木の下でかくれんぼ
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#273 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

モウ、逃ゲラレナイ。

「いやぁあぁぁーっ! お母さん! お母さん! 私を殺しにきたあの死神を早くどこかへ連れていってぇ! 早く、早くーっ!」

⏰:08/08/17 23:15 📱:L704i 🆔:P3f9E//o


#274 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

私は叫んだ。

あらんかぎりの声で叫んだ。

「ナナミどうしたの? 落ち着きなさい、ナナミ!」

助けてお母さん。

母親に助けを求めて必死にしがみついても、狂い叫ぶ私に混乱していて私と死神を交互に見つめるばかりだった。

⏰:08/08/18 11:31 📱:L704i 🆔:7dEREgGc


#275 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

近くにあるものをあらかた投げ終えたところで、死神は口を開いた。

「とって食うつもりはないんだよ、アンドウナナミさん。ぼくはただ、一週間もの間ちゃんと約束を守ってくれた君にご褒美をあげたくって来たんだ」

ご褒美。

そう言って死神が取り出したのは、まだ乾ききっていないどす黒い血がたっぷりとこびりついた金槌だった。

⏰:08/08/18 11:34 📱:L704i 🆔:7dEREgGc


#276 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

それをしっかりと握りしめてこちらに歩いてくる。

「お願いよ助けて」

それは逃げる暇もなくして、私の頭上に高く振り上げられた。

⏰:08/08/18 11:36 📱:L704i 🆔:7dEREgGc


#277 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]



クラスメイトのスズキアサミと私は席が前後と近い。

だから必然的によほどの小声でない限りは会話がまるまる聞こえてくる。

私には盗み聞きなんていう趣味はないし嫌いであるから、いつもは読書の妨げをする雑音程度にあしらっていた。

⏰:08/08/21 00:18 📱:L704i 🆔:TkuPywH.


#278 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

今日もいつものようにスズキアサミのうふふというよく通る陽気な声と、そのとりまき逹のぎゃははという下品な笑い声が耳に入っていた。

自習時間だというのに立ち回っている挙げ句、大声で立ち話というのはいただけない。

クラスメイトの白い視線に気付かないのだろうかと首を傾げた。

私はため息をつく。

⏰:08/08/21 00:19 📱:L704i 🆔:TkuPywH.


#279 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

確かに入れたと思っていたお気に入りの小説は忘れるし、天気は大嫌いな太陽の照りつける快晴だし、気分は最悪だった。

仕方なく机に突っ伏して空を眺めていると、スズキアサミの怒りを孕んだ声が聞こえてきた。

普段は仮面のように完璧すぎる笑顔をはりつけ甘ったるい声色でクラスメイトに接するスズキアサミとは思えない。

興味をそそられつつも、私は変わらず窓の外へと目を向けていた。

⏰:08/08/21 00:21 📱:L704i 🆔:TkuPywH.


#280 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

「明日はサエコのやつを屋上に呼び出して問い詰めてやるわ。どうせ何も言わないんだろうけど、その時は考えがあるもの」

私は驚き目を少し大きくして話を聞き始めた。

ムラカミサエコ。

その話題の人物に前々から興味があったからである。

⏰:08/08/21 00:32 📱:L704i 🆔:TkuPywH.


#281 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

彼女は私やスズキアサミのクラスメイトで、雪のように白い肌と深い闇をそのまま束にしたようなショートヘアが印象的な子だった。

私が言えたぎりではないが、影を好むかのように人ごみに紛れてひっそりと生きるあの陰気くさい性格さえなければ、必ずや異性の目をひくであろう美貌の持ち主である。

それはスズキアサミに双子かと疑うくらい瓜二つの容姿で、彼女はたびたびその事でクラスメイトに罵られて傷ついているようだった。

⏰:08/08/21 00:36 📱:L704i 🆔:TkuPywH.


#282 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

内気な彼女は反抗するということを知らず、ただ彼女らのひどい罵声を受け止め鵜呑みにしていた。

最近はスズキアサミ本人までムラカミサエコをいじめるようになった。

助ける者は誰もいない。

⏰:08/08/21 00:37 📱:L704i 🆔:TkuPywH.


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