*柴日記*
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#405 [向日葵]
[力を合わせて乗り換えていける]

そう言ってくれたのは……。

[安心していいんだよ]

そうやって、逃げず、手を取り合って、困難を乗り越えようと言ってくれたのは、越ただ1人だった。

越。
何でも越えれるようにと願いを込めて名付けられた彼女の名前。
彼女の何事にも前向きな姿、でも、触れれば壊れてしまいそうな脆さに、自分は惹かれたのだ。

「俺は逃げない。逃げたくない。早代、逃げちゃダメなんだ」

⏰:08/06/29 02:38 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#406 [向日葵]
悲痛な顔をして聞いていた早代は、急にハッと背後に視線を向けた。

「旦那様が、帰って来たみたい……」

柴は立ち上がった。

会うのは何ヶ月ぶりだろう。
柴は父が苦手だった。
呼べば振り向くも、何の感情もない目が怖くて堪らないからだ。

今も胸の奥で、鼓動がスピードを上げていってる。

[大丈夫]

柴はハッとした。

越……?

⏰:08/06/29 02:43 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#407 [向日葵]
>>319に感想板があるんで、良かったらお願いします

⏰:08/06/29 02:43 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#408 [向日葵]
携帯変わりましたが向日葵です

⏰:08/07/07 00:21 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#409 [向日葵]
彼女がいる訳がない。

そう思っていても、柴は辺りを見渡さずにはいられなかった。

あぁでももう大丈夫だ。
越が見守ってくれている気がするから……。

柴は早代の後をついて行った。

―――――――――…………

「旦那さま、大和君が帰って参りました」

中から返事はなかった。
本当に帰って来たのか?と柴は疑問に思った。
しばらく沈黙が続く。
早代は辛抱強く返事を待っている。

「大和を入れなさい」

⏰:08/07/07 00:33 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#410 [向日葵]
早代は目だけで柴に入れと促す。
柴はもう1度ノックをしてからゆっくりとドアを開けた。

「失礼します……」

ドアの閉まる音が、やけにやかましく感じた。

父は椅子にもたれて窓の方を向いている為、柴には背を向けている。
その表情は、怒っているのか、やっぱり無表情なのかは確認出来なかった。

「どうして、俺を……?」

重苦しい空気に堪えきれず、柴が口を開いた。
父が座っている椅子が、短くギィッと軋む。

⏰:08/07/07 00:40 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#411 [向日葵]
やがて長いため息が聞こえた。

「やはり苦手だ」

「は……?」

父は椅子から立ち上がり、窓辺に立つ。
ようやく見えた父の姿に、そういえばこんな姿をしていたっけと柴は呑気に思った。

たった数ヶ月の筈なのに、とても長い間会っていなかった気がするのは何故だろう。

「私の会社は、先々代から続くものでな……。常に成績が全ての家系だったんだよ」

何を話したいのかさっぱりな柴だが、首を傾げながらも父の淡々とした口調に耳を傾けた。

「私は、父や祖父の厳しい顔しか思い出せない……」

⏰:08/07/07 00:46 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#412 [向日葵]
そんなの自分だって同じだと柴は思った。
厳しい顔か無表情な顔しか自分は見た事はない。

ただ……と柴は思う。

依然父は窓の外を見たままだ。

「私はそんな両親が嫌いでね……。どうして私自身を見てくれないのかと頭を抱えたものだよ」

「それが……なんなの……」

柴が静かな問うと、父はゆっくりと振り向き、柴を真っ直ぐに見つめた。
父とこうして喋るのは、初めてな気がした。

「それが嫌だから、私は繰り返したくないと思ったんだ」

⏰:08/07/10 23:34 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#413 [向日葵]
嫌だって……。
だけど自分は……と柴は顔を少し険しくした。

その柴の思いに気づいたのか、父が口を開く。

「驚いたんだ。繰り返したくないと言いながら、私はお前が生まれて、いざ行動にうつした時、愛し方が全くわからなかったんだ」

「嘘だ」

反射的に柴はそう答えた。

「自分がしてもらいたい事をすればいいんじゃないのか……?」

⏰:08/07/10 23:38 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#414 [向日葵]
父は自分の両手を見つめる。
そしてまた柴を見つめた。

「いざとなるとね、自分が何をしてもらいたかったか分からなくなるんだ……。自分はどう愛して欲しかったのか、何をして欲しかったのか……」

そう言われて柴はハッとする。
その言葉に、納得してしまったからだ。

愛情が欲しいと思った。
でも愛情と言うのはどういう風にもらうのか、柴は知らない。
そうしたものをこめて接してもらった事がないからだ。

どうして欲しいか分かったのは早代が現れ、越が現れたからだ。

早代が自分を可愛がり、越はたくさんの笑顔をくれてからだ。

⏰:08/07/10 23:45 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


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