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#439 [[闇夜の雨、月(1/1)]蜜月◆oycAM.aIfI]
真っ暗な空。それをどんよりと覆い隠す雲。そしてその雲が悲しみを誘うように落とす雨粒。
そんな雨の降る深夜に、一人の少女が空を眺めていた。

町も静まり返る時刻に、彼女は自室の窓枠に肘をかけ憂いを含んだ表情でぼんやりと一点を見つめている。晴れていれば月が存在するはずの一点を。

随分長い間そうして雲を眺めていた彼女は、おもむろに側にあった携帯電話を手に取る。折り畳まれたそのボディを器用に片手で開くと、小気味のよい音がした。
しかし液晶画面を見た彼女の顔は暗い。雲に覆われた空よりも。
(連絡……来ないなぁ)
口には出さずに心の中だけでそう呟くと、
「はぁ」
と小さなため息を一つ。恐らくは想い人からの連絡を待っているのだろう。
彼女は下唇を噛むと、親指を素早く移動させながらボタンを押し、何やら新しい画面を開く。

しかし指の動きは止まってしまった。
真剣な目で闇に浮かぶ白い画面を見つめる彼女。

しばらくしてようやく指を動かした。
ゆっくりとボタンに親指を乗せ、カチッ、と鳴らすと――画面は真っ黒になってしまった。
「ふぅ……」
携帯電話を折り畳みベッドに放り投げると、彼女は再び窓の向こうに目をやった。さっきと同じ姿勢で、肘を窓にかける。

しかし――その目には、固い決意の光が宿っていた。

⏰:08/07/07 02:18 📱:SH903i 🆔:iEqgZovM


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