【SSS】超短レス短編祭り!【飛び入り参加OK!】
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#419 [[居場所(2/3)]蜜月◆oycAM.aIfI]
カナコの死因を俺は知らない。
なぜなら俺はオタクでニートで引きこもりだから。自分の部屋から一歩も出ない俺にわざわざカナコの死因を知らせにくるヤツはいなかった。
で、どうして今義理の母親がこんなにも騒いでいるのかというと、今から葬式だというのにカナコの遺体が棺桶から消えているからだ。
昨日の夜滞りなく通夜を終え、今日の朝――つまりついさっきだが――母親がカナコの亡きがらを確認したところ、棺桶の中は空っぽだったということらしい。
棺桶のある部屋にはろうそくの番にカナコの親戚らしい年配の男がいたが、なんとそいつは夜中の二時には酔っ払っていびきをかいていたんだ。
あの女はそれを知らないが俺は知っている。
なぜか。
カナコの遺体を隠したのは俺だからだ。
カナコは今俺の隣で静かに眠っている。
その眠りが覚めることは永遠に無いが、それでも俺はカナコを自分の手元に置いておきたかった。
:08/06/16 23:38 :SH903i :J7xrqn4I
#420 [[居場所(3/3)]蜜月◆oycAM.aIfI]
五年前に母さんが死ぬ前から、俺と親父は顔を合わせなくなっていた。
その頃はまだ引きこもりではなかったが、しかし俺は仕事に就いていなかった。
そんな俺を見たくなかったのだろう。
いつからかお互いに避けるようになり声を聞くこともなくなった。
そして母さんが死んだ。俺と親父をつなぐ唯一の人がいなくなった。
それはつまり、俺の居場所が無くなるのと同じこと。
そしてあの女が家に来て、俺は引きこもりになった。
でも俺には新しい居場所が出来た。
まだ幼かったカナコは俺に冷たくしなかった。
あまり言葉は交わさなかったけれど、俺達は通じ合っていたはずだ。目を見ればわかる。
母さんを失って俺は学んだ。
失いたくなければ自分の手で捕まえておかなければならない。
でなければ俺はまた居場所を失ってしまう。
かわいい妹を俺から奪うことなど誰にも出来ないのだ。
そうして俺はカナコを捕まえた。
もう二度と離さない。俺のかわいい妹……カナコ……。
:08/06/16 23:39 :SH903i :J7xrqn4I
#421 [◆vzApYZDoz6]
あげますよー
:08/06/23 03:05 :P903i :qKg5R2Vw
#422 [我輩は匿名である]
ageるよ
:08/06/24 09:22 :PC :MWJsF0yA
#423 [[時に残酷な。(1/3)]あに]
わたしが見る景色は、いつも同じ。 空の色が蒼から赤、黒へと変わりまた蒼に戻る。それの繰り返し。
退屈な日常を変えてくれたのは貴方だった。
行き交う人々が見向きもしなかったわたしを、貴方は見付けてくれたわ。
「綺麗だね」
「可愛いね」
貴方は毎日わたしのそばに来て、そう話しかけてくれる。
それだけで、わたしはまた美しくなれる。
貴方の無邪気な笑顔が見れるだけで幸せなの。
――たとえ、僅かな寿命だとしても。
:08/06/24 23:33 :SH903i :ER.bvmo2
#424 [[時に残酷な。(2/3)]あに]
太陽が高く昇っている。そろそろ、彼が来る頃ね。
ほら、やっぱり。
小走りで近づいてくる彼は笑顔で、とても素敵だわ。
「よかったあ。まだ、いたんだ」
少し息を弾ませながら安堵した表情を見せる彼。
わたし、貴方をいつでも待っているのよ?何を今更。
貴方といれるなら、この命、儚くても構わないわ。
今日もわたしに綺麗だと言って。
言葉を待っていると、彼の手が伸びてきた。そして、わたしの首を掴んだ。
:08/06/24 23:34 :SH903i :ER.bvmo2
#425 [[時に残酷な。(3/3)]あに]
次の瞬間、勢いよく胴体と切り離されてしまった。
何を!何をするの!?
嘘よ、どうしてこんなことを!
困惑するわたしに構わず、彼はわたしのカラダの一部を順にちぎり取っていく。
残酷な言葉を囁きながら。
「……リカちゃんはぼくのことを……すき、きらい……すき、……」
嗚呼、貴方の為になるならばこの命、差し上げ給う。
(彼等は時に残酷で。)
:08/06/24 23:36 :SH903i :ER.bvmo2
#426 [[時に残酷な。(3/3)]あに]
2回目の投稿です!
(^ω^;)
文章力がなくて申し訳ない。
また暇な時に投下させていただきます。
:08/06/24 23:38 :SH903i :ER.bvmo2
#427 [◇vzApYZDoz6]
し、白い俺もイケてる!
( ゚∀゚)o彡゚age!
:08/06/25 02:33 :D905i :OoNDRyOU
#428 [帰路(1/3)◆vzApYZDoz6]
がたんがたんがたん。
電車が私達2人の前を、音をたてながら通過する。
かんかんかん。
耳障りな警告音は鳴り止まない。
黒と黄色のスプライトポールの前で、次に通過するであろう電車を2人並んで待っている。
隣に立つ彼女が、なんて事ないように話し始める。
透き通ったその声は夜空に吸い上げられていく。
その先では、真冬の星空が燃えんばかりに瞬いていた。
まるで、これが最後の煌めきだと言わんばかりに。
冷たい夜風が吹き抜ける。
散った木葉が夜空に舞う。
かんかんかん。警告音が鳴り響く。
そして彼女は語り出す。
「もう、何年前の話になんのかなァ」
水色のジャンパーを羽織った彼女。
夏はショートだった髪も、今ではセミロング。
さりげなく存在感を放つフチ無しの眼鏡が、燃え上がる星空の光を淡く反射する。
奥の瞳が、踏み切りのランプの赤い光を吸収する。
黒と黄色のスプライトポールの前で、2人並んで立っている。
かんかんかん。電車はまだ通過しないのか。
ふと彼女を見てみる。
桃色のマフラーに、黒い手袋。彼女が寒がりだということは最近知った。
彼女は語る。透き通った声に混じる白い吐息が、乾燥した冬の空気に消えていく。
かんかんかん。乾燥した冬の空気に響き渡る警告音。
そんなものどうでもいいから早く電車を走らせろよJR。
「隣町に女の子が居てさァ。女の子。14歳。ちょうど今のあたしらと同い年」
:08/06/26 16:11 :P903i :yCWejlVo
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