*柴日記*
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#234 [向日葵]
苺はしっかりと柴の首にしがみつく。
柴は「寝かしてくる」と言って階段を上がって行った。
私はそれを見届けてから朝御飯の支度を再開しようとした。
……が自分の怪我した指を見てしばし固まった。
大した傷ではないから、血はすぐにおさまっている。しかし問題はそこじゃない。
柴が口に入れた指を洗うか否かで迷っているのだ。
消毒とは言え口に入れた指でこのまま調理していいものか頭をひねる。
:08/04/20 01:52
:SO903i
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#235 [向日葵]
考えぬいた結果、柴に心の中で謝って手を綺麗に洗ってしまった。
―――――――……
「おっはよう!」
体育祭で小麦色の肌が更に増した美嘉が挨拶をしてきた。
その後ろでは椿が静かに微笑み軽く会釈する。
「おはよう美嘉、椿」
「あれ、怪我したの?」
絆創膏を貼ってる指に気づいた美嘉は私に聞いた。
私は苦笑いしながら「ちょっとね」と言う。
それから教室まで3人で仲良く行った。
:08/04/20 01:57
:SO903i
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#236 [向日葵]
「そういえば、午後からどしゃぶりらしいけど越帰り大丈夫?」
あれから雷は少々おさまったものの、雨がザーと激しくなり、傘をさしても雨足と水たまりのせいで足がびしょびしょになった。
そして雨は午後からは嵐のようになるかもと、爽やかにお天気お姉さんが告げた。
「多分平気。自転車じゃなく歩きだし」
「なんなら……私の車でお送り致しますわ……」
「ありがとう椿。でも本当に大丈夫だから」
:08/04/20 02:02
:SO903i
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#237 [向日葵]
すると椿は私の顔をじっと見てから何か考えるように少しうつ向いた。
「椿?」
呼びかけても椿は考え込んだままになってしまった。
席について、カバンを一旦置いてから私は椿の元へと行った。
「椿、どうかした?」
「……。前のおっしゃってた男性、柴さまでしたよね?」
「あ、うん。そうだよ」
返事をすると、椿は自分なカバンをあさり始めた。
:08/04/20 02:06
:SO903i
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#238 [向日葵]
そして取り出したのは、集合写真のような横長の写真だった。
「勝手に調べたりしてごめんなさい……。でも私、これが先日見た柴さまとしか見えなくて……」
椿はその写真を私に見せた。
沢山の人が一張羅やドレスを着て上品に笑っている。
後ろに大きく掲げている幕のようなものには「60周年記念式」と書いてあった。
なんの記念式かは分からなかったけど、私はその笑っている人達を見た。
「……。柴、どこにいるの?」
:08/04/20 02:12
:SO903i
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#239 [向日葵]
椿は小さな人を指差した。
そこには、あの柴が確かにいた。
今より少し髪の毛が短く、会ったばかりの頃みたいに、きらびやかな微笑みを皆が浮かべる中で何かを失望した表情をしていた。
「越さん……。柴さまのお名前、本当に柴と仰いますか……?」
「……本当は、知らないんだ。柴は、私がつけたあだ名のようなものだから……」
椿は写真に目を落として、柴の真実を更に教えてくれた。
:08/04/20 02:20
:SO903i
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#240 [向日葵]
「私が言っていいものかとは思いますが……私が知る限りでは、柴さまは柴と言うお名前ではありません。伊勢屋グループのご子息、伊勢屋 大和さんです」
イセヤ……ヤマト……?
私は驚きを隠せなかった。
伊勢屋グループと言えば、飲食、服飾、ブランドなど幅広く経営している知らない人はいない程の大きな会社。
その会社の息子が、柴……。
何故それを隠しているのか分からなかった。
[愛情とかそんなもの、受けたことは無かった……]
:08/04/20 02:27
:SO903i
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#241 [向日葵]
お父さんを……恨んでるとかなのだろうか……。
「越さん……ごめんなさい。柴さまのことベラベラと……」
「あ……。ううん。教えてくれて、ありがとう」
柴……。
私は柴の事を知る権利があるんだろうか……。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
柴の事が頭から離れない私は1日中モヤモヤしながら過ごした。
今は掃除をしていて、これが終われば今日はもう帰る予定だ。
:08/04/20 02:31
:SO903i
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#242 [向日葵]
「神田さん」
箒をしまおうとすると、立川君が声をかけてきた。
立川君は毎日私の足を心配してくれて、私としては何だか申し訳ない気持ちで一杯だった。
「何?」
「何かありましたか……?」
「え……」
「ずっと難しい顔してるもので……気になって」
いつも思うのだけど、立川君はよく私の事を見てくれている。
:08/04/20 02:34
:SO903i
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#243 [向日葵]
そのせいか、私の事は何でもお見通しだ。
それとも私が分かりやすすぎるのかな……。
「何もないよ。ありがとうっ」
「何もないって……何もないなら俺は声かけませんよ……っ!」
声をあげた立川君に私は驚いた。
決して取り乱したりしない立川君が、いつもクールな立川君が、今正に取り乱し、熱くなっている。
「貴方はどうしてそうなんですっ。俺は……頼ってもらいたい……貴方に……」
「立川君……」
:08/04/20 02:38
:SO903i
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