【SSS】超短レス短編祭り!【飛び入り参加OK!】
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#251 [穴(1/2)◆vzApYZDoz6]
今日も変わらず、空は青い。
だが、俺の視線は空ではなく、地面にある黒い円形に向いていた。

「何だこれ?」
「何って…穴よ」
「それは見れば分かる」

俺は、早くに亡くなった親の唯一の遺産であるこの家に、彼女と同棲している。
久々の休日の午前中、洗濯物を干していた彼女が俺を呼びつけて、庭を見てみたら穴があいていた。

「お前が掘ったのか?」
「そんなわけないじゃない」
「だよなぁ…しかし深そうだな」

直径1〜2メートル、といったところだろうか。
見た限りではずっと闇が続いていて、底がまったく見えない。
懐中電灯で照らしてみても、終わりが分からなかった。

「落ちたら死ぬかな、これ」
「どのぐらいあるのかしら?」
「さぁー…10円玉でも落としてみるか」

10円玉を手に取って、穴の上に持ってくる。
できるだけ穴の真ん中に、真っ直ぐ落ちるように手を離す。

「…………」

「…………」

「…………」


「………音、聞こえないね」
「むちゃくちゃ深いじゃん、これ」

⏰:08/03/25 16:40 📱:P903i 🆔:800WeMho


#252 [穴(2/2)◆vzApYZDoz6]
「今日もボロ儲けだなwwww」

1年が経った。
あれからいろいろ穴に投げてみたが、まったく音沙汰がない。
そこで考えた。ここには何でも棄てられる、と。
もちろん有料で、1投棄100円から。
引き取り電話が面倒くさい粗大ゴミ、育てるのが面倒くさい赤ん坊、隠蔽工作が面倒くさい死体、事後処理が面倒くさい核廃棄物…

いくら棄てても、穴が埋まる事はなかった。

「今日も変わりないわね」
「しかし何なんだろうな、この穴」

改めて穴を覗いて見ようと、穴の淵に近付く。
その時、見下ろそうと垂らした後頭部に、小さな何かがぶつかった。

「いてっ!」
「あら、どうしたの?」
「10円玉だ…一体誰だよ?」


今日も変わらず、空は青い。

⏰:08/03/25 16:43 📱:P903i 🆔:800WeMho


#253 [◆vzApYZDoz6]
まとめのために作品数集計しました

現在の作品数集計
1レス短編:23
2レス短編:29
3レス短編:24
総作品数:76

ちゃんと数えてみると、1レス短編を1作品多く数えてたw
でも2レス短編を1作品少なく数えてて、3レス短編はあってたから、総作品数は変わらずw

⏰:08/03/26 01:36 📱:P903i 🆔:5HnSVLdM


#254 [出会い【1/3】 ローライト]
いつものように車に乗り、仕事現場までの道を行く。
俺は幼い頃からの夢だった調理師になることができた。
俺にとって調理師は天職だ。
「久しぶりに通ってみるか」

いつもの進路とは違う道を久々に行く。全てが始まった道へ。

⏰:08/03/26 15:33 📱:W52S 🆔:☆☆☆


#255 [出会い【2/3】 ローライト]
それは、俺が5歳の頃。
その日は何もすることがなかったが何となくこの道を歩いていた。
道の両脇には、たくさんの店が立ち並ぶ。
俺はふと、ある物を見る。書店の中にある一冊の本。
中に入りその本を読んでみる。
そこには料理を食べて幸せそうな顔をしている人がいた。
料理だけで人を笑顔にすることができるのか。

⏰:08/03/26 15:38 📱:W52S 🆔:☆☆☆


#256 [出会い【3/3】 ローライト]
俺は幼いながらも料理を作る人になると決心した。
「懐かしいな」

あの時のあの出会いがあったからこそ今、調理師として人々の笑顔を見ることができる。
こうゆう出会いって偶然なのか、それとも必然なのか。

偶然でも必然でもいい。


こうして出会えたのだから。

⏰:08/03/26 15:43 📱:W52S 🆔:☆☆☆


#257 [【天使1/3】ミ]
※ここではないですが私の書いてる小説の一部です

***


伝える事に意味はないと思った。
「なぁ光」
「……何?」
目に映る海は黒かった。月明かりの下、海面に波打つ度に針のような光の線を造り出す。静かな眺めだ。
――俺の目にもしも……
ありもしない事を考える。
光のきゃしゃな体が、抱き寄せただけで壊れそうな気がした。防波堤から落ちない様に掴んでいたい。
――羽が見えたら
「どうしたのよ?」
光がこっちを向いた。髪が揺れてなびく。その澄んだ瞳は俺を写している。
肌寒い空気が一メートル離れた俺達を包む。
冬の海は嫌いじゃなかった。

⏰:08/03/26 20:53 📱:D703i 🆔:1QkXKdw2


#258 [【天使2/3】ミ]
――俺は何も疑わない
「なんでもねぇよ」
固い地面に、いやこの世界になんとか俺は倒れずに生きている気がする。
「何それ、変なの」
少し笑って手を後ろについて光は空を見上げた。真っ黒に少し紺色がかっている。
俺はお前がいつかそこへ帰ってしまいそうで怖い。
――そうであったら俺は
光が歌を歌い出す。英語は俺には伝わらないのに何か別の空気が生まれる。色は透明、見えないはずの。
目を閉じて黙って耳を済ます。この世の何より俺が綺麗だと思うもの。

汚りのない声だった。

⏰:08/03/26 21:04 📱:D703i 🆔:1QkXKdw2


#259 [「サヨナラ」向日葵(1/2)]
「離してよ」

彼女は言った。

僕は言われた通り掴んでいた彼女の細い腕を離した。

どうしてこうなったんだろう。

付き合い始めたあの頃は、お互い好きなだけで充分だった筈なのに。

もっととお互いがお互い求める程、心は徐々に離れて、すれ違って……別れと言う結末へ道が進んで行った。

もう1度、通じ合ったら。
僕はそんな淡い希望を持っていた。

でも彼女は希望を持つどころか、全て諦め投げ捨てて、僕の元から去る事を決意したのだ。

⏰:08/03/26 23:05 📱:SO903i 🆔:GrOcznyk


#260 [「サヨナラ」向日葵(2/2)]
彼女の心に僕はもういない。

そう悟った瞬間、僕は手を、心を、手放したのだ……。

「結局無理だったのよ、私達」

最後にそう言って彼女は去って行った。

結局?
結局って何?
僕はどこで間違ったの?

甘い恋も、これで終わり。
呆然て立ち尽くす僕を気にする人は誰もいない。

「サヨナラ……」

と呟いて、僕は彼女との多くの笑い合った思い出達と別れを告げた。

⏰:08/03/26 23:09 📱:SO903i 🆔:GrOcznyk


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