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#216 [「2つの判断」向日葵(1/1)]
どちらがいいんだろう。

行動を起こさず後悔するか、行動を起こして後悔するか……。

せずに終われば、きっと「してれば何か変わっていたかもしれない」と後悔する。

して終われば「何故してしまった。しなければ何も変わらなかったのに」と後悔する。

究極のニシャタクイツ……。

運命を変えるも変えないも、自分の判断が全てになるのだ。

⏰:08/03/18 21:27 📱:SO903i 🆔:878n3A0U


#217 [紫陽花[とある商品の話(1/2)]]
僕が生まれたのはとある工場。
僕の兄弟達はたくさんいる。
人間達の言葉で言うと「大量生産」ってやつだ。そんな数多くの僕達は工場の人達が言ってたけど物凄く人間の役に立ってるらしいんだ。






僕等の仕事は鉛筆さんが残してく足跡を消していくこと。鉛筆さんはよくミスをしてしまうから、そんな時に僕等が軌道修正する。でも、その仕事は楽なものではないんだ。足跡を消すたんびに僕の体もどんどん削れてく。削れたあとは黒い固まりとなって煩わしいゴミとなる。


それから……、僕等の一生はとても短い。一年間使われれば長生きした方だ。人間の「学生」って人に買われた兄弟はもっと早く削れちゃうんだって。

⏰:08/03/18 22:34 📱:F905i 🆔:☆☆☆


#218 [紫陽花[とある商品の話(2/2)]]
でもね……。中には最後まで使ってくれない人間もいるの。僕等の体に鉛筆さんを突き刺したり、いろんな色のペンで落書きしたり…。落書きはちょっとくすぐったいだけだけど、鉛筆さんを突き刺されるのは……、


本当に痛い。


僕らの身体からは人間のような綺麗で赤い血は流れない。涙も叫び声さえ人間の耳に届かない。

けど痛みはあるんだ。
お腹の中に異物質が入り込む時の悶え苦しむ激痛。そんな苦痛のあとに待ってるのはゴミ箱へ投げ入れられる。


でも、
でも……、
僕等は何も言えないし動けない。ただ鉛筆さんの軌道修正をして、運の悪い兄弟は痛みに耐えなくちゃいけない。


それが僕等の運命。

だから僕等は願ってる。

出荷前のダンボールの中
移動中の車の中
店に並べられる前
僕等を選んでくれる人が
現れるまで、願っている。

僕等は願ってるんだ
「最後まで使ってね!!」って。

僕等は願ってる。
その大きな人間の手が僕を選んでくれる日まで。

ーーーendーーー

⏰:08/03/18 22:37 📱:F905i 🆔:☆☆☆


#219 [紫陽花[とある動物の話(1/3)]]
「めんどくせ〜…」
それが僕の飼い主様の口グセ。

言葉の意味はよく分からないけど、その言葉のせいで大好きな散歩に行けなかったり、エサをもらえなかったりすることが、たまに、本当にたま―にだけどあったりする。
でも僕はそんな飼い主様が大好き!!暖かくて大きな手で僕を撫でてくれたり、僕が指示通りにに動けばお日様みたいなキラキラした笑顔を見せてくれる。

それに……。

飼い主様は忘れてると思うけど、僕にとって忘れることの出来ない凄く凄く飼い主様を好きになる出来事が前に起こった。

――――………

―――――――………
人間単位で3年ほど前、1年で1番外の景色がピンクに染まる季節に僕はこの家にやってきた。ちょっと人見知りがちな僕が恐る恐る家に足を踏み入れるやいなや、暖かい手の少年がキラキラとした笑顔で首輪を付けてくれた。(その時は首が窮屈でしかたなくて、外そうと頑張ってたな。)

⏰:08/03/19 17:28 📱:F905i 🆔:☆☆☆


#220 [紫陽花[とある動物の話(2/3)]]
当時はエサもたっぷり貰って散歩も飼い主様が連れて行ってくれた。その時間がたまらなく大好きでついつい吠えちゃったり、噛みついちゃったりして、飼い主様を困らせることもしばしば……。

そんな散歩の途中、僕は道に変な丸いのが落ちてるのに気付いた。初めて見るものでその丸い物の正体が物凄く気になった僕は飼い主様に見せようと、何も考えずに口の中に入れた……。

次の瞬間
何でか分からないけど、それを僕は飲み込んでしまった。

(くる……ッしい……!!ぃ……ッいき……ができ……なッ………………!!)

あぁ……、僕はここで死ぬんだァ。もっと散歩したかったァ……。遊びたかったなァ――…。

死を受け入れ今にも涙があふれ出しそうな目を閉じようとした時、急に体が宙に浮いた。



「待ってろ!スグに病院に連れて行ってやるからなッッッ!!」

⏰:08/03/19 17:29 📱:F905i 🆔:☆☆☆


#221 [紫陽花[とある動物の話(3/3)]]
…………飼い主様だァ。でも病院って「ちゅうしゃ」って痛いのする所でしょ?行きたくないな―。でも飼い主様が一緒なら痛くないのかな?

―――――………

そこで僕の意識は途切れた。

後から聞いたんだけど僕は「ぺっとぼとるのきゃっぷ」って言うのを飲み込んだらしい。

「なんでも飲み込んじゃ駄目だろ!!!」おもいっきり僕を叱った飼い主様の目はウサギみたいに真っ赤だった。ごめんなさいを言わなきゃと口を開いた瞬間暖かい手が僕を抱きしめた。

「生きてて良かった――…」

飼い主様は誰にも聞こえないように小さな声で言ったみたいだけど僕は耳がいいから聞こえちゃったんだ。

これが飼い主様の事が大好きになった理由の一つ。いつも「めんどくせ」って言ってる飼い主様。でも僕の大切な飼い主様。
これからも大好きだよ!!



あっ!でも……。
エサと散歩は
忘れてほしくないなァ――…。

ーーーendーーー

⏰:08/03/19 17:29 📱:F905i 🆔:☆☆☆


#222 [ビリヤード(1/2)◆vzApYZDoz6]
ビリヤードが好きだった。
百円二百円のジュースを賭けて勝負するのが好きだった。
ゲーセンの地下のビリヤード場は、俺たちの戦場だった。

今では、百円二百円じゃ満足できなくなっていた。

「……今日の勝負は?」
「ナインボールでどうだい?」
「シンプルだな、いいぜ」

学生時代よりもゼロの数が4つか5つは多い。
下手をすれば人1人の命とすら釣り合うような金額を賭けて、俺は今日も勝負する。
VIPしか入れない裏のカジノで、学生時代の連中とは腕も気構えも違う、裏のハスラー達と。

「バンクショットはどうにも苦手でね」

先攻を取られた負け惜しみのセリフを聞き流し、俺はふっと鼻で笑った。

ブレイクショットには自信がある。
どうすれば、たった1発でナインの黄色い球を落とせるか。
俺は、そればかりを研究してきたからだ。

「悪いな。この勝負、俺の勝ちだ…!」

ボロい商売に笑いそうになるのを堪えながら、静かにキューを構える。

一気に撞きだしたその瞬間に、俺の携帯に着信が入った。

⏰:08/03/19 21:58 📱:P903i 🆔:/loXYyno


#223 [ビリヤード(2/2)◆vzApYZDoz6]
「!?」

ポケットからの振動で、前に置いた指が上ずる。
同時にキューも上を向き、手玉が10センチも進まないうちに止まった。
痛恨のミスだ。

「奇妙なこともあるのだな。ブレイクショットには……なんと言っていたかな?」
「…ブレイクショットはどうにも苦手でな」

勝負の結果は、まぁ言いたくないと言えば察しがつくだろう。
家財道具から当面の生活費まで、根こそぎ持っていかれた。
いや、元々持ち合わせが賭け金に足りていなかったんだ。この程度で済んだのは運がいいほうだ。

「にしても……」

一体、誰があのタイミングで電話なんかしてきたのか。
アレさえなければ、と多少恨みがましく思いながら携帯を見ると、1通のメールが届いていた。
どうやら電話ではなくメールだったらしい。

「ちっ、あの野郎…」

メールの送り主は、学生時代によく勝負していたビリヤード仲間の1人だった。

『元気かー。久しぶりにビリヤードやらねぇか?最近俺もリッチになってきたし、晩飯でも賭けて勝負しようぜ!』

「……まったく……」

誰のせうで、今の俺が素寒貧になったと思ってるんだか。
だが、たまには昔の勝負を思い出すのもいいかもしれない。
丁度ヒヤヒヤしっぱなしの勝負にも、飽きがきてた頃だ。いや、言い訳じゃなく本心から。
俺は携帯のメモリーからそいつの番号を選んで、受話口を耳に当てた。


とりあえず今日のところは、晩飯代でも稼がせてもらうとするか。

⏰:08/03/19 21:59 📱:P903i 🆔:/loXYyno


#224 [「仲直り」向日葵(3/3)]
私は何をしたんだろう。

自分の手を見つめる。
その後、階段から落ちた友人を見つめた。

きっかけは些細な言い合いだった。

言葉では彼女に勝てない私は、カッとなって彼女を突き落とした。

彼女はピクリとも動かない。

しばらくして、彼女は病院に運ばれた。

私はその場から動けずに、自分がやった事に後悔していた。

しかしその後悔も、数日すれば薄れていった。

幸い突き落とした現場を誰1人として見てなかった為、告げ口する人もいなかったし、自分から真実を言う事もなかった。

あれは彼女が悪い。
当然の結果だ。

そうとさえ思ってくるようになってしまったのだ。

⏰:08/03/19 22:35 📱:SO903i 🆔:kP27/un.


#225 [「仲直り」向日葵(2/3)]
だから彼女が退院して登校して来た時、私の背筋に冷たいものが駆け上がったのだ。

もう駄目だ。
バラされるんだ。
言ってしまうんだ……っ!

しかさそんな私とは裏腹に、彼女は元気そうな顔をして私に近づいてきた。
そして笑顔で話かけてくる。

「おはよ!久しぶり!」

私はあれ?と思いながらも挨拶を返す。
すると彼女は私を廊下に呼び出す。

開いている窓から爽やかな風が入り、冷や汗をかいた私の体をすり抜けていく。

「この間は……ゴメン」

突然の彼女の謝罪。
どう考えたって私の方が悪いのに。

「だからね、仲直りしよ……?………………同じ目にあって」

彼女の目の色が変わる。

⏰:08/03/19 22:41 📱:SO903i 🆔:kP27/un.


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