*柴日記*
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#618 [向日葵]
それを聞くなり、一朗は駆け出した。
―――――――――…………
「ぃえっくしっ!」
なんともおっさんくさいクシャミをしながら祐子は屋上で寝そべっている。
しかしさっきから寒気がして仕方ない。
ついに誰かから呪われ始めたか?と心の中で笑っていると、また派手にクシャミをする。
あぁ寒い……。
やっぱり冬に屋上に出るものじゃないな……。
別の場所に移ろうと、半身を起こした時、屋上のドアが開く。
:08/09/20 02:26
:SO906i
:☆☆☆
#619 [向日葵]
「ん?」と振り向けば、見た事ある4人組が立っていた。
「あれま先輩方、怪我はすっかり治ったみたいっすね」
にやりと余裕の笑みを浮かべる裕子に、この間こてんぱんにやられた4人は歯ぎしりする。
「あんなの怪我のうちにはいんねぇよ」
「で、何の用です?」
立ち上がりながら祐子は訊いた。
「リベンジいつでも受けるっつっただろ。正にそれだよ」
「今度はいい勝負になるといいんですけど……。ちゃんと腕あげてきたのか?」
:08/09/20 02:30
:SO906i
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#620 [向日葵]
「へっ!身をもって体験しやがれっ!」
4人いっぺんに祐子に飛びかかる。
ゆっくり身構えて、相手がまずどう出るかを目で微かに捕らえてまず何をお見舞いするかすぐさま考える。
避けて回し蹴りが有効そうだと考え、実行に移すため避けた時だった。
「いけませーんっ!!」
そこにいた5人はピタッとそのままの体勢で静止する。
この……迫力の無い声は……。
振り向けば、ドア付近に息を切らした神田一朗がいた。
:08/09/20 02:37
:SO906i
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#621 [向日葵]
「お前……」
祐子は頭痛を覚えて額に手を当てる。
他の4人はポカンとしていた。
「前も言ったじゃないか森下さんっ!女の子が顔に怪我したら大変なんだよっ!」
ピリッとしていた空気がまるで砂のようにさらさら呆気なく去っていくのが分かる。
変わりにぽけぽけした空気に支配されていく。
「お前は今さっきの私の行動を全く反省してな……あれ、お前眼鏡……」
粉砕したはずの眼鏡を彼はかけていた。
「スペアだよ。ホラ僕ドジだから持っておかないとダメでしょ」
:08/09/20 02:41
:SO906i
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#622 [向日葵]
神田一朗の空気に流されそうになってハッと気づいた祐子はかぶりを振る。
「ってかあたしの事にいちいち首突っ込むなっ!」
「好きだから突っ込みたくもなるよ。ホラ帰ろう」
と神田一朗は祐子の手を取る。
そして目を軽く見開く。
「森下さん……熱ある?」
眉を寄せた祐子はまたクシャミをする。
さっきからのクシャミや寒気はそれで?こんな丈夫な体が?
自覚した途端、頭がくらくらしてきた。
:08/09/20 02:45
:SO906i
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#623 [向日葵]
それを聞いた4人もさっきの気分を取り戻しす。
「熱ならなおのこと都合いいじゃねえか。そこの彼氏共々ボコボコにしてやんよ」
「彼氏じゃねぇし」
くらくらしながらもしゃんと立っている祐子は神田一朗を背に庇い4人に向き直る。
それを神田一朗はのけさせようとする。
「森下さん、今日は駄目っ」
「うっさい、アンタ弱いんだからさっさと帰れっ!」
その言葉に、神田一朗は目をパチパチさせた。
「僕弱くはないと思うよ」
:08/09/20 02:50
:SO906i
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#624 [向日葵]
そう言うと、祐子の前に進み出て、そのまま4人の所まで平然と歩いていく。
祐子は驚いて止めようとするが声が出ない。
「先輩方、喧嘩はよしませんか?」
神田一朗はにっこり笑って言う。
「なよっちい奴は……ひっこんでなっ!」
言葉と共に繰り出された拳を、神田一朗はひらりとかわし、ひね上げ、動けないようにする。
「ね?森下さん体調不良ですし」
笑って喋りながら、近くで呆けていた1人を足払いでこかす。
あとの2人は目だけで威嚇する。
:08/09/20 02:56
:SO906i
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#625 [向日葵]
笑っているのに、目からは冬の寒さよりも冷たい空気が流れてきて、4人はもう固まるしかなく、遠くにいた祐子もなんとも言えない表情をして固まっていた。
「わ、分かった!今日は止めるから放しやがれっ!」
パッとひねり上げていた手を解放すると、彼はまたにっこりと笑う。
「ありがとうございます」
野生の本能で分かる、この人には敵わないと言う雰囲気に、4人は押され、そのままそそくさと帰る。
祐子はそれを呆然と見送ってから、神田一朗を見る。
「ね、弱くないでしょ?」
:08/09/20 03:00
:SO906i
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#626 [向日葵]
「……どうしてついて来るんだ……。あたしはお前がうっとおしいっつっただろ……」
「何回も言ってるじゃないか。僕は君が好きなの」
「だからあたしは……」
「ねぇ森下さん」
彼は祐子の言葉を遮る。
「森下さんは僕の事や、自分の周りからの評価でしか僕の事を拒否してない。でも僕が求めてるのはそんなのじゃなく、森下さん自身の気持ちが知りたいんだ」
真剣に言われてしまえば、ここから去ってしまいたい程恥ずかしい。
考えれば考える程頭が熱くなっていく。
:08/09/20 03:06
:SO906i
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#627 [向日葵]
そして忘れていた。
熱があった事。
視界が真っ暗になる。
「あ、森下さんっ!」
彼の声を最後に、祐子は意識を手放した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
学校のチャイムが聞こえた気がした。
額にひやりとした物が乗せられているのが分かる。
暖かい物にくるまれているのも分かる。
体がダルい……。
そう思いながらも目を開ける。
:08/09/20 03:09
:SO906i
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