*柴日記*
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#340 [向日葵]
立川君は眉間のしわを更に深めた。

「柴が好き。普通女の子って守ってもらうのが憧れかもしれない。でも私は、柴が抱えている闇や悲しみをまるごと包んで守ってあげたいの。……家族以外で、そう思った人は、初めてなの……」

「ならそれは、家族愛ではないので……」

「違うのっ」

立川君の言葉を遮り、否定する。

家族みたいな、親愛の情だけで、ここまで柴を想う事はない。

⏰:08/06/06 23:48 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#341 [向日葵]
さらさらの綺麗な茶色い髪や、神秘的で魅惑的なグレーの瞳。
甘える仕草、無邪気な笑顔、時々見せる苦しそうな、寂しそうな顔。
泣いたあの時の弱々しさ。

全てが、いとおしい……。

「私は立川君を好きにはなれない……。だって立川君を見ても、胸が苦しくなるような痛みは伴わないもの……っ」

手首を握る立川君の手の力が強まる。
あまりの力に顔をしかめた。

「ずっと……貴方だけだったのに……」

⏰:08/06/06 23:53 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#342 [向日葵]
「立川君……?」

「どうしても……僕は駄目なのですか……っ!」

背中に痛みが走る。
壁に押し付けられたのだ。

目の前にいるのは誰……?あのクールな立川君はどこに?優しい立川君は?
この人は……誰……?

「ずっとずっと好きだったのに、どうして僕じゃいけないんですかっ!」

恐い……っ。

「ご、ごめんなさ……」

「何故選んでくれないんですっ!」

そう言われた時、小さい頃の自分を思い出した。

⏰:08/06/06 23:57 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#343 [向日葵]
育てられなくて、私を捨てた両親。

どうして……。
どうして他の何よりも、私を選んでくれないの……?

どうして皆……私から離れてしまうの……?

足がガクガク震えだした時だった。
立川君が突き飛ばされて、私の前には長身の影が現れた。

「柴……」

「越になにすんだ」

私をかばって、立川君を睨みつける。
立川君も負けじと睨み返す。

⏰:08/06/07 00:01 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#344 [向日葵]
「邪魔しないで頂きたい。これは僕らの問題です」

「ふーん。怯えさせながらの話し合いで何が解決するの?」

立川君はギリッと歯を食い縛る。

「なかなか、いい根性してるみたいで」

「ありがとう。でもお互い様だよ」

立川君はしばらく柴を睨むと、落ちたカバンを拾った。

「神田さん、失礼します」

こちらの返事も聞かず、足早に立川君は帰ってしまった。

⏰:08/06/07 00:05 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#345 [向日葵]
いや、気付いたのだろう。
柴の背中で隠れるようにしながら、震えている私を。

柴の服の裾を、ギュッと掴む。

「越?」

優しい声で呼ばれたかと思えば、掴んでいた手を包むように握り、服から放させた。
依然、手は握ったままだ。

「ご……ごめ……」

フラッシュバックと、普段と違う立川君とで、頭がごちゃごちゃになっている。
震えがまだおさまらない。

⏰:08/06/07 00:09 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#346 [向日葵]
「大丈夫だよ。もう恐くない。ゆっくり深呼吸してごらん」

言われた通り、震えながらも深呼吸をする。
柴も私と一緒にやってくれた。
何回かやっていくと、段々と落ち着いてきた。
そして柴の顔を見る。

目の前に、茶色い髪が揺れている。
その向こうには灰色の瞳。
その色からは、私を気遣う温かさが感じられた。
穏やかに微笑まれれば、一層胸は切なくなり、頬に熱い滴が流れた。

それに柴は驚く。

⏰:08/06/07 00:12 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#347 [向日葵]
>>319に感想板がありますので、感想などあればよろしくお願いします

⏰:08/06/07 00:13 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#348 [向日葵]
「越……っ!?どうしたの?どこか痛い?」

慌てて壁に押し付けられていた背中をさすってくれる。
でも痛かった訳じゃない。
柴が来てくれた安心と、柴の笑顔がいとしく感じたのとが合わさって、なんだか胸が熱くなったのだ。

もっと柴がいると実感したくて、抱きつきたかったけど、恥ずかしいと感じる冷静な自分が心の隅に小さく存在していたのでやめた。

それでも、まだ涙は止まらない。

「とりあえず家入ろう?」

⏰:08/06/09 00:16 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#349 [向日葵]
優しく手を引いてくれる柴に素直に従う。

とりあえず、と、柴は皆がいるリビングより私の部屋まで連れて行ってくれた。
気遣ってくれたらしい。

ベッドに座らせてくれると、柴も隣に座った。
そしてまた背中をさすってくれる。

「痛くない?大丈夫?」

皆が来る前に、ヒドイ事を言ったと言うのに、柴は優しく私を心配してくれる。安心させなきゃと、必死に泣くのを堪える。
そのせいで、しゃっくりが出だした。

⏰:08/06/09 00:19 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


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