木の下でかくれんぼ
最新 最初 🆕
#337 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]



ホームルームも終わり、クラスメイト達が帰り支度をしている頃、私は下駄箱に急ぎ足で向かっていた。

もちろん、でっち上げのラブレターをスズキアサミの下駄箱に差し入れておくためである。

⏰:08/09/24 20:53 📱:L704i 🆔:hstCBtAY


#338 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

下駄箱にいち早く着くと、私はスズキアサミの下駄箱にラブレターを素早く差し入んだ。

その瞬間、甘美なる罪悪感とこれから起こるであろう波乱に心臓が高鳴った。

誰も見ていないか周りを確認する。

⏰:08/09/24 22:54 📱:L704i 🆔:hstCBtAY


#339 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

辺りはシンと静まっていて、人の気配はまるで感じられない。

私は胸を撫で下ろした。

「……なにかひと悶着ありそうな予感がしていたけれど、なんだか、面白いくらいすんなり成功したわね。……明日が、楽しみだわ」

⏰:08/09/24 23:00 📱:L704i 🆔:hstCBtAY


#340 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

階段から、生徒達の笑い声が聞こえてきた。

ほとんどのクラスがほぼ一斉にホームルームを終えたのだろう。

私はあわてて鞄を背負い、下駄箱の影に身を潜めた。

⏰:08/09/25 17:27 📱:L704i 🆔:XnE4DeII


#341 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

姿をみられるのは計算外のことだったので、足早に退散することにした、その時、だった。

冷たくて、柔らかくて、それでいて地獄の底から響きわたってきているかのような重さを持った、聞き慣れた男の声。

カミヤマミヤト。

⏰:08/09/25 17:29 📱:L704i 🆔:XnE4DeII


#342 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

「駄目だよ、アンドウさん。アサミの下駄箱に、こんなものを残して帰る気かい?」

カミヤマミヤトは、先ほど私がスズキアサミの下駄箱に差し入れておいたラブレターをちらつかせて言った。

口元は不気味に歪められ笑っているが、目はあまりの寒さに凍ってしまった流水のごとく、微動だにしていない。

⏰:08/09/25 20:12 📱:L704i 🆔:XnE4DeII


#343 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

しかし、それは澄んだ氷ではなく汚濁の混じった純度の低い氷のようだった。

少し汚ない表現で表すならば、まさに死んだ魚の目、である。

私は全身から血の気がひいていくのを感じた。

手のひらに、おかしな汗が滲む。

⏰:08/09/25 20:13 📱:L704i 🆔:XnE4DeII


#344 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

あれほど僕達には関わるなと言っておいたはずだ。

言葉は交わされなくとも、しっかりと分かるくらいに明確に、カミヤマミヤトは目でそう問いかけていた。

カミヤマミヤトは無言のままラブレターの封を乱雑に破り、中身のルーズリーフを取り出した。

⏰:08/09/25 20:59 📱:L704i 🆔:XnE4DeII


#345 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

彼は機械的な動きでルーズリーフを開き、目だけを動かして連なられた文字を読んでいく。

喉元まできていた叫び声を、私は必死に抑え込めた。

こんな修羅場を全く知らない生徒達は、心底楽しそうな笑い声を上げて私達の横を抜けて帰宅していった。

⏰:08/09/25 21:00 📱:L704i 🆔:XnE4DeII


#346 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

できることなら、私も早く家に帰って毛布にくるまりたかった。

でっち上げのラブレターを読み終えたらしいカミヤマミヤトは、フフフと笑い声をたててラブレターを破り捨てた。

私の足元に、無数の紙切れがゆっくりと舞い落ちる。

⏰:08/09/25 21:01 📱:L704i 🆔:XnE4DeII


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194