木の下でかくれんぼ
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#281 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

彼女は私やスズキアサミのクラスメイトで、雪のように白い肌と深い闇をそのまま束にしたようなショートヘアが印象的な子だった。

私が言えたぎりではないが、影を好むかのように人ごみに紛れてひっそりと生きるあの陰気くさい性格さえなければ、必ずや異性の目をひくであろう美貌の持ち主である。

それはスズキアサミに双子かと疑うくらい瓜二つの容姿で、彼女はたびたびその事でクラスメイトに罵られて傷ついているようだった。

⏰:08/08/21 00:36 📱:L704i 🆔:TkuPywH.


#282 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

内気な彼女は反抗するということを知らず、ただ彼女らのひどい罵声を受け止め鵜呑みにしていた。

最近はスズキアサミ本人までムラカミサエコをいじめるようになった。

助ける者は誰もいない。

⏰:08/08/21 00:37 📱:L704i 🆔:TkuPywH.


#283 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

けれど、それはしょうがないことだった。

このクラスときたら、まったく他のクラスが光り輝いて見えるほどの〈ガラクタ〉の寄せ集めなのだから。

それは当然、私も含めたことである。

⏰:08/08/21 00:38 📱:L704i 🆔:TkuPywH.


#284 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

「サエコのやつ、やっぱりカミヤマくんと付き合ってたのね……。そうなんでしょ? アキコ?」

スズキアサミがとり巻きの一人に聞いた。

肩まであるポニーテールを揺らして、ササキアキコは戸惑ったように頷いた。

⏰:08/08/21 00:40 📱:L704i 🆔:TkuPywH.


#285 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

「うん。あいつ、カミヤマくんと何度も一緒に帰ってたしさ。間違いないよ」

「許せない。あんなやつを今まで教師や先輩のイジメからかばってたアタシも馬鹿だった」

スズキアサミは悔しそうに眉根に皺を寄せて、がりがりと爪を噛んだ。

彼女の癖だった。

⏰:08/08/21 00:41 📱:L704i 🆔:TkuPywH.


#286 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

「カミヤマくんだってサエコなんかに近寄られて嫌がってるに違いないわ、だけど優しいから嫌って言えないのよ。許さないから、本当に許さないんだから、サエコ……」

その時、唐突に教師が教室に大量のプリントを抱えて戻ってきた。

とたんにクラスのざわめきが消えうせ、視線が教卓に集まった。

⏰:08/08/21 00:43 📱:L704i 🆔:TkuPywH.


#287 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

立ち歩いていたスズキアサミのとり巻き達はあわてて急ぎ足で各々の机に帰っていった。

やれやれ、これでやっと静かになる、と私はうなだれていた身をおこした。

私の後ろの席に座ったとり巻きの一人に、ササキアキコが帰り際に周りを気にしながら小声でささやいた。

⏰:08/08/21 00:45 📱:L704i 🆔:TkuPywH.


#288 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

「やばいよ。アサミ、わたしの作った嘘を信じちゃってるんだけど」

声が震えている。

明らかに嘘がばれてしまうことに怯えていた。

相手はあっけらかんと笑いながらそれに返した。

⏰:08/08/21 00:46 📱:L704i 🆔:TkuPywH.


#289 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

「別にいいんじゃない、放っておいてもさ。サエコがアサミに口ごたえするわけないし」

「でも」

「大丈夫だって。それにさ、アサミがサエコになにするか見とこうよ。面白そうじゃん?」

⏰:08/08/21 00:51 📱:L704i 🆔:TkuPywH.


#290 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

ササキアキコは苦笑いしながら席へと帰っていく。

続けて担任教師による冬休みについての説明が始まり、注意事項がびっしりとつまったプリントがいくつか回されてきた。

⏰:08/08/21 00:52 📱:L704i 🆔:TkuPywH.


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