木の下でかくれんぼ
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#316 [もえ子◆Hi9o8eIXuA]
「嘘だよ」
あきれたような眼差しで私を見ながら、カミヤマミヤトはつぶやくように言った。
「君はアサミがサエコに屋上に来るように告げた時、確かにその場にいた。黒板消しなんて下手な芝居をしながら。ササキアキコがサエコをなじった時に一緒に笑ってた、サエコが泣いた時も笑ってた」
:08/08/30 06:55
:L704i
:7BwVXeEI
#317 [もえ子◆Hi9o8eIXuA]
「……っ……!」
私の手が震え始め、小説が机に滑り落ちた。
何故、どうして?
目の前がぐるぐると回り出す。
:08/08/30 06:56
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#318 [もえ子◆Hi9o8eIXuA]
この男は、カミヤマミヤトは、一体なにを言っているのだろう?
なぜ芝居などと分かるのだろう?
そもそも、なぜ全てを知っていたのにわざわざ私に訊いてきたのだろう?
:08/08/30 06:56
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#319 [もえ子◆Hi9o8eIXuA]
恐ろしい。
葛藤する心は私の体を心底震えあがらせていた。
クラスメイトのざわめきがここは地獄の修羅場などではないことを教える。
:08/08/30 06:57
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#320 [もえ子◆Hi9o8eIXuA]
「僕は回りくどいものが嫌いだから、単刀直入に言うよ。アンドウナナミ、僕とサエコの邪魔をしたら容赦しない。見学者気取りで詮索を入れるのも止めることだな」
少し間をあけて私は訊いた。
「……どういうこと?」
:08/08/30 06:58
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#321 [もえ子◆Hi9o8eIXuA]
「君は難しく考えなくていいんだよ。どうせ君は絶対的な運命に逆らえはしないんだ」
彼は静かにささやいた。
「運命?」
:08/08/30 06:58
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#322 [もえ子◆Hi9o8eIXuA]
震える私の頬に氷のように冷たい手をおき、先ほどまでの恐ろしい剣幕ではなくひどく優しい笑顔でこう言った。
「簡単なことさ……」
カミヤマミヤトは目を細めてくすっと声をたてた。
:08/08/30 06:59
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#323 [もえ子◆Hi9o8eIXuA]
そして、ひどく恐ろしくて残酷な明確な言葉を口にした。
「……君だって、……命は惜しいだろう……? フフフ……」
「い、イノチ?」
授業の開始を告げるチャイムが教室に響きわたる。
:08/08/30 07:00
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#324 [もえ子◆Hi9o8eIXuA]
それと同時に数学の教師が入ってきた。
教室の至るところにたち歩いていたクラスメイト達は、しぶしぶ自席に戻っていく。
騒がしかった教室は風にさらわれた砂煙のように褪めた。
:08/08/30 07:02
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#325 [もえ子◆Hi9o8eIXuA]
「じゃあ、また……」
カミヤマミヤトはヒラヒラと手をふった。
「ま、……待って!」
彼が立ち去ろうとするところを、私はかすれた声でひき止めた。
:08/08/30 07:03
:L704i
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