*柴日記*
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#490 [向日葵]
「柴の……お父さんが来てるの……」

私は驚いて、急いで靴を脱ぐ。

まさか……っ!
柴を連れ戻しに来たとか……!?

戸口に立って、中を見れば、楽しそうに話をしているお母さんと柴、それに、柴のお父さんだろう人がいた。

勝手に連れ戻しに来たと解釈していた私は、その和やかなムードにポカンとしてしまった。

すると、柴が私に気づいた。

「越おかえりっ。父さん、この子だよ。さっき話してた越。俺の大切な人っ」

と、私のそばまで来ると、ギュッと抱き締められる。

⏰:08/08/13 00:39 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#491 [向日葵]
初対面の人の前で抱きつくものだから、私は顔を赤くした。

柴のお父さんは、優しく微笑むと、私の近くまで歩いてきて、握手してくれた。
その柔和な雰囲気は、柴が普段まとっているものと似ていて、「あぁ、やっぱり親子だなぁ」って思うのと同時に、柴から聞いてるお父さん像とはまったく違うものだと思った。

「はじめまして。大和……じゃない、君のところでは柴かな。柴の父の宗平です。息子がいつもお世話になっています」

「い、いえ、こちらこそっ。長女の越ですっ」

「越さぁ、この場合、恋人の越ですって自己紹介してよ」

出来るわけないでしょ。

⏰:08/08/13 00:45 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#492 [向日葵]
「あのね越、今日、伊勢屋さんが来て下さったのは、柴がお世話になってるから、下宿させてると思って、家賃を払わせてくれないかっておっしゃってくれたんだよ」

お母さんの言葉を聞いて、私はホッとした。

なんだ、連れ戻しに来た訳じゃないんだ……。

「だからずっと一緒だよ、越」

と、私の髪に頬ずりしてくる柴。
いくらなんでも、お母さんや柴のお父さんがいるのだからもう少し節度ある行動をとってほしいものだ……。

柴のお父さんはクスクス笑う。

「本当、大和は越さんが好きなんだな」

⏰:08/08/13 00:50 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#493 [向日葵]
「うんっ」

そうやって素直な返事をされては、突き放そうにも放せなくなるじゃないか……。

「越さん。少し話をさせて頂けますか?」

「え……。あ、ハイ……」

・・・・・・・・・・・・・・・・・

夕暮れで寒くなった外に出て、門の前で私と柴のお父さんは話す事にした。

「貴方と出会って、大和は変わった気がします……」

「そうなん……ですか……?」

「少なくとも、あんな風に甘えている姿は見た事はありませんよ」

⏰:08/08/13 00:54 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#494 [向日葵]
私は逆にあんな柴しか知らない。
それか、出会った頃の、闇の底にいそうな柴しか……。

「全て、私の責任なんですがね……。少し、複雑な心境ですよ……」

と、柴のお父さんは苦笑いした。

きっと、誰よりも柴と一緒に過ごしたかったのは、お父さんなんだろうな……。
そしてお父さんも、お父さんのお父さんと、楽しく過ごしたいって、思ってたんだろうな……。

「でも、柴、前よりもっともっと幸せそうに感じます。そうなったのは、やっぱり、お父さんと和解したからじゃないでしょうか?」

⏰:08/08/17 00:57 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#495 [向日葵]
家族との繋がりって、友達よりも、……大好きな人よりも、きっと大きいものだと思う。

実際柴は、前よりも明るくなって、柔らかな雰囲気が、より柔らかくなった。
……2人っきりの時は別としてね……。

「だから、溝を埋めようとかじゃなく、もっと仲良くなって、楽しいって思いで今までの記憶を上書きしちゃいましょうよ」

柴のお父さんはキョトンとしていた。

……あれ?
私なんか変な事言った……?

2人の間を、一陣の冷たい風がふいていく。

⏰:08/08/17 01:02 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#496 [向日葵]
すると、柴のお父さんはプッ!と吹いて、喉で笑い出した。

「なるほど、大和が越さんに夢中になる筈だ。私達に無い発想をおもちのようだから」

「は……はぁ……」

柴のお父さんは門を出て、車に乗る。
帰るのかと、私も門を出る。
柴のお父さんは、ウィンドウを開ける。

「これからちょくちょく、大和をお借りしてもよろしいかな?楽しいで上書きしたいのでね」

嫌味も何もないその言葉は、私の思いをちゃんと分かってくれたようだった。
嬉しくて、私は心からの笑顔を向ける。

⏰:08/08/17 01:08 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#497 [向日葵]
すると柴のお父さんは、ウィンドウから手を出して、冷えてしまった私の指先をふわりと握った。
そして微笑む。

「私も、あなたに会えて良かったです」

そう言って手を放し、ウィンドウを閉めて、帰ってしまった。

「…………」

やっぱり、雰囲気が柴にそっくりだなぁ……。
……さりげないボディータッチ(?)も、そっくりだなぁ……。

「越」

柴が玄関のドアから顔を出す。

「マフラーくらいしたら?」

⏰:08/08/17 01:21 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#498 [向日葵]
「あ、いいの。お父さんもう帰ってしまったし」

「なんだ、帰ったんだ。なら早く入りなよ。風邪ひくよ」

「うん!」

私は家へ入った。
今になって体が冷えてしまったのが分かって、ブルッと震える。

「寒い?」

「大丈夫だよ」

あと1歩でリビングに続く戸口に着く所で、柴が後ろから私を抱き締めた。

今は2人っきりじゃない。
こんな所で、裏柴になられたらヤバイ……っ!

⏰:08/08/17 01:26 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#499 [向日葵]
「体冷たい……。本当に大丈夫?」

私の心配はよそに、柴は普段の柴だった。

「……大丈夫。ありがとう」

素直に笑顔を向けると、トンと背中に壁を感じた。
「ん?」と思っていると、柴の顔が近くにあった。

「え!?え!?柴っ!?あの……っ!」

「そんな可愛く笑う越が悪い」

ハイ―――ッ!?

実を言うと、好きって言ってない上に、柴とキスをした事はまだない。
頬とか、おでことかはあるけど、口ではまだ……。

⏰:08/08/17 01:29 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


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