*柴日記*
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#273 [向日葵]
「体、良くないんだろ」
「よく寝たから……大丈夫。心配かけてごめん」
必死に、なんでもない風を装う。
でなければ優しい柴はきっと責任を感じてしまうから。
私さえ頑張れば、全ていつも通りに戻る。
そう思い、顔を上げる。
「私、これでも委員長だから、しっかり学校行かなきゃ。柴に迷惑はかけないよ」
「別に迷惑とは思わないよ」
「ううん。私が心苦しいの。だから、大丈夫……」
:08/04/27 17:53
:SO903i
:☆☆☆
#274 [向日葵]
にこっと笑って見せる。
大丈夫だよ。私は平気だよって言うように。
柴はしばらく黙っていた。
時計の音と、私の心音がハモる。
そして柴は口を開いた。
「大丈夫なら……何で俺の事見ないの?」
私は目を見開いた。
そうなのだ。
顔を上げたものの、私は柴を見れないでいた。
それはこの前の柴の冷たい顔が目に焼き付いてしまって、怖くて見れなかったのだ。
:08/04/27 17:57
:SO903i
:☆☆☆
#275 [向日葵]
「嫌いになった?」
「……そんなんじゃない」
「じゃあ何?」
胸か苦しくなって、強行突破で柴に近づき押し退けて出て行こうとした。
でもこの作戦は有効じゃなかった。
柴は私の腕を掴んで反転すると、壁に私をドアに押し付けた。
私は息を飲んだ。
動揺していると、柴の顔が近づいてきた。
おでこがぶつかりそうな距離だ。
:08/04/27 18:01
:SO903i
:☆☆☆
#276 [向日葵]
「怖がらないで」
低く穏やかに柴が言う。
私はまだ柴に目を向けられないでいる。
「前の態度は良くなかった。謝るよ。でも俺だって、思い出したくもない過去の1つや2つある。越だって、あるでしょ……?」
「……ある」
「だったら分かって?越は知らなくていいんだ」
違う……。
そんなんじゃない。
「知らなくていいって……私は柴に必要ない?」
口をついて出たのはそんな言葉だった。
:08/04/27 18:05
:SO903i
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#277 [向日葵]
「私、柴が好きだもん。大好きだもん……柴の悲しい嫌な思い出消し去るくらい、幸せになって欲しいだけなの……っ」
私達は家族。
色々な形はあると思うけど、私達家族は、悲しみを分かちあって支えあってる。
だから柴にも、打ち明けて欲しかっただけ。
でも柴は「知らなくていい」と言った。
それは柴だけが私達家族に加わっていないように私は思った。
「それでも……柴が傷つくなら聞いちゃダメって思った。これは、私のワガママだから……だからっ」
:08/04/27 18:10
:SO903i
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#278 [向日葵]
「もう何も聞かないって決めてたのに」と言おうとしたら、柴の腕に包まれた。
力強く抱き締められて、私の心臓はさっきとは違う意味の脈を打った。
柴の体が密着して、体温を感じれば、更に加速していく。
「越……」
柴が耳元で呟く。
自分の名前がこんなに甘い響きを持っているなんて知らなかった。
恥ずかしさのあまり、私は目をギュッと瞑った。
「違うよ越……。俺は越が、越達家族が大切なんだ。わざわざ俺の闇に手を触れて、光を失う必要なんて無いって言いたいんだ」
:08/04/27 18:17
:SO903i
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#279 [向日葵]
柴の声は、苦しそうだった。
私は瞑っていた目をゆっくり開いて、視線だけ動かす。
柴の綺麗な茶色い髪の毛しか見えない。
「分かって越。大切だから傷つけるのが怖いだけなんだ。でも言える時が来たなら、きっと言うから」
そう言って、少し距離を取った柴をようやく見つめる事が出来た。
「それまで待って欲しいんだ」
昨日見たあの冷たい印象を持った灰色の瞳は、温かさを取り戻していた。
それを見ただけで、ホッと安心して、頬を緩める。
「分かった」
:08/04/27 18:24
:SO903i
:☆☆☆
#280 [向日葵]
すると柴の瞳が小さく変化したような気がした。
それを感じた私は、「ん?」と思うと同時に柴の手に顔を包まれた。
和解するかのように、顔を変形させて盛大に笑うのかと思ったけどそうじゃなかった。
柴は徐々に私に顔を近づけてきた。
灰色のあの瞳に私が写っていると分かるくらい。
鈍感と言う判子をデカデカと押されている私でもさすがに今から何をされるか予想してしまった。
「わ、わぁぁっ!」
:08/04/27 18:28
:SO903i
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#281 [向日葵]
ザッと勢いよくしゃがみ込んだ。
そして近くに落ちていたカバンを持ってドアを押し開ける。
「い、いいいってくるっ!!」
階段を一気に駆け下りて、外へ出れば自転車を動かして一心不乱に漕ぎだした。
何……っ!今の……っ!
ど、どどどうして柴、私にキッ……!!
そこまで思って、更に頭はヒートアップした。
「わぁぁぁぁっ!」
意味もなく叫ぶ。
明らかにおかしな子に認定されただろう。
:08/04/27 18:33
:SO903i
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#282 [向日葵]
結局私が学校に着いたのは、2時間目が始まった時だった。
教室に来れば、皆がいなくておかしいと思った私は、机の上や床に置いてある沢山の荷物を見て、2時間目が体育である事を思い出す。
途中で行くのもなんなので、そのままサボる事にした。
幸い自分の席は空いていたので座った。
「はぁ……」
ため息をついて机に突っ伏す。
柴と仲直り出来たのはいいけれど、今度は違う意味で気まずくなってしまった。
:08/05/02 00:16
:SO903i
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