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#430 [帰路(2/3)◆vzApYZDoz6]
がたんがたんがたん。電車は音をたてながら、もうすぐそこまで迫っている。

聞き取りが難しくなる彼女の声。
横顔が、どこか遠くを眺めている。
かんかんかん。鳴り響く警告音。赤いランプ。
黒と黄色のスプライトポールの前で、2人並んで立っている。
がたんがたんがたんがたん。電車がもうすぐ目の前にやってくる。
そして彼女は語り出す。

「自殺したんだよね」

がたんがたんがたんがたんがたんがたんがたんがたんがたんがたんがたんがたんがたんがたんがたんがたん。
電車が私達2人の前を、凄まじい勢いで通過する。
まるで光のように。
黒と黄色のスプライトポールが上がっていく。赤いランプが消灯する。
彼女が掛けているフチ無し眼鏡が、燃え上がる真冬の星空の光を反射する。
なんて事ないように彼女は進みだす。

私もそれに続く。冷たい風もついてくる。
白い吐息を押しのけて、ノイズのように絡みつく。

頭の中で耳障りなあの音が蘇る。
かんかんかん。それは、終わりへいざなう警告音。

私は彼女の後ろ姿を眺めながら、顔も名前も何も知らないその女の子に、何かを想っていた。

⏰:08/06/26 16:13 📱:P903i 🆔:yCWejlVo


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