*柴日記*
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#263 [向日葵]
こんな事ではいけない。
今お母さん達がいない以上、自分が皆の事をちゃんと面倒みなくちゃならないんだから……。
しっかりしないと。

私は苺の頭を撫でて微笑む。

「ありがとう苺。でもお姉ちゃん大丈夫よ。着替えるから、苺は先に下に行ってな」

「うんっ」

もう一度ぎゅーっと抱きついてから、苺は私の部屋を出て行った。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

リビングのテーブルの上にはピザのチラシが沢山広げられている。

⏰:08/04/26 02:22 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#264 [向日葵]
皆で「ここの店がおいしい」やら「これが食べたい」やら話をする中、私は少し疲れた気分でいた。

「越姉、どれがいい?」

空の声に、ピクリと反応して思わず「え?」と聞き返した。

「越姉はどれが食べたい?」

「お姉ちゃんはミックスピザでいいよ。そんなにお腹も減ってないし」

正直食べるのもどうかと思った。
特に食べたいとさえ思わなかった。

そんな私を見つめる視線を感じた。
柴だ。

⏰:08/04/26 02:26 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#265 [向日葵]
その視線を、受けとめる事が出来なかった。
これじゃますます柴が気をつかってしまう。

しっかりしなきゃ……。
しっかりして、私。
しっかり……しっかり……。

世界が逆になった気がした。
何が起きたか分からない。

誰かの叫び声と、私の体を抱き起こし、揺さぶる力強い腕を感じるのを最後に、私は意識を手放したのだった……。

⏰:08/04/26 02:32 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#266 [向日葵]
―*6日目*―

頭の中がうまく回転してくれない。
それは柴に嫌われるのが嫌で、前みたいな振る舞い方を忘れてしまったからなのかもしれない。

(神田家・長女・越談)




「寝てなって言ってんだろ」

「いーやっ!」

さっきからこの繰り返し。

昨日倒れた私は、救急で夜病院に行くと過労と判断された。

⏰:08/04/26 02:36 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#267 [向日葵]
そして今、いつも通り起きようとすれば、部屋に入ってきたお母さんに止められた。

「いっぱい寝たからもう大丈夫なの。私が動かないと皆に迷惑かけちゃうから……っ」

「越」

静かなお母さんの声に、私は黙った。
そしてお母さんは軽く私の両方の頬をつねる。

「アンタばっかり何もかも背負ったって仕方ないのよ。何の為の家族?それに、無理して倒れた方がもっと迷惑かけるのよ」

そこまで言われては、何も言い返す事は出来なかった。

⏰:08/04/26 02:41 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#268 [向日葵]
私をベッドに寝かせるよう肩に置いたお母さんの手に従うように私はまた布団に入った。

「それに、柴がいるから、今日は思いっきり甘えといたら?」

柴と聞いて、私はドキリとした。
出来れば柴とはあまり喋りたくないと言うか……喋りづらいと言うか……。

お母さんは私の頭をくしゃりと撫でると、「じゃあね」と言って部屋を出て行った。

私は1つ、大きなため息を吐いた。

なんだか……事が前に運ばないような気がして、体調の悪さも手伝い、体が重かった。

⏰:08/04/26 02:46 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#269 [向日葵]
どうして私あんな事言っちゃったんだろうと何度も後悔する。

後悔すれば後悔する分、また視界が滲んだ。

考えるのが嫌になって、目を閉じれば、いつの間にか眠りについてしまった。

――――――――……

トントンと、ドアを叩く音が聞こえた気がした。
それを合図に、意識が現実に引き戻された。

ゆっくりと目を開く。

「越」

柴だ。

⏰:08/04/27 17:36 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#270 [向日葵]
心臓が跳ねる。

私は返事をしなかった。
するとまたノックをして、私の名前が呼ばれた。

静かな事を証明する耳鳴りのような音が聞こえた。
しばらくすれば、柴はどこかへ行ってしまった。

足音が消えた所で、私はベッドから降りる。

1日こんな気まずい状態でいれやしない。
遅刻上等で学校へ行こう。

私はさっさと支度を始めた。
鏡を覗けば、少し目が腫れていたけれどそのうち直るだろうとほっておく事にした。

⏰:08/04/27 17:41 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#271 [向日葵]
支度を全て終えたのはいいけれど、困った事がある。

柴の現在地が分からない。

部屋にいるのか、リビングにいるのか、はたまた別の場所にいるのか……。

深呼吸をしてから、ドアノブに手をかけ、「いざっ!」と自分を奮い起こす。
勢いよくドアを開けた。

「どこに行くつもり?」

私は1歩も部屋から踏み出す事なく硬直する。

なんと柴はドアのすぐ横にいたのだった。

⏰:08/04/27 17:45 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#272 [向日葵]
「……が、……こう……」

蚊が鳴くような――……とはこの事。
絶対に柴に聞こえてなかったと思うけれど、私の格好を見れば一目瞭然だと思う。

柴は私を押し戻して、また部屋に入れる。
入口は柴が塞いでしまった。
逃げ場所はない。

自分の鼓動だけがやけに早く聞こえた。

柴は腕を組んでドアにもたれる。
私はお腹辺りで指を絡ませて手を組み、うつ向く。

⏰:08/04/27 17:49 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


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