*柴日記*
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#51 [向日葵]
前方を見れば、門の所からパタパタと走って来る苺を発見。
そのまま私の足に抱きつく。
「おかえりぃー!」
「ただいまー!……って和んでる場合じゃない……。苺ぉ、どうしてここにいんの?」
苺を抱き上げながら校門を通り過ぎようとした時、横から声がした。
「一緒に来たからだよ」
そこにいたのは不機嫌丸出しの柴だった。
壁に背を預けて腕組みしてる。
:08/03/23 03:03
:SO903i
:☆☆☆
#52 [向日葵]
「柴ぁ!どうしたのこんなとこまで!」
「“どうしたの”……じゃなぁい!今何時だと思ってんの!?」
学校の時計を見ればもう5時だ。
どうやら柴が言いたいのは4時半に帰ると言いながら何故帰ってないのか!……と言う事だ。
「だって仕事があったんだもん。仕方ないでしょー?」
「しばちゃんね、ずーっとおねえちゃんまだかなーっていってたのぉ!」
柴は黙って私が抱き上げてた苺を自分が抱くと、スタスタ足早に帰宅方向へ歩いて行ってしまった。
私も急いで追いかける。
やっぱり連絡しておくんだったなー。
:08/03/23 03:09
:SO903i
:☆☆☆
#53 [向日葵]
「柴、ごめんね。すぐ終わると思って……」
謝ると、柴は足の速度を落とした。
少しホッとして、私は柴の横を歩く。
チラリと柴の顔を見れば、やっぱりまだどこか拗ねていた。
「電話だってしたのに……」
ボソリと文句を言う柴。
「うんごめんね。でもね柴、校則じゃ携帯は禁止されてるから簡単には出せないの。柴も高校時代があったなら分かってくれるよね?」
軽くため息をつきながら、柴は小さく「うん」と言った。
柴は言えば分かってくれる素直さを持っているから嬉しい。
:08/03/23 03:15
:SO903i
:☆☆☆
#54 [向日葵]
たまにワガママの度が過ぎてる時もあるけど……。
それでも不服そうな彼は、眉を寄せて灰色の目を細める。
そういえば……。
「柴の瞳はなんで灰色なの?両親どちらか外国の人?」
少しずり落ちた苺を抱え直しながら柴は「いや」と答えた。
「おばあちゃんがそうなんだ。だからクォーター」
「へーカッコイイねー。どこの国?」
「知らない」
うんそんな予感した……。
:08/03/23 03:20
:SO903i
:☆☆☆
#55 [向日葵]
柴はじっと私を見つめた。
私は笑顔で見つめ返す。
柴はまた軽くため息をつくと、いつの間にか寝てしまった苺を片手で抱いて、空いてる方の手を私の手に絡めた。
大きな柴の手は私の手をあっという間に包んでしまう。
「本当はもっと怒りたいけど……カッコイイって言ってくれたからいいや……」
そう言って柴は微笑む。
柴がそうやって微笑んでくれると私も嬉しい。
柴が私の近くで、過去に囚われず幸せを感じてくれてるのだと思うから……。
:08/03/23 03:24
:SO903i
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#56 [向日葵]
フワフワした雰囲気で返っていると、後ろから私を呼ぶ声が。
「神田さん!」
振り向くと、自転車に乗った立川君が近づいてくる。
「立川君!どうして……」
「自転車の鍵、落としてたでしょう。だから届けに来ました。自転車ごと……」
そうなのだ。
実は帰る間際、自転車置き場に行こうと鞄のポケットに手を入れたけど、いつもある筈の鍵がなくて軽くパニックを起こしていた。
:08/03/23 03:28
:SO903i
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#57 [向日葵]
どうしても見つからなかったから、諦めて徒歩で帰ろうと思ったのだ。
帰れない距離でもないし、少し遠いけどなんとかなると思って、自転車は置いてきたのだ。
「ありがとうー……!良かったよー鍵があってー」
すると立川君は手を繋いでいる柴に目線を動かした。
「こちらは……」
「ああ、うちで住んで……」
「越言わなくていいから行こう」
柴は乱暴に私の手を引く。
:08/03/23 23:46
:SO903i
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#58 [向日葵]
「あ、ちょっと待って柴!」
柴の手を振り払って、立川君が乗って来てくれた私の自転車を受け取る。
籠に鞄を入れて、私はもう1度立川君にお礼を言った。
「本当にありがとう。部活頑張ってね。また明日」
「いえ……また明日」
立川君は私に微笑んでからまた柴をチラリと見て走って行ってしまった。
私もチラリと柴を見ると、せっかく治りかけていた柴の機嫌がまたもとに戻って悪くなっていた。
あちゃー……と内心頭を抱える。
自転車を押しながら、また帰りだす。
「さっきの奴……誰」
:08/03/23 23:47
:SO903i
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#59 [向日葵]
「同じクラスの子だよ。学級委員一緒にやっててね」
「知らない奴に俺の事ペラペラ喋るのやめてよ。俺は今の家と…………越が知ってくれてたら、それでいい……」
「柴……」
それじゃ柴の世界が狭くなってしまわないだろうか……。
もっと色んな事を知ったり、色んな人に自分を受け入れてもらった方が、きっと柴の幸せに繋がると思うのに……。
でも、柴が自分でそう言うようになってからでいいのかもしれない。
柴にとって、今他人と触れ合うのは少し怖いかもしれないから……。
:08/03/23 23:48
:SO903i
:☆☆☆
#60 [向日葵]
「うん……ごめんね柴……」
柴は視線だけで私を見ると、少しうつむいた。
そしてクスリと笑う。
「なんか、今日越謝ってばっかりだね。」
それは柴のせいじゃん……。
「でも越に謝られるって……なんかグッとくるなー」
柴って……ドS……?
柴の新たなる人格(?)が分かったと思いながら、夕暮れ時の街を歩いて帰った。
家に帰ると、空と桜がもう帰っていた。
「お姉ちゃんお帰りー。遅かったね」
「あ、柴!早く昨日のゲームの続きやろうよ!」
空に引っ張られるので、柴は苺を私に渡して空と2階へ行ってしまった。
:08/03/23 23:49
:SO903i
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