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#330 [[元気玉(1/2)]紫陽花]
「こら――!!テレビばっかり見てないで宿題しなさい」
「うぇ――――い」
少年は母親と思われる女性にあからさまに上辺だけの返事をして視線をテレビへと戻した。
少年は宿題もせずに一体何を見ているのか?
広いリビングに設置されたテレビの映し出されているのは……
ドラゴンボール
ドラゴンボール
それは多くの人をその独自の世界の虜にさせ、世界中を魅了した有名な漫画……。
少年の年齢は9〜10歳ほどだろうか。世代こそ違うがこの少年もこの漫画に魅了された一人のようだ。
アニメの中では一番のクライマックスをむかえているようで少年も握り拳を作っている。
『オラに元気を分けてくれ!!』
テレビの中の主人公が叫ぶ。
それと同時に場面は人々が両手をあげているところに変わった。先ほどの叫びに答えるように一人また一人と両手を天高く、大空に向かってあげだす。
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#331 [[元気玉(2/2)]紫陽花]
『もっと……元気を!!』
その言葉を聞いた瞬間、少年の握り拳がピクリと動いた。
そしてそのまま、少年もテレビの中の人々のように両手を真っ直ぐにあげだした。
「俺の元気もあげるよ!!頑張ってそいつをやっつけて〜!!」
少年の願いが通じたのか主人公の上に発生していたエネルギー弾は見事に悪役に命中したようだ。
「やった――!!」
少年は自分が勝ったかのように喜びそしてはしゃいだ。
いつの時代も漫画、アニメといったものは人々の心に勇気を与え感動も与えてきた。
そしてこれらを見て感動を覚えた人によって次の世代へと伝わり、世代を越え時代を越えて永遠に止まることのない曲線を描くことになるだろう。
今まさに、この少年もその曲線を描くことになるであろう人間となったのだ。
「テレビ終わったんでしょ〜?宿題しなさい!!」
「……今、元気を分けたから無理〜」
「…………………」
---end---
:08/05/06 08:10 :F905i :3F5UizrQ
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