひっついてると、松川君が怒るわよ?」

クスクス笑いながら、つぐみさんが言った。
現に後ろにいる真が、さっきから怒っているのはオーラで分かる。

「って言うかお兄さん。みかげは私のですから!」

と多香子が私の腕に抱きついてきた。

⏰:08/03/04 00:26 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#432 [向日葵]
自分で言うのもなんだが……何だこの“私争奪戦”……。

「……で?どうするんだ?」

苛立ちながら真が言った。

皆で悩んだ結果、とりあえず普通にプールに入ろうと言う事に決まった。

皆が派手にプールへ飛び込む中、私は足をつけてパシャパシャ遊んでいた。

「みかげ?」

それに気付いた真が、私に近づく。

「いや、ちょっと水慣らし……。」

と言うのは嘘。

⏰:08/03/04 00:29 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#433 [向日葵]
上着を脱げばある意味ブラそのもの。
一応女子な私は、少し脱ぐ事を躊躇っていたのだ。

「……真。あっち行ってて。」

「は?何で。……まさかお前、恥ずかしいの?水着。」

真は変な所鋭いから嫌だ。
恥じらってるって知られてしまった方がより一層恥ずかしい。

「いいからあっち!」

彼方に指を指して、真をどこかへとやる。

その間に、上着をそこら辺に置いて体を水につけた。

⏰:08/03/04 00:33 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#434 [向日葵]
つめ……ったい……っ!

いくら夏間近とは言え、冷たかった。

しばらくその冷たさに耐えようと、体を震わせながら慣れるのを待つ。

「みかげー!潜水してどっちが息続くか競争しよー!」

多香子が声をかける頃には、ようやく慣れた。

多香子の声に反応した真は、少し離れた所で濡れた髪をかき上げてニヤリと笑っていた。

それを見て見ぬフリをする。
直視してしまえば、肌を露出して、水に濡れてるのも手伝って綺麗に見える真に見とれてしまいそうだった。

⏰:08/03/04 00:38 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#435 [向日葵]
「みかげちゃん。指どうしたの?」

「へ?」

見てみれば、スッと赤い筋がある。
これはこの前グラスを落とした時に出来た傷だ。

大分治ってきたから、外してもいいだろうと思ってこの頃は絆創膏貼らなくなった。

「紙でいつの間にか切ってたみたいです。痛くないですよ。」

傷した時は痛かったけどー。

「前の金曜日も針でぶっすり刺してたもんねー。」

⏰:08/03/04 01:21 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#436 [向日葵]
3分に1回は刺してるかもしれない多香子に言われたくないんだけど……。

すると、歩が私の手首を持って指先を見つめる。

「あー痛そー。消毒しようか?」

「傷口塞がってるから大丈夫。」

「ばい菌舐めちゃ駄目だよー?だからさ、消毒したげる。……俺の口で。」

は?

と思えば、私の指先を歩の口に入れようとした。

これにはびっくりして、手を振り払おうとするが、ビクともしない。

⏰:08/03/04 01:25 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#437 [向日葵]
「やめろ。」

顔をわし掴みして、真が私と歩の間に割り込む。

「何、松川。みかげに惚れてんの?いつもの余裕っぷりがないじゃん。」

楽しそうに笑う歩。

余裕っぷり?
私にはあるに見えるんだけど。
むしろいつもの真なんだけど。

「嫌がってるのも分からないんじゃ、お前も落ちたな。」

火花がピシピシ見える。

ここ火気厳禁だよね。

⏰:08/03/04 01:30 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#438 [向日葵]
「2人も!いきなりケンカしないでよ!仲良くっ!」

そう告げるつぐみさんに従う真と歩。

見つめれば、高校時代の少し幼い3人が重なった。

その頃は私は側にはいなくて、どこかの家にいながら夢を見続けていたんだろう。

私が知らない、真とつぐみさんの過去。


つぐみさんが前話した2人の過去は、それは辛いこっだっただろうけど、確かに小さな幸せはあっただろう。

⏰:08/03/06 00:45 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#439 [向日葵]
胸の奥で、微かな疎外感を感じる。

……いけないなぁ、この頃ネガティブすぎる。

ネガティブすぎるのは……大切なものを得てしまったからだろうか……。

「――げ。…みかげったら!」

多香子の声にハッとする。

真達年上組は、少し先へ行って、多香子は数歩歩いた所で私がついて来ないことを察知したのか、立ち止まって私の方を向いていた。

「どうかした?他のアトラクション行くよ。」

多香子を通り過ぎて、見つめる先に真がいた。

⏰:08/03/06 00:49 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#440 [向日葵]
少し不安そうにしている。

そうか。
真は今、2つの事を気にしなくてはならない。

1つは私、1つはつぐみさん。

ならば私は、一応彼女として、心配かけてはならないだろう。
少しでも、真が重くなってしまうような事はしたくない。

きっと真は、私よりもつぐみさんの方が心配だろうし……。
……あぁ、またネガティブな発想。

「なんでもない。ごめん。」

⏰:08/03/06 00:52 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#441 [向日葵]
軽く微笑めば、真もホッとした様子だった。

皆でプール。
でも私は、真には近付いてはいけない気がした……。

――――――…………

派手に水のしぶきが舞う。
ドボンと何かが落ちたような音がすれば、笑いながら多香子が浮かび上がってきた。

「いやー!あれ超楽しい!!ね、ね、みかげ!もう1回行こう!」

「ま……また?」

水の滑り台みたいなのに乗って早5回。

⏰:08/03/06 00:57 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#442 [向日葵]
多香子はそのアトラクションをとても気に入ったらしく、滑っては登りを繰り返す。

無論、私を引っ張って……。

体力的にも疲れてきたけど、ネガティブな思考をどうにか追い払いたくて、半ばヤケになりながら多香子について行っていた。

「せめて別の行かない……?そろそろ飽きてきた……。」

「おーいみかげ。そろそろ止めておけー。お前ぶっ倒れるんじゃねぇかー?」

少し離れたとこに真とつぐみさんがいる。
歩は私達と一緒に遊んでいた。

なので真の呼びかけに答えたのは、すぐ後ろにいた歩だった。

⏰:08/03/06 01:02 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#443 [向日葵]
「悔しかったらお前もこっちで遊んでみやがれー!」

真はムッとしたに違いない。
それを分かっていて、歩は私と多香子の肩に手を置くと、更に奥のアトラクションへと向かう。

が、その前につぐみさんが私達に話かけてきた。

「待ってー!そろそろ何か食べないー?」

時計を見れば、12時半をとうに越えていた。

しかもプールの不思議。
泳げばお腹が空きやすくなる。

⏰:08/03/06 01:06 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#444 [向日葵]
お昼宣言をされれば、自分がお腹が空いていた事に気付かされた。

と言う訳で、ランチタイムだ。

プール内にあるファーストフード店で、頼んで食べる事にした。
と言っても、皆ハンバーガーセットで、バーガーの種類が違うだけだった。

席に行けば、丁度5人イスがあるものの、どう座ればいいかに困ったのが、私と真とつぐみさんだ。

多香子と歩は好きなように座って、2人の間にスペースが空いている。

「あ……じゃあ私そこに」

「あ、私座ります!」

⏰:08/03/06 01:11 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#445 [向日葵]
つぐみさんを遮って、2人の間に座る。

結果、私の右から回っていくと、多香子、つぐみさん、真、歩の順に並んだ。

微妙な空気が流れたけれど、能天気な多香子の「いただきまーす。」と言う言葉に皆手を進めた。

「ってか松川さ、眼鏡かけなくて平気なの?」

素朴な質問を多香子からぶつけれた真は、「とりあえず」と適当な答えを返した。

「そういえば、みかげちゃんはどうして松川と知り合い?」

⏰:08/03/06 01:16 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#446 [向日葵]
「親戚で、今住み込んでるから。」

歩は「え!?」と驚くと、私と真を交互に見て、ニヤリと笑った。

「松川やらしー奴だなー。こんな若い子に手出すとか。」

「出されてないから。馬鹿な事言わないで。」

現在系で出されてるんだけどね。

「……。あ。」

「ん?何みかげ。」

「いやちょっとメールしなきゃいけない事が……。ちょっとロッカー行ってくる。」

⏰:08/03/06 01:19 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#447 [向日葵]
上着を羽尾って、ロッカーに続く道へと駆け出す。

本当は、ロッカーには何も用事は無かった。
ただあまりにも息が詰まりそうだったから、少し1人になりたくなった。

携帯を取ってくると言ったにも関わらず、携帯を持っていないのは不思議がられると思い、仕方なく携帯を取ってから皆の元へと戻って行った。

「何ギクシャクしてんの?」

「ひっ!」

曲がり角を曲がると、壁にもたれて腕組みをした真がいた。

⏰:08/03/06 01:23 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#448 [向日葵]
気付かなかった自分が少し情けない。

真は軽くため息をついた。

「まぁ……すんなって方が無理なんだけどな……。」

「ゴ、ゴメン……こういうの苦手で……。」

「だろうな。……俺だって、好きじゃない。しかも榊が邪魔だしな。」

2人の間に沈黙がしばし流れる。
先に破ったのは私だ。

「さ、先に、行くね。怪しまれるから。」

⏰:08/03/06 01:26 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#449 [向日葵]
足を数歩進めたところで、真が言った。

「今日、言うから。つぐみに。」

「……何を?」

「俺達の事。」

私は不安になった。
そしと罪悪感を覚えた。

ずっと、自分はつぐみさんを騙してきたのだ。

なのに今日、真から全て聞かされる事によって、つぐみさんは真に対する淡い希望は打ち砕かれ、私に対する裏切りの思いがつのるだろう。

そう思えば、今日言うべきなのだろうかと言う考えが頭をよぎる。

⏰:08/03/06 01:31 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#450 [向日葵]
「……大丈夫なの?つぐみさん……。正直、今日は言わない方が……。」

「じゃあこのままずっとギクシャクしとく気か?それでいいんだな?」

強い口調で言われれば、どうすればいいべきか分からなくなってきた。

「お前はこのままがいいんだな?」

念押しのように、また真が言う。

「だ……だって、このままは嫌だけど……私つぐみさんも大事だもの……。もしつぐみさんが……前みたいに壊れたら……。」

⏰:08/03/06 01:34 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#451 [向日葵]
「俺だって、つぐみは友達として大事だ……。だから、言い方には気をつける……。」

私はやっぱり不安だった。
つぐみさんの苦痛を考えると胸が痛くなって顔を歪めた。

そんな私を気遣って、真はそっと頬に手を触れる。

「心配すんな。お前が言ったんだぞ?つぐみは大丈夫って。」

「うん……。」

それでも……やっぱり……。

そう言おうと口を開こうとすると、真の口が私の口を塞いだ。

⏰:08/03/06 01:38 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#452 [向日葵]
びっくりして、目を開けたまま真の唇を受け止める事になった。

間近に真の顔が迫る。

唇が離れると、真は私を引き寄せた。
引き寄せられれば、衣服をまとってない真の肌に、私の顔が触れる。

水に触れていた筈の真の体は、暖かさを取り戻していて、少し私の中の不安を拭い去る。

「大丈夫だから。お前は気にしなくていい。なんとかなる……。」

それは私を励ましているよりも、真自身に言い聞かせているように聞こえた。

⏰:08/03/06 01:42 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#453 [向日葵]
私はそれ以上、何も言わず、ただ真を信じる事にした。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

波が出るプールではしゃいでるフリ(自分ではそのつもり)をしながら、やっぱり少し距離を取った場所にいる真とつげみさんが気になった。

いつ言うんだろうとか、無意識にドキドキしていれば、はしゃごうだなんて演技は出来なくなってしまった。

不器用だな私……。

「へーみかげちゃんは松川が好きなんだ。」

⏰:08/03/07 00:59 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#454 [向日葵]
すぐそこで声がしたので、防衛本能と言うかなんと言うか……体が勝手に動いて、歩から距離を取る。

「アイツは性格わっるいよー?君の目の前にさ、こぉーんなにかっちょいい人がいるんだから、こっちにしなって。」

「ナルシストは大っ嫌い。」

「じゃあ君の友達に手出していいの?」

「ご好いに。」

その答えには、歩は驚いたらしい。

「友達なのに怪しい俺を差し出すの?」

⏰:08/03/07 01:04 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#455 [向日葵]
自分で怪しい自覚あるのかよ。

「別に私から見て怪しくても、多香子からしたら怪しくないかもしれないでしょ。」

多香子は無邪気に波が出ている場所まで行ってはしゃいでいる。

「……ふーん。やっぱ君いいね。」

「え?」

眉間にしわを寄せて睨んだ途端、腕を掴まれて顔を近付けてきた。

「のめりこみそう。松川が気にかける訳だよ。」

⏰:08/03/07 01:07 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#456 [向日葵]
イラついて、乱暴に腕を払う。

「気安く触んないで!」

その時だった。

「つぐみ!」

真の叫び声が聞こえたかと思えば、つぐみさんが走ってきて、波が出ている所まで直行して行った。

あぁ……話してしまったんだ……。

真は追いかける気力も削がれているのか、少し肩を落としてゆっくりとこちらへ来る。

私も歩から離れて、多香子の所へ行こうとした。

⏰:08/03/07 01:11 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#457 [向日葵]
しかしその必要はなかった。

何故なら多香子がこちらへ来たからだ。

「ねぇ、つぐみさんどうしたの?なんか悲しそうな顔してたけど。」

「さ……さぁ。」

曖昧な返事を返した時、どこからか誰かが叫んだ。

「おーい!!誰か溺れてるぞ!!」

その声に私達は弾かれたように振り向いた。

溺れていたのは、紛れもなくつぐみさんだったのだ。

⏰:08/03/07 01:14 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#458 [向日葵]
そして監視員より誰よりも早く助けに向かったのは…………





……………真だった。

泳いで、つぐみさんが溺れている所まで辿り着くと、必死に抱き締めてこちらまでまた戻ってきた。

お姫様だっこをされているつぐみさんはぐったりしていたけど、体には何も影響ないみたいだ。

「医務室に運ぶ。みかげ手伝え。」

「あ、私も行くよみかげ。」

⏰:08/03/07 01:17 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#459 [向日葵]
多香子と私は真について行き、歩は監視員の人に事情を説明する為残った。

私は医務室とプレートが飾ってあるドアを開けてあげた。

中には誰もいなかった。

「みかげ。つぐみの荷物持って来てやってくれ。今日はもう帰ろう。」

「うん……分かった。」

多香子と一緒にロッカーへ。
まず私達が着替えてから、つぐみさんの荷物をまとめ始めた。

まとめながら私はぼんやりと考えていた。

⏰:08/03/07 01:21 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#460 [向日葵]
つぐみさん……まさか自殺とか考えたんじゃないよね?
私の……せいなのかな……。

どうしよう……真は大丈夫って言ったし、私だって大丈夫と思ったけど……でも……。

*******************

つぐみに全て話した。

みかげとの事、つぐみには入る隙間は無いと……。

つぐみは「そっか。」と笑って「じゃあしょうがないね。」と逃げるようにプールへと向かった。

悲しそうなあの顔で、プールに入っていいものか迷ったが、つぐみに対して過保護すぎな気がして、前にみかげが言った事を信じようと思った。

⏰:08/03/07 01:26 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#461 [向日葵]
先を見れば、視力が悪い俺だが、ぼんやりと榊がみかげに言い寄ってるのが見えた。

それにムカつきながら、少し滅入った気持ちでプールへ向かった。

色々考えながら、足を進めていたその時だった。
「誰かが溺れている」と叫んでいるのが聞こえた。

直感でつぐみだと判断して走る。

走って辿り着けばやっぱりつぐみだった。

とりあえず息をしてるみたいなので、急いで岸まで帰った。

⏰:08/03/07 01:30 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#462 [向日葵]
そして今の医務室だ。

つぐみは白い顔してベッドに横たわっている。

「……ん。」

ゆっくりと、つぐみが目を覚ます。
宙をさまよい、やっと俺に辿り着く。

「……松川君?……私、どうして……。」

「溺れてた。」

「あ……そっか……。足、つっちゃうんだもん。」

「準備運動しないで入ったからかな」と言って、つぐみは力なく笑った。
と思えば、その目は涙で濡れていった。

⏰:08/03/07 01:33 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#463 [向日葵]
「ご……めん……泣くつめりなかった……。知ってたもん……松川、君、みかげちゃん好きって……。」

腕で目元を隠しながら、つぐみは泣いた。
グスグスと鼻をすすり、鳴咽が漏れないように頑張っている。

「迷惑かけて、ごめん……。私、大丈夫だから……。昔の、私じゃ、ないから……。」

本当にそう思う。

つぐみは昔自分がした事に謝りなんかしなかった。

みかげが言った通り、つぐみは変わっていたのだ……。

⏰:08/03/07 01:37 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#464 [向日葵]
「最後に、お願い聞いてくれない?」

「ん?何?」

まだ鼻声のつぐみは、腕で目元を覆ったまま話した。

「ずっと友達でいてね。それとね……。このままでいるから、今だけ、出来るだけ感情込めて、私を好きって告白して……。」

それでつぐみが気が済むのであれば……これからまた、友達として仲良くしてくれるなら、いくらでもやってのけてやろうと思った。

まだ恋人同士だった頃の気持ちに戻って、俺はつぐみに告げた。

⏰:08/03/07 01:41 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#465 [向日葵]
「つぐみ……。好きだ。大好きだ。誰よりも……好きだ……。」

そう言えば、つぐみはまた静かに涙を流した。

しばらくは、このままで、泣きたいだけ泣かせてやろうと、心穏やかにそう思った。

お互い、過去の柵が今解けて、新たな1歩が進める。そんな気持ちでいた俺は、知らなかったんだ。

最後の言葉を告げた時、みかげが外にいただなんて……。

*****************

私は思わず鞄を落としてしまった。

⏰:08/03/07 01:45 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#466 [向日葵]
隣にいる多香子は、違う意味で驚いていた。

「うそ……松川、つぐみさんが好きだったの?」

告白現場を目の前にした多香子はテンションが上がっていた。

私は「真……。」と呟く。

私は、やっぱり玩具だったの?
でもいつから?
ううんいつからも何もそんなものはない。

ずっと、そうだったのだ。

じゃあ何で抱き締めたの?
何でキスするの?

⏰:08/03/07 01:48 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#467 [向日葵]
優しい言葉で、私を惑わして面白がっていたの?

私の頭はパニックを起こしていた。

芦が1人でにガタガタ小刻みに震える。
近くの物が遠くに見える。

真……私……。

どうしたらいいの……?

⏰:08/03/07 01:50 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#468 [向日葵]
11P・もどかしさ

なみにのまれて、きがつくと魚はくらいくらいうみのそこにいました。

「ここはどこ?何もみえないよ。」

魚はふあんでいっぱいでした。
どこにいけば、またみんなにあえるかまったくわかりませんでした。

・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「疲れたか?」

真が私に尋ねた。
もう5回目だ。

疲れてなんかない。
ただ、分からないだけ。

でも1つだけ分かること。

真を困らせてはいけない。

⏰:08/03/09 01:29 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#469 [向日葵]
今はプールの帰り。

真の車で帰っている私達。
後ろの席では、多香子や歩、それに……つぐみさんが、疲れたのか熟睡していた。

助手席に乗っている私は、あまり言葉を発する事もなく、ぼんやりしながら窓の外を見つめていた。

「そんなに……。ただ、少し眠いだけ。」

本当は、今すぐにでも眠りの国へ旅立って、また前みたいに夢の住人になってしまいたかった。

この頃、夢を見る事をおろそかにしてたせいで、今日みたいな予想外な出来事に対処出来ないようになってる。

⏰:08/03/09 01:35 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#470 [向日葵]
今日みたいな……。

「……少し寝る。」

私はそっぽを向いて、窓に寄りかかるようにして目を閉じた。

でも、私がまた前のような状態に戻ってしまえば、真はまたつぐみさんの時のように傷ついてしまう。
自分を責めてしまう。

それだけはしてはいけない。

真は私に大切な事を色々教えてくれた。

その真の、重荷にはなりたくない。

そんな私に残された道は、真と前のように普通に過ごす事しかないのだ……。

⏰:08/03/09 01:40 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#471 [向日葵]
・・・・・・・・・・・・・・・・・

1人1人と、車から人が降りて行く。

「じゃあねみかげ!また明日!文化祭頑張ろうね!」

多香子はそう言って降りて行った。

残るは、つぐみさんただ1人。

「……真。」

「ん?」

「私を、家の前で下ろして……。」

「え?なんで。」

⏰:08/03/09 01:44 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#472 [向日葵]
私はそっと深呼吸する。
震えてしまいそうな声を必死に堪えた。

「明日、早いし……早く寝たいから。先、帰る。」

そう言えば、真は納得してくれた。
私の様子なんて一切気にせず。

いや違う。
気にしなくて当然なのだ。
私がそうなるよう仕掛けたのだから。

車が家についた。

「つぐみさん。今日はありがとうございました。」

「ううんこちらこそ。また遊んでね。」

つぐみさんは至って普通だった。むしろ元気すぎるほどで……。

⏰:08/03/09 01:48 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#473 [向日葵]
真の車が暗闇に向かって行く。

私はそれをずっと見ていた。

初めてだった。
真があんなに誰かに対して焦っているのを見たのは。
取り乱しているのを見たのは。

いつも、鼻で笑ったような顔をしたり、かと思えば愛しそうな目をして微笑んだり。

私はそんな真しか知らない。

もう車が行ってしまった方を見ながら、私は涙を流した。

⏰:08/03/09 01:51 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#474 [向日葵]
しんどい想いを、誰も分かってはくれない。
この辛い気持ちを、誰も受け止めてくれない。

結局私は、1人ぼっちになってしまったんだ。

もう塞がった筈の人差し指の傷が、一瞬ズキッと痛んだ気がした……。

――――――――……

「えーそれでは、生徒が羽目を外しすぎていないよう、先生方は見回りをお願いします。」

かったるいハゲ……じゃない教頭の話を聞いて、俺達教師は見回りを開始した。

⏰:08/03/09 01:55 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#475 [向日葵]
今日は文化祭。
羽目を外さない馬鹿がどこにいるんだか。

いや、みかげなら外さないか。
どう見たって文化祭とか率先してやるタイプじゃないし。

少し笑いながらみかげを思えば、アイツの様子が気になった。

普通なんだ。
態度が普通すぎて、不自然に感じる。溝を感じる。

昨日からおかしいと、薄々感じてはいた。

疲れた、と言うより、何か失望してしまった。
そんな感じがした。

⏰:08/03/09 01:59 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#476 [向日葵]
帰ってきたら、既に寝ていて起こしてまでどうしたか問う必要もない。
明日また聞けばいいかと、朝起きてきたら、もう既に行ってしまってた。

避けられている。
そんな気さえした。

廊下を歩けば、皆盛り上がって客を呼び込んだり、走り回ったりしていた。

「あ、まっつかわー!!」

呼び捨てにする無礼者は、メイド服の恰好をしたみかげの友人、増田多香子だった。

看板を抱えてこちらへやって来る。

⏰:08/03/09 02:03 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#477 [向日葵]
「“仮装部屋”でーす!どう!?似合うっしょ〜!?」

くるりと回る時に危うく看板が当たりそうになった。
さっと避けたのでなんとかセーフだった。

「メイドねー……。王道すぎて萌えすらしないな。」

「失礼な!あ、でもね、みかげみたらおっどろくよー!?めちゃくちゃ可愛いからっ。でももう見ちゃったか。」

見ちゃった?
見た覚えなんてないが……。
そんなに可愛いならば……俄然見たいっ。

⏰:08/03/09 02:08 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#478 [向日葵]
「どこにいんだよ。」

「は?いるじゃない。あそこ。」

回りを見渡すが、皆が皆、お化け屋敷だのメイドカフェだのやってるせいで分かる筈もない。

「分からん。」

「ったくしょうがないなぁー。みかげー!!」

反応したのは、大きめのリボンで髪の毛を結んだハイカラな恰好をした髪の長い女の子だった。

振り向けば、目を奪う程綺麗なその子は、明らかにみかげ本人だった。

⏰:08/03/09 02:12 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#479 [向日葵]
*****************

多香子に連れられて、嫌々ながら私は客寄せをしていた。

この恰好で歩けば、皆赤い顔をして私をジロジロ見たり、しまいには一緒に写真を撮ってくれとか言われて……。
はっきり言って外には出たくなかった。

それでもそれなりに頑張ってチラシを配っていると、多香子が私を呼んだ。

振り向けば、そこには真がいて、目が飛び出そうなほど驚いた。

「ホラ。あれ。」

多香子は指差しながら真に私を教える。

⏰:08/03/09 02:15 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#480 [向日葵]
「あれ。」……じゃねぇよ多香子。
アンタなんてことしてくれたよオイ。

真は驚いてるのか、目を少し見開いて私に寄って来る。

私はチラシを抱き締めながら、微妙に後退りしていった。

「な……何……。」

「これ……。あぁカツラ。」

「ウィッグと言えウィッグと。」

そう言って、人工的に長くした私の髪を手でもて遊ぶ。

⏰:08/03/09 02:19 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#481 [向日葵]
真も同じように私の髪に触れる。

意地悪に笑うと、少し屈んで耳打ちした。

「可愛い。」

顔が赤くなりながら、私はどこか冷静だった。

……どこまで私をおちょくりたいんだろう……。

「……仕事あるから。じゃあ。」

「あ、みか…葛。」

去って行きたいのに、私は足を止めてしまった。
回りこんだ真は、声を落として私に言った。

⏰:08/03/09 02:23 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#482 [向日葵]
「見回り終わったら準備室いるから来いよ。」

「……行かない。私はやる事があるの。真に構ってる場合じゃないから。」

真の顔を見れずに言った。
見てしまえばきっと取り乱す。
そんなの、真に気付かれてしまう。

しかし真は、最早そんな私をおかしく感じたのか、覗き込んで眉根を寄せた。

「なぁ。どうかした?何か変な気がする。」

そんなの自分の手を胸に当てて聞けば分かるだろうに……。今更。

⏰:08/03/09 02:27 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#483 [向日葵]
「し……松川は人間観察力低すぎ。変?どこがよ。これが私の普通よ!」

私は真の横を通り過ぎて去って行った。

こんな風に怒鳴ってしまえば、余計怪しまれるに決まってるのに……。

何も出来ない私……。

悔しいぐらい、もどかしいくらい中途半端すぎる……。

「みかげ。どうかした?」

看板を持った多香子が追いかけてきた。

多香子も多香子だ。
事情はどうであれ、真の告白現場見て勘違いしたせいで相談する事も出来やしない。

⏰:08/03/09 02:32 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#484 [向日葵]
朝来るなり無神経に「松川とつぐみさんどうだった?」とか聞いてくるし。
今だって無断で私を真に教えるし。

もういい加減にして欲しい。

「何もない。」

「でもなんか元気ないよ?」

「関係ないでしょ。」

冷たく言ってしまえば、多香子はシュンとしてしまった。

分かってる。
こんなの八つ当たりだ。

もう……自暴自棄だ……。

⏰:08/03/09 02:35 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#485 [向日葵]
「ごめん……。」

呟いて、足早に教室へと向かった。

――――――…………

店番が終わったのは昼を過ぎてからだった。

あのハイカラコスプレをやめる前に何人ものクラスメイトや近くにいた人に「写真を!」と求められた。

一体なんなんだ……。

屋上についた私は蝉の声を聞いた。

もうすぐ夏休みか……。

夏休みになれば、真との交流が増えてしまう。

⏰:08/03/10 00:54 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#486 [向日葵]
希望補習でも受けたり、多香子ん家に泊まりに行ったり。
出来るだけ家にはいないようにしよう。

真だって、夏休みと言えど、なんらかの仕事があるだろうし。
……つぐみさんと出かけたりするだろうし。

日陰になってる場所を見つけて、そこで朝作った弁当を開ける。

1口、口に入れた。

「……。まず……っ。」

真と会いたくないからと、急いで作ったせいか、味は最悪だった。

⏰:08/03/10 00:59 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#487 [向日葵]
校舎の中や、中庭はすごく騒がしい。
6月末、夏間近の暑さにも負けず劣らず生徒の熱気は凄かった。

それだけに、屋上と言う少し離れた場所にいる私の周りは静かに感じ、盛り上がるなんて気が更々無かった私をより冷静にさせた。

[準備室に……。]

真は準備室にいるんだろうか。

行ったら何を話すんだろうか。
行かなかったら帰った時怒られるんだろうか。

どちらにしろ、結果は最悪な気がした。

⏰:08/03/10 01:04 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#488 [向日葵]
気だるさと静けさが、眠気を誘う。

久しぶりに夢を見る頃の私に戻ってもいいだろう。
今ここに、真はいない。

そうか……真がいない所では、前みたいに戻ってもいいのかもしれない。

食事もそこそこに、私は目を瞑りかけた。

その時、アナウンスが微かに聞こえた。

<……ら、……か……。じゅ…し……い。>

「?」

気になってしまえば、目が覚める。

⏰:08/03/10 01:08 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#489 [向日葵]
瞑りかけた目を、またゆっくりと開ける。
そしてアナウンスに耳を傾けた。

<葛みかげ、葛みかげ。準備室まで来なさい。繰り返す……。>

明らかに、その声は真のものだった。

真のアナウンスはいつもタイミングが悪い。

前だってそうだ。

真の事を考えたくなかった時、真はやっぱり私をアナウンスで今みたいに呼び出したのだ。

でもここは屋上。
アナウンスは聞こえにくい場所。

⏰:08/03/10 01:12 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#490 [向日葵]
ここにいたと分かれば、真は私を責めやしないだろう。

むしろ責められる意味も分からない。

何で私がいつも真の都合通りに動かなくちゃならないのか。

そう思えば、だんだんと腹が立って、反抗心はより燃え上がった。

強制的に、目を瞑り、全ての事を視界と共に遮断した。
そのくせ前みたいにすぐに寝れなくなってしまったから、苛立ちは更に募った。

仕方ないのでお祭り騒ぎしてる中庭の音に耳を傾けた。

⏰:08/03/10 01:16 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#491 [向日葵]
涼しい風が、髪の間をすり抜ける。
そよそよと風に吹かれていれば、気分も穏やかになっていった。

********************

アナウンスなら来るかとかけてみたが、みかげは一向に来なかった。

やっぱりおかしい。

いつもなら嫌々ながらでもとりあえずは来た筈なのに……。

足音すら聞こえない。
ドアをノックする気配もない。

さっきもおかしいとは思っていた。

⏰:08/03/10 01:21 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#492 [向日葵]
[やる事があるの。真にばっかり構ってられない。]

「お前そんなタイプかよ。」と、笑い飛ばせるものならば飛ばしたかった。

でもそんな雰囲気すら漂わせていなかった。

本気の拒絶。

そんな風にすら感じられた。

俺は一体何をしたんだ?
そしてアイツは今何を思っているんだ?

それを話したいのにコレだ……。
もうお手上げだ。この俺が。

⏰:08/03/10 01:24 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#493 [向日葵]
フゥ……と自分らしくもない憂鬱なため息を吐くと、乱暴にドアをノックする馬鹿もんがいた。

「あぁ?誰だ。」

憂鬱な気分のせいで普段学校で被っている面の皮は剥いでいた。

これまた大雑把にドアを開けたのは、残念ながら増田多香子だった。

「ぃよ!ってなんだー。みかげも一緒かと思ったのにー。」

「は?何しに来た。ってかドア閉めやがれ。」

素直に言った事を実行した増田は、近くにあったイスを引っ張ってくると座って俺をじーっと観察しだした。

⏰:08/03/10 01:31 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#494 [向日葵]
「何だ。」

「はぁー……こっちが表かぁ……。未だに納得出来ないやー。」

みかげから俺の事聞いたのか……?

「で、みかげが教えてくれないからさ、気になって気になって。ちょっと聞いてもいい?」

「何を?」

「つぐみさんの事、いつから好きだったの?」

…………は?

希望に溢れる増田の目に対し、俺は疑問の目を向けた。

好き?つぐみを?
何でそうなる?

⏰:08/03/10 01:35 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#495 [向日葵]
「ちょっと待て……何でそんな話をせにゃならん。」

「んもー照れちゃって!知ってんだからねー。アンタがつぐみさんに告白したのー。」

告白?いつの話だ。
昔なのか?
昔だよな?じゃなきゃ告白なんて……。

[告白して……。]

プールの時のつぐみがよぎる。

……まさか。

「増田……告白ってプールの時か?」

⏰:08/03/10 01:38 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#496 [向日葵]
「もっちろーん!」

「前後の会話は?」

「前後の会話ぁ?さぁ。告白部分しか聞いてなかった。」

最悪だ。
いやしかし、本当に最悪な出来事はまだはっきりしていない。

もしこれでYesならば、それが本当の本当に最悪な事だ。

「……その時……みかげは?」

「もちろん、一緒にいたよ。だって鞄届けに来たんだから。」

⏰:08/03/10 01:41 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#497 [向日葵]
一気に血の気が無くなる。俺は机を叩くようにして立ち上がった。

だからか……っ!
アイツの様子がおかしいのは!
大きな勘違いだ!
勘違いにも程がある!

俺がつぐみを好きな訳ないじゃないか……っ!

「増田!みかげは!」

増田はびくりとして「えーと」と焦りながら考え出した。

「どこか行くって……あ、電話してみる。」

教師の前で校則違反の携帯を余裕で出す辺り俺だからと油断しているのだろう。

⏰:08/03/10 01:45 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#498 [向日葵]
でも今はそんな場合じゃない。
一刻も早く誤解を解かなければ、アイツはまた元に戻ってしまう。

「あ、もしもしみかげ?今どこ?……うんうん。……や、あのね、松川がみかげを探してる」

「あ!馬鹿っ!!」

増田は瞬きを何回かすると、携帯を耳から外した。

「切れた……けど……。え、何これ。みかげと松川ケンカでもしたの?」

ドアを開けて走り出す前に、一言増田にぶつける。

「俺の心はつぐみのもんじゃない。アイツのもんだ!」

⏰:08/03/10 01:50 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#499 [向日葵]
「あ、みかげ屋上って!」

増田の叫びを背後で聞きながら、俺はみかげの元へと走って行った。

*******************

思わず……切ってしまった。

私の場所を、真に知られた。なら真はここに来るだろう。

思うより先に、体が動いていた。

逃げなければ……と。

逃げても仕方ないって分かってる。
間接的な失恋はいつか直接的なものへとなるだろう。
それも分かってる。

⏰:08/03/10 01:54 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#500 [向日葵]
でも今は聞きたくない。

普通にしてれば今まで通りになるでしょ?
ならそれでいいから今は聞きたくない。

その内私は違う生き方を見つけるだろう。

でもその内っていつ……?

結局前と同じ、逃げてるだけの自分。

私は真に見つからないよう出来るだけ分かりにくい所を探して走った。

真はきっと私の事なんてこれっぽちも分かってない。

⏰:08/03/10 01:57 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


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