木の下でかくれんぼ
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#177 [ちむ◆Hi9o8eIXuA]
ゆっくりと、物音を立てないように、てさげ鞄から肉切り包丁を取り出した。
アサミさんを解体するために持ってきたものだった。
それは月明かりに反射し、ぎらぎらと妖しくきらめいている。
:08/05/10 09:13
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#178 [ちむ◆Hi9o8eIXuA]
飼育小屋に近づき、暗闇に目をこらして飼育小屋付近を調べた。
しかし誰もいない。いや、いてはいけない。いるわけがないのだ。
飼育小屋の中も一応調べたが、誰もいなかった。
:08/05/10 13:40
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#179 [ちむ◆Hi9o8eIXuA]
「……気のせいだったのかしら……」
ふに落ちないまま諦めかけた時、ちりん、ちりんと、何処からか鈴の音が聞こえてきた。
鈴の音は一定の軽やかなリズムと共にこちらに近づいてくる。
わたしは身を強ばらせ、暗闇に目を見張る。
:08/05/10 13:41
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#180 [ちむ◆Hi9o8eIXuA]
……唐突に、飼育小屋の影から黒い小さな塊が飛び出してきた。
「……きゃ……!」
わたしは驚いて小さな悲鳴をあげた。
:08/05/10 13:43
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#181 [ちむ◆Hi9o8eIXuA]
落ち着いて見てみると、それは鈴付の首輪をつけた、黒い子猫だった。
透き通る大きな瞳がわたしをじっと見ている。
真っ黒な毛並みを持っていたため、闇と同化しているように見えた。
:08/05/10 13:43
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#182 [ちむ◆Hi9o8eIXuA]
「……悪い子ね、こんな夜中に子猫がうろついちゃ駄目じゃない」
先ほどの声の主はこの子猫だったのか、と、わたしは安堵して胸を撫で下ろす。
おそらく、飼育小屋の鶏でも狙って来たのだろう。
:08/05/10 13:47
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#183 [ちむ◆Hi9o8eIXuA]
「……おいで」
わたしが手を差し伸べると、子猫はゆっくりと近付いてきた。
差し出したわたしの手に自ら体を擦り付け、ゴロゴロと喉を鳴らしている。
その人慣れした様子に、わたしは目を丸くした。
:08/05/10 13:47
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#184 [ちむ◆Hi9o8eIXuA]
「他人にもなついてくるなんて。……人懐っこいのね、キミは……」
わたしは猫を両手で持ち上げ、学校の柵の外へと連れ出した。
子猫はわたしを見上げ、ニャア、と幼さを孕んだ声で鳴いた。
:08/05/10 13:52
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#185 [ちむ◆Hi9o8eIXuA]
わたしはバイバイ、と小さく手を振った。
こうでもしなければ、ぴっとりと付きまとわれて無闇に鈴を鳴らされては落ち着いて《後片付け》も出来ないのだ。
:08/05/10 13:53
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#186 [ちむ◆Hi9o8eIXuA]
「じゃあね」
わたしがその場から立ち去ろうとすると、子猫は身をひるがえして暗闇へと消えた。
このまま自分の家へと帰るのだろう。そう思っていた。
:08/05/10 14:52
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