*柴日記*
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#71 [向日葵]
さっきも言ったけれどお母さんが酔っ払うのには理由があった。
1つは仕事。
上司が気持ち悪いくせに偉そうだとか、お客さんが理不尽な事注文してくるとか。
2つめは……家族の事。
やっぱり、私達のような家族は陰口をされる事が少なくない。
血が繋がってないのがそんなに駄目なのかな……。
「越?」
ハッとして目線を上げれば、目の前に柴がいつの間にかいた。
「あ……苺ありがとう。」
「ぼんやりして……どうしたの?」
:08/03/26 00:57
:SO903i
:☆☆☆
#72 [向日葵]
心配そうな灰色の瞳に見つめられて、不思議とホッとした。
「なぁんでも。ありがとう柴」
「そう?」
ホッとしても、胸の中のモヤモヤは簡単には取れない。だから宿題する気にはなれない私は、柴と喋る事にした。
「苺すぐ寝たんだね。」
「部屋のドア開ける頃にはもううとうとしてたから。」
「そっか……。でも今日はおまじない効かなかったなー……」
:08/03/26 01:00
:SO903i
:☆☆☆
#73 [向日葵]
“おまじない”が何か知らない柴は首を傾げる。
私はフッと笑って“おまじない”が何かを教えてあげた。
「さっきみたいに眠れない時はね、力一杯ギューッて抱き締めてあげるの。そしたら安心して寝れるっておまじない」
「ふーん……」
柴はまだボタボタの頭のまま部屋に入り、私のベッドに座ると自分で頭を拭きだした。
居座る気なのか、その内出て行くのか分からないので、私はとりあえずドアを閉めた。
:08/03/27 00:31
:SO903i
:☆☆☆
#74 [向日葵]
頭を切り換えて、また宿題を再開しようと机に向かう途中に柴が喋り出した。
「越は?」
「え?」
「おまじない。しなくていいの?」
タオルと濡れた髪の毛の隙間から、灰色の瞳が覗く。
私はそれを見つめ返した。
驚いた。
そんな事を言われたのは初めてで、今まで私はおまじないを実行する立場であって、してもらう事はなかったから……。
:08/03/27 00:36
:SO903i
:☆☆☆
#75 [向日葵]
その不思議な目が、私の中の何かを見透かしている気がして、不自然に心臓が動いた。
「何で、そう思ったの?」
「……何か、辛そうな感じがしたから」
柴はどちらかと言えば子供みたいで、心はとても純粋だと思う。
だから苺みたいに、私の雰囲気の違いに鋭く気付いたのかもしれない。
沈黙が流れた。
私は何も答えられないまま、何かを導き出そうとしている柴の目を見つめた。
:08/03/27 00:40
:SO903i
:☆☆☆
#76 [向日葵]
「大丈夫っ。私がしっかりさなきゃ、皆暗くなっちゃうし!私は元気だよ柴!」
言い終えると同時に、柴が私の手を引いた。
そして立ち上がる。
拭ききれてないのか、柴の髪の毛から滴る水滴が顔にかかって片目を瞑った。
その水滴を、柴の指先が拭う。
「おまじない、しなよ」
「柴人の話聞いてた?」
「うん。越は甘えたいんだなって思ったんだけど?」
呆然として、瞬きを繰り返す。
:08/03/27 00:45
:SO903i
:☆☆☆
#77 [向日葵]
どうして本質的なものを簡単にとらえてくれるのだろう。
でも……甘えるだなんて、あまりした事がない私はわからなかった。
「い、いいよ柴!私は大丈夫って言ってるじゃない!」
「じゃあさせて」
「へ?」
許可を出す前に柴の腕が私を包んだ。
まだ熱りが収まってないその体は暖かくて、心地よかった。
柴は分かってくれたんだ。
私が自分から頼む事が出来ない事。
だから柴自ら、いつもみたいに抱きついてくれたんだ。
:08/03/27 00:49
:SO903i
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#78 [向日葵]
「越。俺ならいいよ」
「何が?」
「甘えるの。いつも越は俺に甘えさせてくれてるでしょ」
柴って不思議だなー……。
無邪気で純粋で甘えん坊で……。なのにスルスル気持ちを引き出してしまう。
多くは語らないのに、ちゃんと何が言いたいか、何をして欲しいかを分かってくれる。
その安らかにさせてくれる柴の温もりが、私の心の中に残っていたモヤモヤを取り除いてくれる。
:08/03/27 00:54
:SO903i
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#79 [向日葵]
しばらくすると、柴は腕をほどいて「おやすみ」と出て行った。
私の体は、柴の体温でまだ温かい。
柴が出て行ったドアを見つめながら私は微笑む。
子犬のように、癒しをくれる柴。
その不思議な力に魅了されていくなんて、この頃の私はまだ知らなかった……。
:08/03/27 00:56
:SO903i
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#80 [向日葵]
―2日目―
柴のワガママってどうにかならないのかなー。いい加減にしないとお姉ちゃん怒ると思うんだよね。気をつけた方がいいよー。お姉ちゃん怒るとこっわいんだからーっ!
(神田家・次女・桜談)
「しぃぃばぁぁっ!!」
桜が叫んだので、びっくりしてせっかく作った唐揚げを落としてしまいそうになった。
珍しく早く家に帰れた私は、普段通り晩御飯の用意をしていた。
:08/03/27 01:01
:SO903i
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