*柴日記*
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#652 [向日葵]
そこでハタッと翠は動きをとめ、瞬きを繰り返しながら何かを考えてから一朗の方へ乗り出す。
「もしかしてあなたが祐子ちゃんに告白した子かしら?」
「ご存知で?」
翠は入口を気にしてから一朗に微笑みかける。
「祐子ちゃん、あんな風だけど、とってもいい子だから……仲良くしてやってね」
その言葉に、一朗は笑みを深める。
「ハイ。もちろんです」
その答えに満足した翠は、キッチンへと戻る。
:08/10/06 01:54
:SO906i
:☆☆☆
#653 [向日葵]
「ちょっと!」
着替えをすまして下りてきた祐子は大きな声を出した。
そして一朗を指差す。
「アンタどうしてそこに座ってんだよ!」
「え、好きな場所にって言われたからそうさせてもらっただけだよ?」
ずんずん歩いてきた祐子は向かい側を指差す。
どうやらこちらに座れといいたいらしい。
なんてったってその隣は祐子の特等席なのだから。
しかし聞いているのかいないのか、一朗は上から下まで祐子を見るとにっこり笑った。
「私服って新鮮だなぁ」
:08/10/06 01:59
:SO906i
:☆☆☆
#654 [向日葵]
祐子は言われて自分の姿を見る。
パーカーを長袖のTシャツの上からはおり、ジーパンをはいただけというラフな恰好。
「……当たり前だろ。毎日制服なんだから」
もうちょっとマシな恰好をすれば良かっただろうか?と考えている事に何の疑問も感じず少し落ち込む。
「ううん。可愛い」
そう言われてガチンと祐子の体が固まる。
そして爪先から頭のてっぺんまでゾワゾワとしたものが這い上がる。
「か……っかか可愛い!?」
思わず声が裏返る。
:08/10/06 02:05
:SO906i
:☆☆☆
#655 [向日葵]
「うん。可愛い」
もう1度言う。
祐子はブルッと震え、両腕を擦る。
「無理……っ、寒い事言うな!」
「そんなオヤジギャク言ったみたいな反応しなくても……」
と言いながら祐子の毛先を一束持つ。
それをもてあそぶ。
「猫っ毛なんだね。フワフワしてていいな。1度触ってみたかったんだ」
「翠ちゃん譲りなんだよ。あたしには似合わない」
一朗はクスクス笑う。
:08/10/06 02:09
:SO906i
:☆☆☆
#656 [向日葵]
「似合うから可愛いって言ってるのに。自分の事まったく分かってないんだね」
なんだか馬鹿にされたような気がしながらも顔を赤くさせる。
どこでもかしこでも、なんでこんな言葉が出てくるか分からない。
けれど寒い言葉ながら、少し嬉しく思ってしまう自分がいるのも否定出来ない。
そんなのだから、たちが悪い……。
「さぁ2人も、ご飯にしましょうか」
翠がもって来たビーフシチューはいい香りがして、どこかぼんやりしていた祐子の思考を醒ました。
:08/10/06 02:13
:SO906i
:☆☆☆
#657 [向日葵]
結局一朗は移動しないままで、あまり席にこだわっていては照れてると思われそうなので、一朗の隣に祐子は座った。
「お口にあえばいいんだけど」
一朗はにこりと笑って、両手を合わせて「いただきます」と言うと一口ビーフシチューを口に運んだ。
「美味しいです」
たれ目がちなあの目が更にたれる。
へにゃんとしたその笑顔に力が抜けそうで、少しかぶりを振った祐子はビーフシチューを食べる。
いつも通り美味しくて、祐子まで一朗の顔になりそうだった。
「おかわりあるからね。沢山食べてちょうだい」
:08/10/06 02:19
:SO906i
:☆☆☆
#658 [向日葵]
:08/10/06 02:20
:SO906i
:☆☆☆
#659 [向日葵]
穏やかに、時間が流れている気がした。
一朗がいるだけで、とても和やかだった。
味が分からなくなるから嫌だ。
そう思っていた筈なのに、一朗が隣にいると、美味しい気持ちと一緒にどこかホッとした雰囲気を味わった。
―――――――――…………
食事を終え、一朗は帰ると言った。
とりあえず、門前くらいまでは送ってやろうと、祐子は一緒に外へ出る。
「ごちそうさま。本当に美味しかったよ」
「翠ちゃんは料理得意だからな」
「じゃあ、祐子さんも上手なんだろうね」
:08/10/09 00:41
:SO906i
:☆☆☆
#660 [向日葵]
にっこり笑ってそう言う一朗が何を言いたいか分かった祐子は、わざと大きくため息をついた。
「どうしてもとでも言いたいのか?弁当」
「祐子さんに任せるよ」
そう言うが、一朗は祐子が作ってくれるだろうと期待している。
そして祐子はそう思っている一朗が分かるもんだから余計に脱力する。
「……はよ帰れ……」
「うん」
頷きながら、一朗は祐子の両手を握る。
不意をつかれた祐子は激しく動揺する。
:08/10/09 00:46
:SO906i
:☆☆☆
#661 [向日葵]
「か、帰れっつってんのに何手ぇ握ってんだよっ」
「こうする為」
軽く祐子の手を引っ張った一朗は、つんのめった祐子の頭に軽く唇を押しつける。
祐子は驚いて、手を振り払うとすぐさま一朗から離れた。
「な…………っ!」
「感謝の印。じゃあまた明日ね」
涼しい顔をして、一朗は帰っていった。
胸がドキドキして、頭がくらくらしだす。
油断してたらこうだから、祐子は自分が一朗に対して無防備なのか?と疑問に感じた。
:08/10/09 00:51
:SO906i
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