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#14 [梓 [真夜中の着信](1/2)]
〜〜♪

携帯を開くと、登録外の番号からの着信。私は、見なかったことにして携帯をポケットにしまった。

知らない番号…ではなかった。存在を消したくてデータを消した。それでも覚えている番号。忘れられなかった。
自分の鼓動が聞こえる。


好きでたまらなかった。好きで好きで、好きで好きで好きで好きで。
…こんな関係、うまくいく訳がなかった。

別れて半年。新しい彼女ができたと噂に聞いた。
私の中で、何かが壊れる音がした。


.

⏰:08/03/03 03:06 📱:SO703i 🆔:☆☆☆


#15 [梓 [真夜中の着信](2/2)]
電話は、見なかった事にしよう。後で履歴も消しておこう。そうすれば無かった事にできる。今まで通りの生活が送れる。

―本当にそれでいいの?

だって私はまだ思い出にできていない。

―会いたいんじゃないの?

会うべきじゃないの。

―まだ好きなの?

冗談じゃないわよ、あんな奴もう好きじゃないわ。

―じゃあ電話くらいいいじゃない。

…声を聞いたら会いたくなっちゃうじゃない。


私はそっとポケットから携帯を出した。一昔前の曲が静かな部屋に鳴り響く。

彼が好きだと言っていた、あの曲。




私はじっと携帯を見つめていた。

---END---

⏰:08/03/03 03:07 📱:SO703i 🆔:☆☆☆


#16 [[世界の真実]ふむ(2/3)◆s8/1o/v/Vc]
「おいおい冗談じゃねぇぞ!」

俺は慌てて電源を押し戻す。
しかし、いつまで押し続けていても一向に電源は戻らなかった。
電池はしっかりと三本補充されていたのを見たから、電池切れではないだろう。
念のため、充電器に差し込んだが反応はなかった。
そういえば停電だったな…。
思い出せば諦めたように携帯を投げ出して、ベッドに倒れ込む。
静かな時間が流れて、妙な違和感を抱いた。
嫌な予感のような、違和感を。
不意に横を見れば電子時計が発色していた。

「…ん?」

はて、気のせいだろうか。
電子時計の示す文字の光が弱々しくなってきているような…。
ぼんやりとそんな事を考えていたら、突然糸が切れたかのように電子時計の文字が消えた。

「…!?」

それを見ると俺は目を丸くした。
さっきからどうもおかしい。
違和感の原因がわかったのである。
無音なのだ。
静かすぎる、車の音すら聞こえない不気味な程無音の世界。
俺は立ち上がり窓を全開に開けた。

⏰:08/03/03 03:23 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#17 [[世界の真実]ふむ(3/3)◆s8/1o/v/Vc]
「何だよ…これ」

声が震えていた。
目の前に広がった光景は、真の闇。
停電の規模ではなく、人を失った不気味に佇む建物たちがひっそりと列を連ねていた。
照らし出すのは淡く朧な月明かりのみであった。

「誰も…いないのか?」

その時、後ろのベッドの片隅から声が聞こえた。
ベッドに寝転ぶ時はいつも掛けているラジオが、作動した様子だった。
俺はゆっくりと振り返る。
不気味なまで薄暗い室内に無機質なラジオの声が響いた。
途切れ途切れに数秒流れた後、ラジオは完全にその機能を失った。
俺は聞き取り難いラジオの内容に言葉を失った。
愕然と立ち尽くす俺に、先程ラジオは言った。

《現在…ょ…には…緊急…避難勧告が…されて…大変…危険…すので…ただちに…》

喋る物を無くした世界は、無音の世界へと続く不気味な静けさに包まれていった…。

⏰:08/03/03 03:26 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#18 [[世界の真実]ふむ(3/3)◆s8/1o/v/Vc]
最期の花[時代物](1/1)
>>8

世界の真実[ホラー](3/3)
>>13
>>16
>>17
(1/2じゃ文字数が足りませんでした;)

⏰:08/03/03 03:31 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#19 [賭け(1/3)]
俺はその日、1人でバーで呑んでいた。
特に理由は無い。ただ何となく、1人でいたかっただけだ。
カクテルの入ったグラスを静かに回していると、隣に1人の男が座って話し掛けてきた。

「君、もしよければ僕と賭けをしないか?」

フォーマルなスーツを着た、ごくごく普通の男。
いきなり何を言ってるのだろうか、と普段なら思っていただろう。
聞く気になったのは俺が酔っていたからだろうか。

「どんな賭けだい?」
「なぁに、簡単な賭けさ。君は何があっても顔が上を向いてはいけない。上を向いたら負けだ」

上を向いたら負け?そんなの向く訳無いだろう。
だが、今日初めて会ったばかりのこの男がどう上を向かせるかは、なかなか面白そうだ。
その時は文字通り酔狂だった俺は、賭けに応じる事にした。

「で、何を賭けるんだい?」
「この店で呑んだ代金さ。君が上を向いたら君が僕の代金を奢る。向かなければ逆だ」

なるほど、それなら例え負けてもそんなにダメージにはならないな。

「よし分かった」
「なら、今からスタートだ」

⏰:08/03/03 03:38 📱:P903i 🆔:zBYy/l0.


#20 [賭け(2/3)]
賭けが始まった。
男はスーツの上着を脱いで、早速俺に話し掛けてきた。
内容は別段他愛のない世間話のようなものだが、男の話術に引き込まれてしまう。
だがこれは罠だ。きっと巧みに話しくるめて上を向かせるのだろう。
俺はそう思い、いつ仕掛けてくるか警戒しながら、男の話に耳を傾けていた。

それから、1時間程が経った。
男はまだ仕掛けてこない。
話の内容も、先程と話題は変わってはいるが特におかしな点はない。
そろそろ仕掛けてきてもいいと思うのだが。本当に俺を負かす気があるのか?
もしかしてただの暇潰しだろうか。
いや、そう思わせるのが罠に違いない。きっとそろそろ上を向かしにかかってくるはずだ。
そう考えていた時、男が腕時計を見ながら言った。

「おや…もう時間だ。悪いが賭けはおまいだ」

おしまい?俺はまだ上を向いてはいないが。
……という事は。

「…賭けは、俺の勝ちって事になるのか?」
「悔しいけどそうだね」

あっさりすぎて、なんとも拍子抜けだ。
だが、これで呑み代が浮くしまぁいいか。

「悪いが行かないと駄目でね。これで払っておいてくれるかな?」

男はそう言って財布から1万円札を取り出し、俺の前に置いた。

「今日はどうも。君と話せて楽しかった」

男が俺の前に手を差し出してきた。

「そうだな、俺も楽しかったよ。ありがとな」

またいつか会いたいものだ。
そう思いながら、男とがっちりと握手を交わした。

⏰:08/03/03 03:39 📱:P903i 🆔:zBYy/l0.


#21 [賭け(3/3)]
代金は2人合わせて8000円。1万円でお釣りが出る。
呑み代が浮いたどころか、少し儲かった。自然と顔が綻んでくる。
足取り軽くレジへ向かう。
だが、男から貰った1万円札を出そうとした時に、1万円札がおかしい事に気が付いた。
なんというか、紙質が違う。厚みも少し違う気がする。

「…もしかしてあいつ、偽札を!?」

慌てて1万円札を電灯の光にかざして、透かしを見る。
そこに写っていたのは福沢諭吉ではなく。


『ほら上を向いた ごちそうさま』


こう書かれていただけだった。

⏰:08/03/03 03:39 📱:P903i 🆔:zBYy/l0.


#22 [◆vzApYZDoz6]
>>14-15
いいですねーw

じゃんじゃん参加してくださいw

⏰:08/03/03 03:41 📱:P903i 🆔:zBYy/l0.


#23 [ゆびきりげんまん(1/2)]
ゆびきりげんまん、うそついたらはりせんぼんのーます。
ゆびきった。

「私ね、昔約束したんだ」
「約束?へぇー、誰とよ?」

図書館の机。
私の前に座る友達が読んでいた本を閉じた。こんな話にも興味を持ってくれたらしい。
広辞苑を読んでいたのだから、相当暇だっただけなのかも知れないけど。

「誰かは思い出せないんだ。どんな約束かもよく憶えていない」
「何それ。約束した事しか憶えていないの?」
「うん。誰かと指切りげんまんしたんだ」
ゆびきりげんまん、うそついたらはりせんぼんのーます。
ゆびきった。
頭の中で、そのフレーズがずっと反芻される。
あの約束で、初めて交わした指切りげんまん。

⏰:08/03/03 04:20 📱:P903i 🆔:zBYy/l0.


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