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#578 [避難訓練(4/3)◆vzApYZDoz6]
「それはお互い様でしょ。急患を保健室へ連れていくのも保険委員の役目だもの」

お互い様はこっちの台詞だ。だいたいこの教室にはどこにも病人や怪我人なんていないぞ。
グラウンドでは校長の話が明後日の方向に向かい始めていた。座らされている生徒はさぞ辛かろうに。
急患をお望みならグラウンドに行くべきだな。この寒空の下で長時間座らされて、体調を崩している奴が一人ぐらいはいるかもしれん。

「大丈夫よ。保険委員はあたし一人じゃないんだし」

女は俺の横をすり抜けて、窓側の一番後ろの席に陣取った。つまり、ちょうど俺の指定席の後ろである。
手にしているコンビニ袋の中身を机の上にぶちまけて、悪戯そうな笑みを満面に浮かべて俺に向かって手招きした。

⏰:10/03/28 16:18 📱:P08A3 🆔:swSqV4NM


#579 [避難訓練(5/3)◆vzApYZDoz6]
「今は火災発生から7分45秒。
 …結局、不測の事態に対応できるのは普段から遊んでる奴だけだと思わない?」

言い得て妙だ。俺は女の言葉に、そんな感想を抱いていた。

女の前に腰かけて、広げてあるポテトチップスをつまみ上げつつ、これらの菓子類は先程の学級大移動中に買ってきたものだという女の話を聞きながら、さてそろそろグラウンドでの校長の話が終わって生徒が帰ってくるがどうするかという俺の次なる課題の攻略法を考えている時に、ふと己の体感時間の短さに気付いた。

つまり普段から遊んでる奴は常にこういう時間感覚の中にいるからこそ、体感時間が極端に短くなる不測の事態に直面しても焦らず落ち着いた行動の取捨選択を可能にするのであり、こんな堕落した避難訓練を百回と繰り返したところでその結果は変わらないだろうし、結局それが避難訓練の学校におけるいらない行事ベスト3の座を不動のものにしてるんじゃないだろうか。

しかしそれに気付いたのは他ならぬ避難訓練のお陰であり、またクラスでもそこそこ可愛い部類に入る女子生徒との接点も得られたので、まだまだ避難訓練も捨てたものではないと認識を新たにしながら、俺は再開される授業を如何にして早く乗り切るかをまた考え始めるのだった。

⏰:10/03/28 16:19 📱:P08A3 🆔:swSqV4NM


#580 [我輩は匿名である]
2レスもオーバーしちまった…
意外と字数足りないもんだな。

⏰:10/03/28 16:19 📱:P08A3 🆔:swSqV4NM


#581 [【反映して(1/3)】我輩は人間である]

「おい、もうへばってんのかよ。もっと飲め」
「もう無理です!無理ですって!」

満開の桜の下で交わされる言葉は周りから見れば微笑ましい光景だった。
本日5本目の缶ビールを会社の先輩である司馬から無理矢理掴まされて、その後輩である久野は苦笑いの表情で断った。

お花見の場所取りは新入社員である仕事の一つだ。
入社してまだ間もない久野は自分と同時期に入った同僚の中で自ら場所取り役を名乗り出た。
一夜の花見宴会のために朝早くここら辺では桜が綺麗に見える有名なスポットに訪れ、ちらほら他の人に場所を取られていたが充分な場所を取った。
そこから同じく場所取り役であり同期入社の岡部と交代で、今上司が気持ち良さげに寝転んで寝ているこの場所をキープし続けたのである。

「文句言うなよ。断れる身分か?あ?」
「司馬さん飲み過ぎですよ……、もう9はいってるんじゃないですか?」

そもそもこんな必死に(少し大袈裟だが)場所取りを買って出たのは本心ではない。今目の前でベロンベロンに酔って酒を押し付けてくる司馬伸彦のためでもある。

⏰:10/04/08 02:24 📱:S001 🆔:☆☆☆


#582 [【反映して(1/3)】我輩は人間である]

優しく人柄も良く顔もまぁそこそこで上司からの視線も良かった。歓迎会の時だって上手く溶け込んでいいワークライフを過ごしている。だけど打ち解けてない人が一人……それが司馬伸彦である。
話したと言えば挨拶の時しかない。

司馬はテキパキとよく働くし仕事が出来てなんでも有名大学を卒業しているようで、世間一般に言うエリート人間だ。
性格も久野と正反対。愛想なく必要な会話しか話さない、クールと言う言葉がピッタリな人だった。
だけどそれが女性からの支持を受けている。ルックスは男から見てもそりゃもうイケメンで、王子様に例えられるような人でそれも人気の一つだ。

久野はそんな自分と正反対の司馬が気になってばっかりだった。
性格はいいと評判の久野だが仕事の方はイマイチでおっちょこちょい、残業だって数えられないくらいした。
高校の頃は185センチの身長と体格を生かして柔道に没頭していたいわゆるスポーツバカで、頭を使ったりパソコンを使う仕事には不向きな方なのだ。
だから仕事を完璧にこなす司馬にもっとを目を引かれた。話してみたいと気持ちは膨らむ一方だった久野にようやくチャンスが訪れた。

⏰:10/04/08 02:53 📱:S001 🆔:☆☆☆


#583 [【反映して(2/3)】我輩は人間である]
>>581優しく人柄も良く顔もまぁそこそこで上司からの視線も良かった。歓迎会の時だって上手く溶け込んでいいワークライフを過ごしている。だけど打ち解けてない人が一人……それが司馬伸彦である。

司馬はテキパキとよく働くし仕事が出来てなんでも有名大学を卒業しているようで、世間一般に言うエリート人間だ。
性格も久野と正反対。愛想なく必要な会話しか話さない、クールと言う言葉がピッタリな人だった。だけどそれが女性からの支持を受けている。ルックスは男から見てもそりゃもうイケメンで、王子様に例えられるような人でそれも人気の一つだ。
久野はそんな自分と正反対の司馬が気になってばっかりだった。性格はいいと評判の久野だが仕事の方はイマイチでおっちょこちょい、残業だって数えられないくらいした。高校の頃は185センチの身長と体格を生かして柔道に没頭していたいわゆるスポーツバカで、頭を使ったりパソコンを使う仕事には不向きな方なのだ。
だから仕事を完璧にこなす司馬にもっとを目を引かれた。話してみたいと気持ちは膨らむ一方だった久野にようやくチャンスが訪れた。

⏰:10/04/08 02:58 📱:S001 🆔:☆☆☆


#584 [【反映して(3/3)】我輩は人間である]
それが、今日の花見宴会だ。お酒も交える今日この日こそが絶好のチャンスなのだ。でもまさか、
「お前仕事出来なさすぎるんだよ!」
「はい…すいません…」
「酒まだあんだろぉ?出せよ」
「ダメですってもう止めましょ?!一回酔い冷ましましょうって…」
こうなるなんて。こんなんじゃお酒混じりに交流どころかお酒しか混じってない。司馬がまた新しい缶ビールに手をつけようとしている所を久野は焦って言い聞かせながら思った。
「うるさいな…まだ、いけ…る…」
「だから酔いが冷めたらに…って司馬さん……?」
手を出されると困るので缶ビールを手の届かない位置に置いて振り返った時には、もう、スースーとゆっくりとした寝息を立てて木の幹に寄りかかったまま眠りに着いていた。片手にはビールの空き缶が緩く握られている。それを見て久野は溜め息を吐いた、と同時に口元が緩んだ。酒が強い体質じゃない自分にとって缶ビール5本は大分体にきていたが司馬の心地良さそうな寝顔を見ていたら自然と笑みが溢れた。みんなの知らない酔っぱらった一面を見れただけでも良しとしよう。心が桜色に染まった気がした久野のだった。

⏰:10/04/08 03:32 📱:S001 🆔:☆☆☆


#585 [我輩は人間である]
【反映して】

>>581
>>583
>>584


もっと改行したかった…。

⏰:10/04/08 03:33 📱:S001 🆔:☆☆☆


#586 [我輩は匿名である]
上げるぜ

⏰:10/12/04 11:35 📱:P08A3 🆔:wwvC.sEQ


#587 [隠謀(1/2)◆vzApYZDoz6]
目を覚まして最初に飛び込んできたのは、縦横に溝が走るタイル張りの白い天井と、ほのかに黄ばんだ蛍光灯。
耳に入るのは雑多な電子音と、機械が稼働するファンの音。
体を起こそうと上半身に少し力を込めようとして、そこで初めて自分がベッドに寝ている事に気付いた。

「お目覚めかね?」

ベッドの脇から、落ち着き払った男の声。
見ると、白衣を着た初老の男性が立っている。

「……ふん」

口角を片方吊り上げ目を半月状に細めてこちらを見る男から視線を外し、上半身を起こして辺りを見回す。
どこかの研究施設にでもあるようなコンピューターとコンソールの類の機械が、そう広くない室内の壁際にずらりと配置されている。

「第二の人生を手に入れた気分はどうかね?」

白衣の男が問い掛ける。
私は部屋を眺めながら男には目を合わせず、自嘲するように鼻で笑った。

「最悪だな。今すぐ貴様をぶち殺してやりたいくらいには」

「女性があまり汚い言葉を使うべきではないねぇ。ま、どちらにしろそんな事は不可能だけど」

⏰:12/02/19 11:05 📱:P08A3 🆔:9vitOHrA


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