木の下でかくれんぼ
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#278 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

今日もいつものようにスズキアサミのうふふというよく通る陽気な声と、そのとりまき逹のぎゃははという下品な笑い声が耳に入っていた。

自習時間だというのに立ち回っている挙げ句、大声で立ち話というのはいただけない。

クラスメイトの白い視線に気付かないのだろうかと首を傾げた。

私はため息をつく。

⏰:08/08/21 00:19 📱:L704i 🆔:TkuPywH.


#279 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

確かに入れたと思っていたお気に入りの小説は忘れるし、天気は大嫌いな太陽の照りつける快晴だし、気分は最悪だった。

仕方なく机に突っ伏して空を眺めていると、スズキアサミの怒りを孕んだ声が聞こえてきた。

普段は仮面のように完璧すぎる笑顔をはりつけ甘ったるい声色でクラスメイトに接するスズキアサミとは思えない。

興味をそそられつつも、私は変わらず窓の外へと目を向けていた。

⏰:08/08/21 00:21 📱:L704i 🆔:TkuPywH.


#280 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

「明日はサエコのやつを屋上に呼び出して問い詰めてやるわ。どうせ何も言わないんだろうけど、その時は考えがあるもの」

私は驚き目を少し大きくして話を聞き始めた。

ムラカミサエコ。

その話題の人物に前々から興味があったからである。

⏰:08/08/21 00:32 📱:L704i 🆔:TkuPywH.


#281 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

彼女は私やスズキアサミのクラスメイトで、雪のように白い肌と深い闇をそのまま束にしたようなショートヘアが印象的な子だった。

私が言えたぎりではないが、影を好むかのように人ごみに紛れてひっそりと生きるあの陰気くさい性格さえなければ、必ずや異性の目をひくであろう美貌の持ち主である。

それはスズキアサミに双子かと疑うくらい瓜二つの容姿で、彼女はたびたびその事でクラスメイトに罵られて傷ついているようだった。

⏰:08/08/21 00:36 📱:L704i 🆔:TkuPywH.


#282 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

内気な彼女は反抗するということを知らず、ただ彼女らのひどい罵声を受け止め鵜呑みにしていた。

最近はスズキアサミ本人までムラカミサエコをいじめるようになった。

助ける者は誰もいない。

⏰:08/08/21 00:37 📱:L704i 🆔:TkuPywH.


#283 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

けれど、それはしょうがないことだった。

このクラスときたら、まったく他のクラスが光り輝いて見えるほどの〈ガラクタ〉の寄せ集めなのだから。

それは当然、私も含めたことである。

⏰:08/08/21 00:38 📱:L704i 🆔:TkuPywH.


#284 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

「サエコのやつ、やっぱりカミヤマくんと付き合ってたのね……。そうなんでしょ? アキコ?」

スズキアサミがとり巻きの一人に聞いた。

肩まであるポニーテールを揺らして、ササキアキコは戸惑ったように頷いた。

⏰:08/08/21 00:40 📱:L704i 🆔:TkuPywH.


#285 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

「うん。あいつ、カミヤマくんと何度も一緒に帰ってたしさ。間違いないよ」

「許せない。あんなやつを今まで教師や先輩のイジメからかばってたアタシも馬鹿だった」

スズキアサミは悔しそうに眉根に皺を寄せて、がりがりと爪を噛んだ。

彼女の癖だった。

⏰:08/08/21 00:41 📱:L704i 🆔:TkuPywH.


#286 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

「カミヤマくんだってサエコなんかに近寄られて嫌がってるに違いないわ、だけど優しいから嫌って言えないのよ。許さないから、本当に許さないんだから、サエコ……」

その時、唐突に教師が教室に大量のプリントを抱えて戻ってきた。

とたんにクラスのざわめきが消えうせ、視線が教卓に集まった。

⏰:08/08/21 00:43 📱:L704i 🆔:TkuPywH.


#287 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

立ち歩いていたスズキアサミのとり巻き達はあわてて急ぎ足で各々の机に帰っていった。

やれやれ、これでやっと静かになる、と私はうなだれていた身をおこした。

私の後ろの席に座ったとり巻きの一人に、ササキアキコが帰り際に周りを気にしながら小声でささやいた。

⏰:08/08/21 00:45 📱:L704i 🆔:TkuPywH.


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