木の下でかくれんぼ
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#287 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

立ち歩いていたスズキアサミのとり巻き達はあわてて急ぎ足で各々の机に帰っていった。

やれやれ、これでやっと静かになる、と私はうなだれていた身をおこした。

私の後ろの席に座ったとり巻きの一人に、ササキアキコが帰り際に周りを気にしながら小声でささやいた。

⏰:08/08/21 00:45 📱:L704i 🆔:TkuPywH.


#288 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

「やばいよ。アサミ、わたしの作った嘘を信じちゃってるんだけど」

声が震えている。

明らかに嘘がばれてしまうことに怯えていた。

相手はあっけらかんと笑いながらそれに返した。

⏰:08/08/21 00:46 📱:L704i 🆔:TkuPywH.


#289 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

「別にいいんじゃない、放っておいてもさ。サエコがアサミに口ごたえするわけないし」

「でも」

「大丈夫だって。それにさ、アサミがサエコになにするか見とこうよ。面白そうじゃん?」

⏰:08/08/21 00:51 📱:L704i 🆔:TkuPywH.


#290 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

ササキアキコは苦笑いしながら席へと帰っていく。

続けて担任教師による冬休みについての説明が始まり、注意事項がびっしりとつまったプリントがいくつか回されてきた。

⏰:08/08/21 00:52 📱:L704i 🆔:TkuPywH.


#291 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

私は冬休みをどう過ごすかということよりも、ある一つの考えに一生懸命、頭を回転させていた。

面白くなってきた。

しばらくは退屈せずにすむかもしれない。

再び窓の外を見ると、窓ガラスには肘まくらをして楽しそうに微笑んだ私が映っていた。

⏰:08/08/21 00:54 📱:L704i 🆔:TkuPywH.


#292 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]



「サエコさん。ちょっといいかしら」

下校前のホームルームが終わり、私は教室から出ようとするムラカミサエコをひき止めた。

彼女は驚いたように目を丸くしたあと、リュックを背負い直して私の方に向きなおる。

⏰:08/08/21 07:18 📱:L704i 🆔:TkuPywH.


#293 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

教室には私とムラカミサエコのふたりきりになった。

「どうしたの?」

ムラカミサエコの大きな瞳に私が映る。

「実は、あなたに伝えたいことがあって」

私は昨日聞いたスズキアサミの企みを、さも危険そうに話を大袈裟にして彼女に伝えた。

⏰:08/08/21 07:18 📱:L704i 🆔:TkuPywH.


#294 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

話し終えたあと、ムラカミサエコは焦点の定まらない泳いだ困惑を孕んだ目でこちらを見る。

彼女の目には涙がたまっていた。

その涙の理由は恐怖なの?

それとも悲しみ?

私はわき上がる笑いを堪えるのに必死だった。

⏰:08/08/21 08:00 📱:L704i 🆔:TkuPywH.


#295 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

「それは本当なの? わたしはカミヤマくんと付き合ってなんてないのに、誤解だわ」

私は彼女の肩に手を置いた。

そして、いかにも貴方を心底あわれんでいる、けれど私は貴方の唯一無二の味方よ、というような表情をつくった。

⏰:08/08/21 08:05 📱:L704i 🆔:TkuPywH.


#296 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

「まったくね。危ないことをされて怪我なんてしないように、頑張ってちょうだいね」

そう最後に言うと、私は教室をあとにした。

しばらく下駄箱でムラカミサエコを待っていたが、彼女はいつになっても降りてくることはなかった。

⏰:08/08/21 08:06 📱:L704i 🆔:TkuPywH.


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