*柴日記*
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#111 [向日葵]
「ええ。うちの玲奈ちゃんにこんな事させるなんて……最低じゃございません……?」

謝る気なんて一切ない。

自分の子供を贔屓に見すぎている。
明らかに被害を被ったのはこちらだし、ケンカを仕掛けたのはあちらだ。

私より遥かに堪忍袋の緒が短いお母さんは、ソファーを握りしめて怒鳴りそうになるのを堪えてた。

おばさんはそんな様子を知ってか知らずか、私達から視線を外し、私の後ろを見る。

「そちらも、お拾いになられたんですか?」

⏰:08/03/30 02:50 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#112 [向日葵]
柴の事だ。

「この子は、居候ですが……」

さっきより更に1オクターブ低い声でお母さんが答えた。

「あーやだやだ。そんなに集めてどうするおつもり?お子さんが今回のような事を毎回やられては困るんですよ?そんなのを増やし、外にやってもいいんでしょうか。……気に入りませんわ、わたくし。」

それ以上言わないで……。

「せいぜい監獄行きにならない事を祈りますわ。さぁ玲奈ちゃん、今日は帰りましょう」

⏰:08/03/30 02:54 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#113 [向日葵]
頭の中で、ブチンと勢いよく何かが弾ける音が聞こえた。

何の音だか分からないまま、私はゆらりと立ち上がる。

「待ちなさいよおばさん……。」

ドアに手をかけようとするおばさんがピクリと動き、また眼鏡を上げながらこちらを見る。

「おばさん?」

「貴方しかいないでしょ?……ねぇ、気に入らない事があったら何言ってもいいの?」

拾いもん、ゴミ、監獄行き……。
色々聞いてきたけどもう我慢ならない!!

⏰:08/03/30 02:58 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#114 [向日葵]
「拾いもんとかゴミとか人を人とも思ってない人がえっらそうな事を言うなっ!!アンタ達何様よ!?神様!?なら神々しく輝いてみなさいよ!大体ねぇ、お母さんは私達を大事に大事に育ててくれてる!少なくとも人の事を嘲るような目で見るようには育てない!」

それに……。

「柴の事、見ただけなのに何もかも分かったみたいに私の家族を悪く言うな!!こんの馬鹿親子っっ!!」

部屋に、私の声が反響する。
ワーンと耳の中で自分の声が響く。

先生も、女の子もおばさんも、お母さんも柴も、口をぽっかり開けたまま私を見つめていた。

⏰:08/03/30 03:05 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#115 [向日葵]
握り拳で息をゼーハー繰り返している事に気付いた私は、ハタッと我にかえる。

そして皆をみれば、今自分がした事に一気に血の気が引いた。

「あ……えと……だ、だから、あまり悪口は言わないで下さいって事です……」

私がそろそろ座ると同時に、お母さんが豪快に笑った。

その声に皆ハッとして、瞬きを繰り返した。

「とりあえず、和解って事でよろしいかな?奥さん」

⏰:08/03/30 03:10 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#116 [向日葵]
「な、なんて……人なの……。もう帰らせて頂きます!」

そそくさと、おばさん達は出て行って、その後を先生が追って行った。

横でお母さんがソファーにゆったりと座り、足を組んでポケットからタバコを取り出した。

そんな一連の動作を見ていた私に気付いたお母さんは、ニカッと笑って頭をぐしゃぐしゃ撫でてくれた。

「ありがとう。家族の為に怒ってくれて。」

「そんな、私……」

戸惑う私を、お母さんは抱き締めてくれた。

⏰:08/03/30 03:14 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#117 [向日葵]
「アンタ達の事よその子だなんて思った事はないよ。皆あたしとお父さんとのだーいじな子供」

お母さんは柴の方を向いて優しく微笑む。

「柴、アンタもおんなじようなもんなんだからね」

そんなお母さんに、私は泣いてしまった。

どうして誰も分かってくれないんだろう。

血が繋ってないからって嘆く事が無いくらいお母さんやお父さんは私達を大切に育ててくれた。

なのに何故、ダメなんだろう……。

⏰:08/03/30 03:18 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#118 [向日葵]
しゃっくりをしながら泣く私をあやすように頭を撫でてくれるお母さん。
服にタバコの匂いがついてて、お母さんらしい。

くやしい。
歯がゆい。

どうすれば伝わるんだろう。

幸せだよって、伝わるんだろう……。

――――――……

お母さんと柴は帰り、先生から事情をまた聞かれた。

1から10まで真実を話し、その場にいた人を連れて来てまでのちょっとした大事になってしまった。

⏰:08/03/30 03:22 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#119 [向日葵]
幸い、クラスの方は立川君がしっかりと指示してくれてたおかげで問題なかったらしい。

クラスの皆に侘びれば、快く許してくれた。

1人だけ作業が遅れたので、放課後引き続きポンポン作りと、紙で花を作る。

気づけば5時を回っていた。

「フゥ……」

軽くため息をして、イスの背もたれに身を預ける。

明日は迷惑かけないようにしなきゃなぁ……。
クラスにも、お母さんにも……。

⏰:08/03/30 03:25 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#120 [向日葵]
こんなだから、私がしっかりしないから、今日みたいな事があるんだ……。

ため息をついて、少しぼんやりした後、戸締まりをして帰る支度を始めた。

自転車の鍵を片手に校舎を後にして、いつものように家路を急いだ。

暗い気分を自転車で走ってる間に消し去ろうと決意して、顔を上げると、校門に誰かいた。

その誰かも、こちらに気付いた。

「やっど出てきた」

「柴……っ!今まで待ってたの!?」

長時間待っていただろう柴だけれど、別に気にした風もなく私に近づく。

⏰:08/03/31 02:10 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


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