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#269 [紫陽花[私の思考回路(1/3)]]
ふぅ――

あと15秒ほどで私の耳に、一日で一番甘美な時間を伝える音が聞こえ出す。
さぁ……

3、  2、  1!!
――――キーンコーンカーンコーン………

自分の正確さに鳥肌が立つ。私の腹時計の実力は日々正確になっているようだ。

さて、そんなことより早くしなければ甘い甘い時間が過ぎてしまう。
私は、はやる気持ちを抑えつつ鞄の中から小さな、けれど世界に一つにしかない私だけの宝箱を取り出した。

そして、ふたを開けた……。その瞬間その宝物特有の匂いが春の風のようにふわりと私の鼻をくすぐる。

卵焼き

たこさんウインナー

パセリ・レタス・ブロッコリー

ミニハンバーグ

白米(ふりかけ付き)

宝箱の中には、これだけのものが小さな四角形の箱に所狭しと詰まっている。

⏰:08/04/05 21:28 📱:F905i 🆔:☆☆☆


#270 [紫陽花[私の思考回路(2/3)]]
よし……いくか!!
そう意気込むと同時にお箸を握り直す。

まずは卵焼きで空腹感を和らげるとしよう。話はそれからだ。そうしないと、集中してこの宝箱を取り扱えない。


さて少し落ち着いたところで次は………、たこさんウインナーと野菜たちだろうか。
ウインナーだけを口に運ぶと脂っこさだけが広がりウインナー本来の味を楽しめないと思うのは私だけだろうか……。だから私は野菜とウインナーはセットだと考える。


そしてここまでくると、さすがに白米が食べたくなる。だが、米を全部食べてはいけない。まだメインディッシュが残っている。


ここからが本番だ。
また一つ息をつく。それと同時にメインディッシュという名の一番デカい宝物へと箸をのばす。

現時点で箱の中に残ってるのは

ミニハンバーグ

白米3/1

ここからは今まで以上の集中力が要求される。おかずと米を食べる割合を考えなければ最高のフィニッシュを迎えられない。

さらに今日はデザートがないのでこの一瞬で今日の甘い時間は終わりを告げることになる。

それだけにプレッシャーもかなりのものだ。

⏰:08/04/05 21:29 📱:F905i 🆔:☆☆☆


#271 [紫陽花[私の思考回路(3/3)]]
ミニハンバーグと米を一口ずつ自分の口へと運ぶ。
一口かみしめた瞬間に口の中にハンバーグのデミグラスソースの濃厚な味が小川のせせらぎのようにさわさわと、しかし確実に広がる。

高級レストランのとはまた違った深い味わいがあり、けれどくせのない家庭のハンバーグ特有の旨みがこれにはある。

はぁ―――……
なんて美味しいんだろう。
思わずお箸を持つ手に力が入る。さらに一口、二口と箸は進む。





ハンバーグをメインディッシュにもってくる………。

その選択は間違ってなかった。だてに二年間お弁当生活をおくっているわけではない。



友達からはご飯を食べるときだけ人が変わると、注意されるが私の知ったこっちゃ無い。私はいかに計算してあの宝物たちを食すかだけに集中したいのだ。


そして今日も無事完食。

―――御馳走様でした。



---end---

⏰:08/04/05 21:29 📱:F905i 🆔:☆☆☆


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