*柴日記*
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#451 [向日葵]
「そしたらいちご、おねえちゃんとしばちゃんとずーっといっしょだよ!」

その言葉に、祐子は外だという事も忘れ、盛大に笑った。

「そうだねぇ」

苺を抱き上げ、穏やかな目で、2人が行った方を見つめた。

「どちらにせよ、あの2人は一緒にいた方が落ち着くよ……」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「新幹線に乗る前に、そこのコンビニでお菓子買っちゃおう!」

駅の近くにあるコンビニを指差しながら美嘉が言った。
そしてさりげなく私の手を引っ張る。

⏰:08/07/28 00:29 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#452 [向日葵]
「どうしたの?美嘉」

椿の婚約者が嫌いなら、椿の近くにいて妨害するかと思っていたので、美嘉の行動を疑問に感じた。

すると美嘉は拗ねているように口を尖らせながら頬を膨らませた。

「だってね越、前みたいな雰囲気じゃないの、あの2人」

私はちらりと後ろを向く。

椿の婚約者と名乗る、葵 要君と言う人は、同い年なのに大人びていて、爽やかな人だ。

素直な意見を車の中で小声で美嘉に告げると、「騙されちゃダメ!」って怒ったくせに……。

⏰:08/07/31 00:38 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#453 [向日葵]
「人はいつまでも一緒じゃないよ。それに、椿が幸せそうなら、尚一層いいじゃないっ」

と言ってから、私は自分の言葉を口の中で反芻させた。

何、軽く言ってるの私……。
人事みたいに……。
自分は今それで悩んでる最中のくせに……。

「最悪……」

「え?なんて越」

「え?あ、ううん。なんでも……」

と言いかけると、車のタイヤが軋む音が聞こえた。
「ん?」と思っただけで、さほど気にしなかった私は、コンビニへと歩いて行く。

「……あっ!越ちゃん……っ!」

少し離れた椿が珍しく叫んだ。
ぼんやりしながら振り向けば、それと同時に強く腕を引かれた。

⏰:08/07/31 00:48 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#454 [向日葵]
「良かった……いた……」

うそ…………っ。

「柴……っ!」

掴まれた腕を引き寄せられて、力強く抱き締められば、恥ずかしくて突き放すより、柴かどうか確かめるようにその胸に寄りかかる。

まるで時が止まったようだった。
まだ何が起こってるか上手く整理出来ていない。

「間に合った……」

耳元で苦しげに呟かれれば、泣きたくなった。

そして肩を掴まれ、私を解放すると、急にまた腕を掴んで走り出した。

⏰:08/07/31 00:56 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#455 [向日葵]
私は今の状況に頭がついて行かなくて、引っ張られるがままに足を進めた。
どうすればと、美嘉達を振り返るも、美嘉達も驚いたようにポカンと私達を見つめるだけだった。

――――――――…………

何分走っただろう。

着いたのは、遊具も何もなく、ただベンチと砂場だけがある公園だった。

柴も私も、まだ息は整っていない。

信じられない……。
柴なの……?
柴が今、ここに、私のそばに、いるの……?

「し……ば……」

⏰:08/07/31 01:04 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#456 [向日葵]
柴がこちらを見る。

日が当たって、綺麗な茶色い髪の毛が更に輝く。
こちらに向けている神秘的な灰色の瞳。
あの時の、雲とは大違いな灰色。

「ハア……何……?どうかした……?」

「どうして……どうして柴がここに……?それより、本当に、柴……?」

「何言ってんの……どう見ても俺でしょ……」

だって柴は2、3日後に帰るって言ってたし、それ以前になんで私の場所が分かったのだろう……。

⏰:08/07/31 01:14 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#457 [向日葵]
恐る恐る、柴に手を伸ばす。
指先でそっと頬を撫でる。
柴はじっとしていた。

ここにいる……。

「なんで……どうしてここに……」

「越が変な勘違いしてるみたいだったから」

「勘違い……?」

「何を考えるの?越は、何の答えを出すつもり?」

柴は少し怒ったような顔をして私に詰め寄る。

何のって……。
そんな事、1から説明しちゃったら……告白になっちゃうじゃない……っ。

⏰:08/07/31 01:28 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#458 [向日葵]
私の顔が赤くなる。

そりゃ言うって決めてたけど、今言う準備出来てない

どうしようとうつ向けば、柴が訝しげな顔をした。

「言えない事?」

「そ、そうじゃなくて……」

「じゃあ言って」

「や、あの……そんな簡単には、えと……」

少し顔を上げれば、柴の顔が不機嫌になっていた。

「……越は、もう俺なんかいらない?」

「え?何言って……」

⏰:08/07/31 01:35 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#459 [向日葵]
「越が考えたいって事は、俺に出ていくように言うのをどうやって言おうか考えるって事じゃないの!?」

柴は今度は悲しそうな顔をした。

もちろん今柴が言った事は、近いけれど間違っている。
もし柴が私の家にいたいと言うなら、それをわざわざ追い出そうなんて事はしない。

「あのね、し……っ」

私は息を呑んだ。
急に、力一杯抱き締められた。
痛いぐらいに、私の体が締めつけられる。
でも、うるさいぐらい胸が高鳴る。

「俺は越が好き。だから越が望むなら出ていくけど……でも、俺の気持ちは無視なの……?」

⏰:08/07/31 01:41 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#460 [向日葵]
「ち、違うの柴……っ」

柴の胸を少し押して、柴と距離を取る。
依然、まだ柴の腕の中。

「違う?だってあのメール……」

「だから、柴の勘違いなのっ。あぁ、ごめん。言葉足らずだったね」

顔が更に赤くなる。
この距離で言うのは恥ずかしいけど、今言うしかない。

「柴がね、幸せに暮らしてくれるなら、それでいいって思ったの。柴が1番に望むものを、私や、お母さん達は尊重しようって。……でも」

柴を求める私は、それを許さなかった。
去って行ってしまったあの日の柴の背中を思い出せば、涙が出そうだ。

⏰:08/08/02 00:15 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


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