木の下でかくれんぼ
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#180 [ちむ◆Hi9o8eIXuA]

……唐突に、飼育小屋の影から黒い小さな塊が飛び出してきた。


「……きゃ……!」


わたしは驚いて小さな悲鳴をあげた。

⏰:08/05/10 13:43 📱:L704i 🆔:xNNDi4Qw


#181 [ちむ◆Hi9o8eIXuA]

落ち着いて見てみると、それは鈴付の首輪をつけた、黒い子猫だった。

透き通る大きな瞳がわたしをじっと見ている。

真っ黒な毛並みを持っていたため、闇と同化しているように見えた。

⏰:08/05/10 13:43 📱:L704i 🆔:xNNDi4Qw


#182 [ちむ◆Hi9o8eIXuA]

「……悪い子ね、こんな夜中に子猫がうろついちゃ駄目じゃない」

先ほどの声の主はこの子猫だったのか、と、わたしは安堵して胸を撫で下ろす。

おそらく、飼育小屋の鶏でも狙って来たのだろう。

⏰:08/05/10 13:47 📱:L704i 🆔:xNNDi4Qw


#183 [ちむ◆Hi9o8eIXuA]

「……おいで」

わたしが手を差し伸べると、子猫はゆっくりと近付いてきた。

差し出したわたしの手に自ら体を擦り付け、ゴロゴロと喉を鳴らしている。

その人慣れした様子に、わたしは目を丸くした。

⏰:08/05/10 13:47 📱:L704i 🆔:xNNDi4Qw


#184 [ちむ◆Hi9o8eIXuA]

「他人にもなついてくるなんて。……人懐っこいのね、キミは……」

わたしは猫を両手で持ち上げ、学校の柵の外へと連れ出した。

子猫はわたしを見上げ、ニャア、と幼さを孕んだ声で鳴いた。

⏰:08/05/10 13:52 📱:L704i 🆔:xNNDi4Qw


#185 [ちむ◆Hi9o8eIXuA]

わたしはバイバイ、と小さく手を振った。

こうでもしなければ、ぴっとりと付きまとわれて無闇に鈴を鳴らされては落ち着いて《後片付け》も出来ないのだ。

⏰:08/05/10 13:53 📱:L704i 🆔:xNNDi4Qw


#186 [ちむ◆Hi9o8eIXuA]

「じゃあね」

わたしがその場から立ち去ろうとすると、子猫は身をひるがえして暗闇へと消えた。

このまま自分の家へと帰るのだろう。そう思っていた。

⏰:08/05/10 14:52 📱:L704i 🆔:xNNDi4Qw


#187 [ちむ◆Hi9o8eIXuA]

しかし、子猫は数メートル先の木の下で立ち止まった。

暗闇の中でチリチリと鈴の音が数回に渡って鳴り、その音からして《何かにすりついている》ように感じられた。

⏰:08/05/10 20:01 📱:L704i 🆔:xNNDi4Qw


#188 [ちむ◆Hi9o8eIXuA]

わたしは眉をひそめる。

……何か、いるのか。

わたしは耳をすまし、鈴の音を聞き取ることに集中した。

⏰:08/05/10 20:02 📱:L704i 🆔:xNNDi4Qw


#189 [ちむ◆Hi9o8eIXuA]

その時、風に乗り消え入りそうな声が聞こえてきた。間違いなく、人の声だった。


「駄目だよ、鈴を鳴らしちゃ駄目……!」

………………
…………
……


お前は、誰だ?

⏰:08/05/10 20:03 📱:L704i 🆔:xNNDi4Qw


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