*柴日記*
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#562 [向日葵]
喧嘩上等。
売られた喧嘩は倍額で買う上、決して負ける事はない。

何度も停学になるが、祐子は学校に通い続けていた。

そんな祐子に近づくものは誰もいない。
遠巻きに見ていて、びくびくしていた。

「お前なぁ、こんな事じゃ人生台無しにするぞ!」

生徒指導室。
祐子はここの常連だ。
パイプ椅子にドカリと座り、ふんぞり返って足を組む。

あぁうるさい……。
この台詞を聞いたのは何回目だろうか……。

⏰:08/09/07 16:19 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#563 [向日葵]
「てめぇに人生云々言われたかねぇよ。いちいち関わんな!」

立ち上がり勝手に部屋を出ていく。
バンッと閉めると、バサバサッと何かが落ちる音が聞こえた。
その方を見ると、本をぶちまけて呆けている青年がいた。

「び、びっくりしたぁ……」

どうやら祐子が閉めた音に驚き、持っていたいくつもの本を落としてしまったらしい。

しゃがんで本を持とうとするが、もたもたしている動作に祐子はイラッとする。

「ったく早く拾えよっ!」

とつい手伝ってしまう。

⏰:08/09/07 16:26 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#564 [向日葵]
「すいませんっ!」

「謝るなら手ぇ動かしやがれ!」

2人で本を拾い重ね、祐子は青年に押しつけた。

「落とすぐらいに持ってんじゃねぇよ。ちったぁ量減らせ」

「あー……。でも読みたいのばかりだったから我慢出来なくて」

へらぁと、たれ目がちの目が更にたれる。
なんだからこちらまで力が抜けそうだと思った祐子は、回れ右をする。

「あ、あの!」

ちらりと背後を見れば、青年は笑顔でこちらを見ていた。

⏰:08/09/09 01:26 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#565 [向日葵]
「ありがとう」

祐子は心底驚く。
目を見開いて、青年を凝視した。
青年は祐子が去って行くまで見送る気なのか、にこにこしたままそこから動かない。

だから祐子は珍しくて仕方がなかった。

自分に笑顔で、しかもお礼を言う人間がいるのか……。
まぁあれぐらいフヤフヤした奴だと、不思議ではないかもしれない。

祐子はまた歩き出した。

――――――――――…………

壁に思いきり背中をぶつける。

⏰:08/09/09 01:30 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#566 [向日葵]
放課後、祐子と同じ系統の3年に呼び出され、お約束かのように校舎裏の人気のない場所に連れてこられた。

祐子は聞こえよがしに舌打ちをする。

耳に届いてイラついた3年の女子4人は、眉を寄せる。

「お前調子のんなよな。1人でなんでも出来ると思ったら大間違いだかんな」

祐子は女子達を嘲笑う。

1人で何も出来ないクソガキが……。

祐子の嘲笑にカッとなった女子の1人が祐子に掴みかかる。
その手を払うと、払ったその勢いで横っ面に右ストレートをお見舞いする。

⏰:08/09/09 01:35 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#567 [向日葵]
どさっと1人が地面に倒れれば、それが合図かのように残り2人が来る。

2人の攻撃をひらりと交わした祐子は振り向き様に1人の背中に回し蹴りをくらわす。
よろめいたのを確認してる隙に左からもう1人の拳が飛んできて口元をかする。

その手を取って、腹に膝蹴りを入れる。
「うっ!」と唸ると、1人は地面に突っ伏した。

ガリッと痛みを感じたと思えば、さっき回し蹴りをくらわせた奴が頬に爪をたててきた。

また飛びかかってくるのを避けた祐子は、首の後ろに手刀を下ろす。

⏰:08/09/09 01:42 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#568 [向日葵]
フッと気を失ったのを見て、顔をあげれば、あと1人いたのを忘れていた。
しかし明らかにビビっている。
1歩近づけばビクリとし、しかし歯を噛み締めるとかかってきたので、素早く身を屈めた祐子は立ち上がるスピードに任せて顎目掛けて拳を向ける。

痛さによろめいて口元を抑えた手の隙間から、血が滴り落ちている。

口の中を激しく切ったのだろう。

祐子は地面に倒れている1人の女子の腰辺りを踏みながら冷酷に笑った。

「リベンジいつでも受けてやるよ。ただ偉そうな事言う前に、腕を磨いておくんだな」

⏰:08/09/09 01:48 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#569 [向日葵]
最後に一蹴りして、祐子は去って行った。

祐子は本当は喧嘩なんてするつもりは無い。
自由に自分らしく生きていけば、反発する人がいて、それにのっかるように、面白がるように攻撃してくる人がいるのだ。

そしてやがて人数が増え、周りは敵ばかり。

いつ何が起こるか分からないから、祖父がやっている合気道教室に通い、兄が趣味でやっているボクシングを教えてもらい、とどめに父がやっている柔道の道場で修行を積んだ。

あとは自己流で色々な技を編み出せば、最強祐子の出来上がりと言う訳だった。

⏰:08/09/09 01:53 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#570 [向日葵]
しかし敵がいなくなればいなくなる程、彼女に近づく人間もいなくなっていった。

今度は噂の一人歩きや陰口がつきまとう。

自分らしく生きていく一方で、彼女は人とも孤独とも闘い続けていた。

教室に入れば、やはりと言うかもう誰もおらず、差し込むオレンジ色の夕日がただただ眩しかった。

私はなんの為に生まれてきたのだろう……。
何故こうでしか、生きれないんだろう……。

考えればキリがない事は分かっているので、鞄を持つと足早に教室を去った。

⏰:08/09/09 01:57 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#571 [向日葵]
下駄箱で靴を替えて、歩き出そうとした時だった。

「うわぁぁぁっ!」

頼りない叫び声と共に色々な落ちる音が聞こえる。

祐子は既視感を覚えてそろりと音がした方を向く。
するとやっぱりと言うか、鞄を投げ出し、ファスナーがちゃんと閉まっていなかったのか、中身が四方八方に散らばっている。

そしてその鞄の主は、ありえない格好で転んでいた。
奇跡としかいいようがない頭に上靴が片方乗っている姿は、可笑しさを通り越して呆れた。

「おい……」

とりあえず声をかける。

⏰:08/09/09 02:03 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


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