*柴日記*
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#152 [向日葵]
そして曲が鳴った。
曲の中で「どっこいしょー!どっこいしょー!」の掛け声に合わせて私達も叫ぶ。
皆と一体になっているのを感じた。
しかし終盤に事件は起きる。
移動した時だった。
小さな石か何かで、足を切ってしまったのだ。
鋭くも鈍い痛み。
途中から止める事も出来ず、なんとか最後まで踊りきった。
大勢の拍手を聞きながら、なんとか続けられて良かったと大きく息を吐いた。
:08/04/04 02:35
:SO903i
:☆☆☆
#153 [向日葵]
何組か演技が終わった後、1時間の昼休憩。
裸足に運動靴を履いて、バレないように少し足を引きずった。
「午後も楽しみだね!意外とB組って運動神経いいんだ!」
「そうだねー」
と言いながら足がズッキンズッキン痛むのに顔を歪めた。
密かに保健室へ行こうと決心。
「越!」
ふと前を見ると、少し離れた所に柴が。
結構身長がある柴の頭がひょこりと見える。
人垣を分ければ、その顔が私を心配しているのが分かった。
:08/04/04 11:54
:SO903i
:☆☆☆
#154 [向日葵]
柴には私の足の状態が分かってしまったらしい。
人前だろうが何だろうが担ぎそうなので、柴の元へ行くのは少し気が引けた。
ここはいらない心配を周りにさせたくないので、穏便に事が過ぎるよう言い聞かせようと決意し、止まりかけていた足をまた進めた。
が、その時、後ろから勢いよく腕を掴まれた。
そのせいで足の傷がまたズキリと痛んだ。
「何事?」と振り返れば、少し息を切らした立川君がそこにいた。
「美男子は何しても輝いてるなー」と呑気に思っていたら、驚く事を口にした。
:08/04/04 12:02
:SO903i
:☆☆☆
#155 [向日葵]
「足、怪我してますよね」
「――えっ……」
まさか立川君にまでバレていたとは。
先を歩いていた美嘉と椿は、振り返り私に声をかけてくる。
「越ー?どうしたー?」
「あ……えと、ちょっと委員の用事ー!先に行っててー!」
美嘉が片手でヒラヒラと応じるのを見てから、私は立川君に向き直った。
「大丈夫、後でちゃんと保健室には行くから」
:08/04/04 12:05
:SO903i
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#156 [向日葵]
まだ私の腕を掴んでいた立川君の握る力がギュッと強まり、少し怒っている整った顔が近付いた。
「後でと言いながら最後まで無理しそうなのが貴方です。今すぐ行きますよ」
「え、で、でも……」
有無を言わない間に立川君はやんわりと手を引く。
どうやらこのまま保健室直行らしい。
ちらりと見れば、遠くで柴が軽く目を見開いてこちらを見ていた。
と思えば、急に目をつり上げ、口を一文字に結び、睨まれた。
いや、睨まれたと言うか睨んでいる。
それも私じゃなく、立川君を……。
:08/04/04 12:11
:SO903i
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#157 [向日葵]
鋭い視線が突き刺さる。
何故そんなに怒っているのか分からない。
いつもの拗ねたような可愛らしい雰囲気なんてどこにもない。
少し……柴が怖く見えた……。
校舎に上がる為、靴を脱ぐと、思っていたより出血していて冷や汗が出てきた。
床に血が付くといけないので、ケンケンしながら保健室まで移動。
そんな私を見て、立川君が顔を歪めた。
「貴方は無理ばかりする。何故僕がいるのに頼ってはくれないんです」
:08/04/05 02:07
:SO903i
:☆☆☆
#158 [向日葵]
私の中で頼ると言うのは、どうしようもなくなった最終手段な訳で、今は立川君が言う程ひどい状態でもないから特に頼る事は何もなかった。
これがもし両足ならば、人を呼んでくれとか言うだろうけど……。
悪い事はしてない筈だけど、なんだかお父さんに怒られてるみたいで、しゅんとうつ向く。
立川君はそんな私を見て「あ……」と小さく呟いてから、「すいません」と謝ってきた。
「偉そうに……。ただ神田さんは何でも1人でやってしまうから、同じ委員の僕としては、色々頼って欲しいんです」
:08/04/05 02:13
:SO903i
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#159 [向日葵]
立川君は保健室のドアを開けてくれた。
さっきの立川君の言葉を嬉しく思う。
ただのクラスメイトにここまで良くしてくれる人なんて滅多にいないだろう。
立川君の人気は美男子だからだけではないと思った瞬間だった。
少なからず立川君は私に好意を持ってくれてるから、心配してくれてるのだろう。
心配してくれるって少し嬉しいかも……。
「ホラ、足見せてごらん」
保健医の指示に従い、丸いイスに座った私はヒョイと足を上げて見せた。
一頻り傷を見た保健医はさっとピンセットと茶色い瓶を持ってまた私に向き直る。
:08/04/05 02:20
:SO903i
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#160 [向日葵]
それを見た私の口はひくりとなる。
今からするのは明らかに消毒だ。
今でさえ、痛みがひどいのに、消毒となったらそれが2倍くらいの痛さになる。
なんとなくイスごと後退っていた私の足首を、楽しそうににっこり笑いながら保健医が掴む。
「どこ行くかしら?こんな血だらけの足さらして」
ピンセットに挟まれているは、茶色く変色している一千切りの綿。
ばい菌を消してしまう液をたーっぷりと含んでいる。
:08/04/05 02:25
:SO903i
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#161 [向日葵]
「ひっ……」と思わず息を吸い込む。
綿が近づくに連れ、体内に息を取り込むのを忘れた。
軽く綿がチョンと付いた時、電気のような痺が全身を駆け抜ける。
それは回り回って悲鳴になった。
「い…………っったぁぁぁぁい!!いやー!痛い痛いいたぁぁぁい!!」
「うっさい!大袈裟!」
……鬼畜っ!
保健医は容赦無く綿を押しつける。
その度私は手をあちこちに掲げて悶絶した。
:08/04/05 02:32
:SO903i
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