*柴日記*
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#174 [向日葵]
空を見上げれば、太陽が隠れる程の雲は無かった。
青空が広がっていて、私の中の分からないモヤモヤを拭い去ってくれるかと思ったけれど、欠片は残り、正体が分からないそれは小さくまだうずく。
そんな事を思っていると、曲が流れ出した。
いよいよ保護者リレーが始まるらしい。
位置についてる大人達の中で、どこに柴がいるか探す。
「おねーちゃん!」
「へ?あ、苺。……って1人で来たの!?」
「おかあさんがおねえちゃんのトコのほうがしばちゃんみえるよって!」
:08/04/07 01:52
:SO903i
:☆☆☆
#175 [向日葵]
一応一般はこちら側に来ちゃいけない事になってんだけど……ま、いっか。
「苺ちゃん!こんにちわ!」
「こんにちわ……」
「みかちゃん、つばきちゃんこんにちわ!」
苺は見た目の可愛さあって人気者なのだ。
確か去年もこうして来て、私の周りには苺を一目見ようと人だかりが出来たものだ。
「あ!しばちゃん!」
「え!」
苺の小さな指が差した方に、柴がいた。
:08/04/07 01:55
:SO903i
:☆☆☆
#176 [向日葵]
長めの髪は、お母さんから貰ったのか小さく縛っていて、Tシャツは肩まで捲っていた。
柴とは思えない恰好。
それに目を奪われる。
ひょろひょろしてるように見える体は、意外と筋肉質で、甘えてばかりの柔和な雰囲気はなく、背筋を伸ばして、いかにもスポーツをする男の人に見えた。
並んでる順番から言ってアンカーらしい。
多分若いからと無理矢理やらされてるんだろうけど。
そして気づく。
周りの女の子の視線が、柴にいってる事を。
:08/04/07 02:09
:SO903i
:☆☆☆
#177 [向日葵]
「ねぇ越。あの人知り合い?」
「え、あ、ウン……居候の柴って言うの……」
心ここにあらず。
適当に喋って、また私は柴を見る。
そうか、近くにいて分からなかったけど……柴はああ見えてカッコイイんだ……。
ダレていた空気が、一瞬にして変わり、代わりにピンク色へと変色するのが分かった。
「あれ誰かのお兄さんとかかなー」
「すごいカッコイイー……」
:08/04/07 02:12
:SO903i
:☆☆☆
#178 [向日葵]
アイドルみたいに、そう、例えば立川君みたいに、キャーと叫ぶような感じではなくて、ため息をつきたくなるくらいほれぼれとした感覚で皆柴を見る。
1度見たら、目をそらせない。
今、私もそんな風だ。
パァン!と乾いた音が響けば、一斉に走り出した。
そんな間も、私は柴を見ていた。
柴は一体どんな走りをするんだろう……。
先生も加わっていて、笑いが起きても、やっぱり柴に視線が集まる。
:08/04/07 02:17
:SO903i
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#179 [向日葵]
「あ、次しばちゃん!」
膝に座っている苺がはしゃぐ。
走る位置についた柴は、バトンを貰う為リードを始める。
そしてバトンが手に触れた瞬間。
鳥肌が立った。
疾風のように早く、綺麗なフォームで走り出した柴。
灰色のあの瞳が鋭く光る。
息を飲んだ。
あの柴が、こんなにもカッコよく見える事に驚く。
:08/04/07 02:20
:SO903i
:☆☆☆
#180 [向日葵]
ゴールテープを切った柴に、どよめきが起こる。
そして女の子達が静かに騒ぎだす。
「わー……あたし今恋に落ちた」
「私も……」
「ってか、目が追っちゃう……」
なんだか、いてもたってもいられなくなった私は、苺を抱き上げて柴がいるだろう場所に向かう事にした。
「越?どこ行くのー?」
「ちょ、ちょっと!」
退場門の場所について、柴を探す。
:08/04/07 02:24
:SO903i
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#181 [向日葵]
「あ……」
細身で長身の柴を発見した。
縛っているのが嫌なのか、髪ゴムを外しているところだった。
「しばちゃんっ!」
無邪気に苺が柴を呼ぶ。
苺に気付いた柴は、軽く汗を流しながらこちらを向いた。
その時、何故か胸がドクンと高鳴った。
柴は元の機嫌に戻ったのか、いつもの柔らかな雰囲気でこちらに近づいてくる。
さっきの柴じゃない。
分かってるけど、何故かまだ胸がドキドキしていた。
:08/04/07 02:28
:SO903i
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#182 [向日葵]
側にくると、にこりと微笑んで、私の手から苺を抱き上げた。
「越、見た?俺どうだった?」
嬉しそうに言うから、いつもみたいに気軽に「カッコ良かったよ!」と言うのが恥ずかしくて言えなかった。
な、何でー……っ!?
「?越、どうかした?」
「へ?いや、な、何でも……っ?」
「顔赤くない?日焼けのせい?」
と、片手で苺を抱くと、空いてる手で私の頬に触れた。
おかしな反応をしてしまったのは、私だった。
「おぅわぁぁぁ!!」
:08/04/07 02:33
:SO903i
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#183 [向日葵]
びっくりした柴はすぐに手を引っ込めて、キョトンと私を見る。
苺も瞬きを繰り返していた。
何だ……今の……。
触れられた瞬間、キューッてした……っ!
「え、越、どうかした?」
おずおず聞いてくる柴を見れば、その灰色の瞳に余計心を乱されそうな気がして、1歩1歩足を後退させていた。
「あ……、あの……私席戻らなきゃ……!」
「越!?」
:08/04/07 02:36
:SO903i
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