*柴日記*
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#644 [向日葵]
心に、無遠慮に侵入してくる……。
居心地が悪くないのがまた困る。言うんじゃなかった……。
「なぁ神田」
「一朗でいいよ」
「かーんーだ」
意地でも呼びたくないと思い、一朗の言葉を無視する。
クスクス笑う一朗は「何?」と言う。
「手を握ったりするをやめてくれないか?」
「どうして?」
「…………手汗をかくから」
大した理由が浮かばない。
本当は恥ずかしいなんて絶対に言いたくない。
何故か、一朗の好きだと言う態度には反抗したくなる。
:08/09/28 01:27
:SO906i
:☆☆☆
#645 [向日葵]
「緊張するって事?」
「じゃない」
一朗はただクスクス笑う。
こっちの考えを見透かされているみたいで、祐子は居心地が悪くなる。
「やめてくれない?そうやって何でも分かった風に振る舞うの」
「だって祐子さんは分かりやすいから」
「何それ。単純馬鹿って言いたいのかよ」
「素直で可愛いって事」
そんな風に言う一朗ね背中を拳で叩く。
「痛い痛い」と、さほど痛くなさそうな声を出して、また笑う一朗。
:08/10/04 00:33
:SO906i
:☆☆☆
#646 [向日葵]
居心地が悪い。
ムカつく。
寒いやつ。
そう思うのに、そばにいる事を許している自分はなんなのだろう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あらあらあら!まぁまぁまぁ!」
翠がたまたま外へ出てくるのと、祐子を乗せた一朗が家に着くのとは同時だった。
祐子は頭を抱えてうなだれる。
この事態だけは避けておきたかった……。
案の定、翠は興奮に頬を紅潮させ目をキラキラさせる。
:08/10/04 00:37
:SO906i
:☆☆☆
#647 [向日葵]
一朗は祐子が怪我しないようゆっくりとブレーキをかけて止まる。祐子をおろし、自分もおりると、翠に向き直りにっこり笑う。
「初めまして。神田一朗です。祐子さんをお送りさせて頂きたくて、やって来ました」
「あらあらご丁寧に。祐子ちゃんのママの翠です」
「挨拶しなくていいからっ!ホラママ」
「翠ちゃんっ!」
「……翠ちゃん、家に入ろう」
翠は口を尖らせて祐子のそばをすり抜けると、一朗の前に行く。
そして一朗に負けないくらいにっこり笑う。
:08/10/04 00:42
:SO906i
:☆☆☆
#648 [向日葵]
「一朗君、ビーフシチューは好きかしら?祐子ちゃんを送ってくれたお礼をしたいのだけど、食べていかない?」
「ち、ちょっと翠ちゃんっ!」
こんな居心地が良いような悪いような訳の分からない気持ちにさせられる奴と食事をするなんて嫌だと思った。
せっかくの美味しい料理すら味が分からなくなる。
「好きです。邪魔にならないのでしたら、お言葉に甘えたいです」
「お前も何言ってんだよ!」
「じゃあ決まりね」
「あたしを無視するなぁぁっ!」
:08/10/04 00:47
:SO906i
:☆☆☆
#649 [向日葵]
結局、同じような空気をもつ2人には勝てず、渋々祐子は一朗を招き入れる事を承諾した。
「着替えてくる」
「手伝おうか?」
「殴られたいのか」
「簡単には殴られないよ」
真実なのでイラッとした祐子は口を真一文字にキュッと引っ張り足を鳴らして階段を上がっていった。
そんな姿を一朗は見てクスリと笑う。
「一朗君、好きな場所に座って」
いつにもましてルンルンな翠は、そう言いながらいつも祐子が座る場所の隣をさりげなく勧める。
:08/10/04 00:51
:SO906i
:☆☆☆
#650 [向日葵]
それを一朗は知らないので、勧められるがままに座る。
「ありがとうございます」
翠は笑顔で返す。
そしてソワソワするので、一朗は翠に問う。
「どうか、なさいましたか?」
「あなた、祐子ちゃんが好きなのよね?」
「ハイ。とても」
恥ずかしがるわけもなく、一朗はそう答える。
翠は更に興奮し、「キャー!」と軽い叫び声をあげる。
「素敵!私あなたなら祐子ちゃんをお嫁にあげてもいいわっ」
「それは光栄です」
:08/10/04 00:57
:SO906i
:☆☆☆
#651 [向日葵]
:08/10/06 01:50
:SO906i
:☆☆☆
#652 [向日葵]
そこでハタッと翠は動きをとめ、瞬きを繰り返しながら何かを考えてから一朗の方へ乗り出す。
「もしかしてあなたが祐子ちゃんに告白した子かしら?」
「ご存知で?」
翠は入口を気にしてから一朗に微笑みかける。
「祐子ちゃん、あんな風だけど、とってもいい子だから……仲良くしてやってね」
その言葉に、一朗は笑みを深める。
「ハイ。もちろんです」
その答えに満足した翠は、キッチンへと戻る。
:08/10/06 01:54
:SO906i
:☆☆☆
#653 [向日葵]
「ちょっと!」
着替えをすまして下りてきた祐子は大きな声を出した。
そして一朗を指差す。
「アンタどうしてそこに座ってんだよ!」
「え、好きな場所にって言われたからそうさせてもらっただけだよ?」
ずんずん歩いてきた祐子は向かい側を指差す。
どうやらこちらに座れといいたいらしい。
なんてったってその隣は祐子の特等席なのだから。
しかし聞いているのかいないのか、一朗は上から下まで祐子を見るとにっこり笑った。
「私服って新鮮だなぁ」
:08/10/06 01:59
:SO906i
:☆☆☆
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