木の下でかくれんぼ
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#173 [ちむ◆Hi9o8eIXuA]
なんて楽しいのだろう。こんなに楽しいことがこの世にあったなんて。
もっと……。
もっとわたしを溺れさせて、狂気に、溺れさせて……!
わたしが冷酷非道な行動に酔いしれていた、その時だった。
:08/05/07 23:37
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#174 [ちむ◆Hi9o8eIXuA]
「……うぅ……」
すぐ近くの背後でうめき声が聞こえた。風や木々の音ではない、確かに人の声だった。
わたしは咄嗟にそちらを向く。
しかしそこには深い闇が果てなく続くだけで、人影など何処にもなかった。
:08/05/07 23:50
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#175 [ちむ◆Hi9o8eIXuA]
「…………」
馬鹿な、こんな深夜に誰かいるのか? 誰かわたしをつけて来たのか?
うめき声が聞こえたその先、そこには花壇と飼育小屋がある。隠れるなら飼育小屋しかないだろう。
まさしく袋の鼠……焦ることはない。
:08/05/08 21:52
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#176 [ちむ◆Hi9o8eIXuA]
「……誰かいるのね?」
返事はない。
「隠れても無駄よ。貴方は今、飼育小屋にいる。逃げ場はないわ。大人しく出てきて命乞いなさい」
:08/05/10 09:13
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#177 [ちむ◆Hi9o8eIXuA]
ゆっくりと、物音を立てないように、てさげ鞄から肉切り包丁を取り出した。
アサミさんを解体するために持ってきたものだった。
それは月明かりに反射し、ぎらぎらと妖しくきらめいている。
:08/05/10 09:13
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#178 [ちむ◆Hi9o8eIXuA]
飼育小屋に近づき、暗闇に目をこらして飼育小屋付近を調べた。
しかし誰もいない。いや、いてはいけない。いるわけがないのだ。
飼育小屋の中も一応調べたが、誰もいなかった。
:08/05/10 13:40
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#179 [ちむ◆Hi9o8eIXuA]
「……気のせいだったのかしら……」
ふに落ちないまま諦めかけた時、ちりん、ちりんと、何処からか鈴の音が聞こえてきた。
鈴の音は一定の軽やかなリズムと共にこちらに近づいてくる。
わたしは身を強ばらせ、暗闇に目を見張る。
:08/05/10 13:41
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#180 [ちむ◆Hi9o8eIXuA]
……唐突に、飼育小屋の影から黒い小さな塊が飛び出してきた。
「……きゃ……!」
わたしは驚いて小さな悲鳴をあげた。
:08/05/10 13:43
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#181 [ちむ◆Hi9o8eIXuA]
落ち着いて見てみると、それは鈴付の首輪をつけた、黒い子猫だった。
透き通る大きな瞳がわたしをじっと見ている。
真っ黒な毛並みを持っていたため、闇と同化しているように見えた。
:08/05/10 13:43
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#182 [ちむ◆Hi9o8eIXuA]
「……悪い子ね、こんな夜中に子猫がうろついちゃ駄目じゃない」
先ほどの声の主はこの子猫だったのか、と、わたしは安堵して胸を撫で下ろす。
おそらく、飼育小屋の鶏でも狙って来たのだろう。
:08/05/10 13:47
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