*柴日記*
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#566 [向日葵]
放課後、祐子と同じ系統の3年に呼び出され、お約束かのように校舎裏の人気のない場所に連れてこられた。
祐子は聞こえよがしに舌打ちをする。
耳に届いてイラついた3年の女子4人は、眉を寄せる。
「お前調子のんなよな。1人でなんでも出来ると思ったら大間違いだかんな」
祐子は女子達を嘲笑う。
1人で何も出来ないクソガキが……。
祐子の嘲笑にカッとなった女子の1人が祐子に掴みかかる。
その手を払うと、払ったその勢いで横っ面に右ストレートをお見舞いする。
:08/09/09 01:35
:SO906i
:☆☆☆
#567 [向日葵]
どさっと1人が地面に倒れれば、それが合図かのように残り2人が来る。
2人の攻撃をひらりと交わした祐子は振り向き様に1人の背中に回し蹴りをくらわす。
よろめいたのを確認してる隙に左からもう1人の拳が飛んできて口元をかする。
その手を取って、腹に膝蹴りを入れる。
「うっ!」と唸ると、1人は地面に突っ伏した。
ガリッと痛みを感じたと思えば、さっき回し蹴りをくらわせた奴が頬に爪をたててきた。
また飛びかかってくるのを避けた祐子は、首の後ろに手刀を下ろす。
:08/09/09 01:42
:SO906i
:☆☆☆
#568 [向日葵]
フッと気を失ったのを見て、顔をあげれば、あと1人いたのを忘れていた。
しかし明らかにビビっている。
1歩近づけばビクリとし、しかし歯を噛み締めるとかかってきたので、素早く身を屈めた祐子は立ち上がるスピードに任せて顎目掛けて拳を向ける。
痛さによろめいて口元を抑えた手の隙間から、血が滴り落ちている。
口の中を激しく切ったのだろう。
祐子は地面に倒れている1人の女子の腰辺りを踏みながら冷酷に笑った。
「リベンジいつでも受けてやるよ。ただ偉そうな事言う前に、腕を磨いておくんだな」
:08/09/09 01:48
:SO906i
:☆☆☆
#569 [向日葵]
最後に一蹴りして、祐子は去って行った。
祐子は本当は喧嘩なんてするつもりは無い。
自由に自分らしく生きていけば、反発する人がいて、それにのっかるように、面白がるように攻撃してくる人がいるのだ。
そしてやがて人数が増え、周りは敵ばかり。
いつ何が起こるか分からないから、祖父がやっている合気道教室に通い、兄が趣味でやっているボクシングを教えてもらい、とどめに父がやっている柔道の道場で修行を積んだ。
あとは自己流で色々な技を編み出せば、最強祐子の出来上がりと言う訳だった。
:08/09/09 01:53
:SO906i
:☆☆☆
#570 [向日葵]
しかし敵がいなくなればいなくなる程、彼女に近づく人間もいなくなっていった。
今度は噂の一人歩きや陰口がつきまとう。
自分らしく生きていく一方で、彼女は人とも孤独とも闘い続けていた。
教室に入れば、やはりと言うかもう誰もおらず、差し込むオレンジ色の夕日がただただ眩しかった。
私はなんの為に生まれてきたのだろう……。
何故こうでしか、生きれないんだろう……。
考えればキリがない事は分かっているので、鞄を持つと足早に教室を去った。
:08/09/09 01:57
:SO906i
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#571 [向日葵]
下駄箱で靴を替えて、歩き出そうとした時だった。
「うわぁぁぁっ!」
頼りない叫び声と共に色々な落ちる音が聞こえる。
祐子は既視感を覚えてそろりと音がした方を向く。
するとやっぱりと言うか、鞄を投げ出し、ファスナーがちゃんと閉まっていなかったのか、中身が四方八方に散らばっている。
そしてその鞄の主は、ありえない格好で転んでいた。
奇跡としかいいようがない頭に上靴が片方乗っている姿は、可笑しさを通り越して呆れた。
「おい……」
とりあえず声をかける。
:08/09/09 02:03
:SO906i
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#572 [向日葵]
青年は起き上がると辺りを見回し、吹っ飛んでいた眼鏡をかけると、祐子の方を見た。
やっぱり……。
今日本をぶちまけていた青年だ。
青年はへらぁっと笑った。
「あぁどうも。また会ったね」
「どんくさいにも程があるだろお前」
頭に乗っていた上靴を取って顔の前に出す。
「色々考え事してたら足が滑っちゃって」
アハハハと笑うこののんびりさはどこからやって来るのだと裕子は目を半目にする。
:08/09/09 02:07
:SO906i
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#573 [向日葵]
青年はよいしょと立ち上がろうとして固まる。
「……どうした?」
「足が痛くて立てないみたいなんだぁ」
またアハハハと笑う。
……コイツある意味すげぇ……。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ちゃんと乗ったか?」
「アハハ、ごめんね迷惑かけてー」
まったくだ……。
立てない青年を放っておく訳にもいかないので、祐子は青年をおぶる。
:08/09/09 02:10
:SO906i
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#574 [向日葵]
「力持ちだねー」なんてのんきに背後で喋るものだから祐子はイラッとした。
なんであたしがこんな目に合わなくちゃならないんだっ!!
ふと、前に突きだしている彼の手を見れば、綺麗な白い、けれどしっかりした手だった。
祐子の手は、毎日生傷が絶えない。
残ってしまうだろう傷痕だってある。
こんなどんくさい奴と、自分と、一体何がどう違うか、祐子には分からなかった。
保健室に着いたはいいが、中には誰もいなかった。
置いてあるホワイトボードには“職員室にいます”と記されている。
:08/09/09 02:16
:SO906i
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#575 [向日葵]
待っていてもいつ帰ってくるかなんて分からない。
ならばさっさと手当てをして帰ろう。
「座れ」
素直に座った彼の近くにある救急セットから湿布と包帯を取り出す。
靴下を脱がせば彼の足首は見事に腫れていた。
「くじいたみたいだな。とりあえず後で病院行けよ」
「病院はやだなー。僕薬が嫌いなんだよねー」
知るか。
「にしても手慣れてるね」
「まぁな」
「どうして?」
「関係ねぇだろーが。おら、終わったぞ。あたしチャリだから家まで送ってやるよ」
:08/09/09 02:20
:SO906i
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