【SSS】超短レス短編祭り!【飛び入り参加OK!】
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#581 [【反映して(1/3)】我輩は人間である]
「おい、もうへばってんのかよ。もっと飲め」
「もう無理です!無理ですって!」
満開の桜の下で交わされる言葉は周りから見れば微笑ましい光景だった。
本日5本目の缶ビールを会社の先輩である司馬から無理矢理掴まされて、その後輩である久野は苦笑いの表情で断った。
お花見の場所取りは新入社員である仕事の一つだ。
入社してまだ間もない久野は自分と同時期に入った同僚の中で自ら場所取り役を名乗り出た。
一夜の花見宴会のために朝早くここら辺では桜が綺麗に見える有名なスポットに訪れ、ちらほら他の人に場所を取られていたが充分な場所を取った。
そこから同じく場所取り役であり同期入社の岡部と交代で、今上司が気持ち良さげに寝転んで寝ているこの場所をキープし続けたのである。
「文句言うなよ。断れる身分か?あ?」
「司馬さん飲み過ぎですよ……、もう9はいってるんじゃないですか?」
そもそもこんな必死に(少し大袈裟だが)場所取りを買って出たのは本心ではない。今目の前でベロンベロンに酔って酒を押し付けてくる司馬伸彦のためでもある。
:10/04/08 02:24 :S001 :☆☆☆
#582 [【反映して(1/3)】我輩は人間である]
優しく人柄も良く顔もまぁそこそこで上司からの視線も良かった。歓迎会の時だって上手く溶け込んでいいワークライフを過ごしている。だけど打ち解けてない人が一人……それが司馬伸彦である。
話したと言えば挨拶の時しかない。
司馬はテキパキとよく働くし仕事が出来てなんでも有名大学を卒業しているようで、世間一般に言うエリート人間だ。
性格も久野と正反対。愛想なく必要な会話しか話さない、クールと言う言葉がピッタリな人だった。
だけどそれが女性からの支持を受けている。ルックスは男から見てもそりゃもうイケメンで、王子様に例えられるような人でそれも人気の一つだ。
久野はそんな自分と正反対の司馬が気になってばっかりだった。
性格はいいと評判の久野だが仕事の方はイマイチでおっちょこちょい、残業だって数えられないくらいした。
高校の頃は185センチの身長と体格を生かして柔道に没頭していたいわゆるスポーツバカで、頭を使ったりパソコンを使う仕事には不向きな方なのだ。
だから仕事を完璧にこなす司馬にもっとを目を引かれた。話してみたいと気持ちは膨らむ一方だった久野にようやくチャンスが訪れた。
:10/04/08 02:53 :S001 :☆☆☆
#583 [【反映して(2/3)】我輩は人間である]
>>581優しく人柄も良く顔もまぁそこそこで上司からの視線も良かった。歓迎会の時だって上手く溶け込んでいいワークライフを過ごしている。だけど打ち解けてない人が一人……それが司馬伸彦である。
司馬はテキパキとよく働くし仕事が出来てなんでも有名大学を卒業しているようで、世間一般に言うエリート人間だ。
性格も久野と正反対。愛想なく必要な会話しか話さない、クールと言う言葉がピッタリな人だった。だけどそれが女性からの支持を受けている。ルックスは男から見てもそりゃもうイケメンで、王子様に例えられるような人でそれも人気の一つだ。
久野はそんな自分と正反対の司馬が気になってばっかりだった。性格はいいと評判の久野だが仕事の方はイマイチでおっちょこちょい、残業だって数えられないくらいした。高校の頃は185センチの身長と体格を生かして柔道に没頭していたいわゆるスポーツバカで、頭を使ったりパソコンを使う仕事には不向きな方なのだ。
だから仕事を完璧にこなす司馬にもっとを目を引かれた。話してみたいと気持ちは膨らむ一方だった久野にようやくチャンスが訪れた。
:10/04/08 02:58 :S001 :☆☆☆
#584 [【反映して(3/3)】我輩は人間である]
それが、今日の花見宴会だ。お酒も交える今日この日こそが絶好のチャンスなのだ。でもまさか、
「お前仕事出来なさすぎるんだよ!」
「はい…すいません…」
「酒まだあんだろぉ?出せよ」
「ダメですってもう止めましょ?!一回酔い冷ましましょうって…」
こうなるなんて。こんなんじゃお酒混じりに交流どころかお酒しか混じってない。司馬がまた新しい缶ビールに手をつけようとしている所を久野は焦って言い聞かせながら思った。
「うるさいな…まだ、いけ…る…」
「だから酔いが冷めたらに…って司馬さん……?」
手を出されると困るので缶ビールを手の届かない位置に置いて振り返った時には、もう、スースーとゆっくりとした寝息を立てて木の幹に寄りかかったまま眠りに着いていた。片手にはビールの空き缶が緩く握られている。それを見て久野は溜め息を吐いた、と同時に口元が緩んだ。酒が強い体質じゃない自分にとって缶ビール5本は大分体にきていたが司馬の心地良さそうな寝顔を見ていたら自然と笑みが溢れた。みんなの知らない酔っぱらった一面を見れただけでも良しとしよう。心が桜色に染まった気がした久野のだった。
:10/04/08 03:32 :S001 :☆☆☆
#585 [我輩は人間である]
:10/04/08 03:33 :S001 :☆☆☆
#586 [我輩は匿名である]
上げるぜ
:10/12/04 11:35 :P08A3 :wwvC.sEQ
#587 [隠謀(1/2)◆vzApYZDoz6]
目を覚まして最初に飛び込んできたのは、縦横に溝が走るタイル張りの白い天井と、ほのかに黄ばんだ蛍光灯。
耳に入るのは雑多な電子音と、機械が稼働するファンの音。
体を起こそうと上半身に少し力を込めようとして、そこで初めて自分がベッドに寝ている事に気付いた。
「お目覚めかね?」
ベッドの脇から、落ち着き払った男の声。
見ると、白衣を着た初老の男性が立っている。
「……ふん」
口角を片方吊り上げ目を半月状に細めてこちらを見る男から視線を外し、上半身を起こして辺りを見回す。
どこかの研究施設にでもあるようなコンピューターとコンソールの類の機械が、そう広くない室内の壁際にずらりと配置されている。
「第二の人生を手に入れた気分はどうかね?」
白衣の男が問い掛ける。
私は部屋を眺めながら男には目を合わせず、自嘲するように鼻で笑った。
「最悪だな。今すぐ貴様をぶち殺してやりたいくらいには」
「女性があまり汚い言葉を使うべきではないねぇ。ま、どちらにしろそんな事は不可能だけど」
:12/02/19 11:05 :P08A3 :9vitOHrA
#588 [隠謀(2/2)◆vzApYZDoz6]
そう言って白衣の男はくぐもったように笑い、側にあったテーブルのマグカップを手に取った。
薄く湯気が立ち上る中身を一口啜り、再び口を開く。
「死人に口なしと言うだろう?」
「………」
自分の手のひらに視線を落とす。
既に血の通わないそれは青白く澱んでおり、軽く握ると冷ややかな感触が返ってきた。
手のひらを自身の胸に当てる。
柔らく弾力があり、それなりの大きさもあるが、しかし心臓の鼓動は微塵も感じてはくれなかった。
「……ふん」
「ま、働きには期待しているよ。その為に君達を直したのだから」
そう言いながら、白衣の男が顎先で部屋の中央を指す。
そこにはベッドが二つ。即ち自分が今いるベッドと、その隣。
自分が着ている物と同じような、簡素な白い患者衣を着た男が、先刻までの自分と同じように眠っている。
その横顔を眺めながら、私は無意識のうちに冷たい手を伸ばした。
男の頬に指先が触れる。と同時に男の眉間に皺が寄り、頬に僅かな力が入る。
驚いて反射的に手を引いた私と、その様子を無表情に眺めていた白衣の男の見守る中、もう一人の屍が目を覚まそうとしていた。
:12/02/19 11:08 :P08A3 :9vitOHrA
#589 [我輩は匿名である]
上げついでに久々投下。
過疎よ去れーッ!
:12/02/19 11:09 :P08A3 :9vitOHrA
#590 [青の中の家(1/3)◆WHAzwTTDUw]
家が激しく揺れ動くせいで目が覚めた。地震だ。
部屋は真っ暗だったが、ぼんやりとしていた目がだんだんと冴えてきて、激しく揺れ動く電気のスイッチの紐を見る事ができた。震度五、あるいは六かもしれない。とにかく、強烈な揺れだった。
揺れが収束する。妻がいなくてよかったと、私は思った。妻はひどく地震に弱い。震度三程度でもこの世の終わりかと思うほど、あたふたとする。何故そんなに地震を恐れるかというと、阪神・淡路大震災を体験しているからだ。あれが妻に強烈なトラウマを与えるきっかけとなった。
妻は訳あって実家に帰っている。私の家は東京にあるから、もしかすると微弱な地震が届いたかもしれない。しかし、まあ震度五、六の地震を味わうよりかはいいだろう。
私はベッドを降りて、居間に向かった。テーブルの上に置かれたリモコンを持ち、スイッチを押した。しかし、テレビは点かなかった。沈黙を保ち続けた。
どうやら停電したらしい。まあ、結構な揺れだったので、停電になってもおかしくないと、私は思った。
私は寝室に行き、布団にくるまった。眠るのにそう時間はかからなかった。
:12/02/19 19:03 :biblio :.BF1/ONc
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