*柴日記*
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#724 [向日葵]
―――――――――…………
次の日。
早朝の爽やかな空気と友達との挨拶が交わされている教室に、どこからともなく騒がしい足音がやってくる。
「ゆ、祐子さんいるっ!?」
祐子のクラスメイトの1人だ。
丁度来て、机の中へ教科書を入れていた途中だった祐子は顔を上げる。
「なに?」
「大変よ!神田君のクラスに転校生……とにかく来て!」
説明するのもめんどくさくなったのか、女子は祐子の手を引っ張って一朗のクラスへと走って行く。
:08/11/18 01:17
:SO906i
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#725 [向日葵]
息を軽く弾ませながら見たのは、一朗にべったりくっついてる女の子の姿。
しかも祐子は、その子を知っている。
昨日の、やたらうっとおしい奴だ。
祐子はズカズカと教室へ入っていく。
祐子に気づいた一朗のクラスメイトは、道をあけていく。
「オイ」
一朗の前に仁王立ちした祐子は、苛立っている元凶の杏を睨む。
一朗は明らかに焦っていた。
「祐子さん、これは違うからねっ……?」
「みりゃ分かるっ」
:08/11/18 01:21
:SO906i
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#726 [向日葵]
と言いながらも、語気を荒げるのは仕方のない事。
いくら一朗が自分を好きと言ってくれていても、自分以外の女子がべったりくっついていては怒らずにはいられないだろう。
「あらあなた、まだこりてなかったの?」
「そりゃこっちのセリフだ。夢見がちの世間知らずのお嬢ちゃんよ」
杏は祐子の鋭い視線に負けそうになるも、なんとか頑張って睨み返す。
祐子は余裕しゃくしゃくで杏を見下す。
杏に睨まれても全然怖くはない。
「放れろ」
:08/11/18 01:26
:SO906i
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#727 [向日葵]
杏はギュッと一朗の腕にしがみつく。
祐子は一歩前へ出て声を低くする。
「聞こえねぇのか。放れろっつってんだよ」
「い、嫌よ。あなたに指図される筋合いはないもの」
祐子の頭の中で、何かが派手に弾ける。
その音を聞く前に、祐子の手が出て、強制的に二人を引き剥がす。
小さく悲鳴を上げて、杏は尻餅をついた。
「いい加減にしやがれっ!いつまでもグチグチと諦めの悪い。アンタなんかお呼びじゃねぇんだよ!」
:08/11/18 01:30
:SO906i
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#728 [向日葵]
杏は下唇を噛み締めると、教室から出て行った。
祐子は一朗に向き直る。
「お前もしっかり拒否しろよ!」
祐子の怒りはまだおさまらない。怒りの矛先がこちらへ向かってくるとは思わなかった一朗は驚いて、目をまんまるくさせる。
「だって女の子だし、乱暴はあまり出来なくて……」
「じゃあお前はベタベタ触られてるのをあたしに黙って見てろって言うのかよ!」
「そうじゃない。僕だって祐子さん以外に触れられるのは嫌に決まって……」
:08/11/18 01:39
:SO906i
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#729 [向日葵]
「もういいっ!今日は一人で食べるから!」
祐子は回れ右をして教室を出て行った。
せっかく昨日仲直りしたのに。
こんな些細な事で、気持ちがすれ違うのが嫌だ。
そう思っても、「祐子以外の触れられるのは嫌だ」と言うのなら、力づくだろうがなんだろうが拒否すればいいのにと、ムカムカしてくる。
それもこれも、全部はあの杏とかいう奴のせいだ……っ!
廊下をあるく祐子の表情は、正に鬼の形相そのものだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「祐子さんてば……」
:08/11/18 01:44
:SO906i
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#730 [向日葵]
これで三度目。
一朗はホームルームが終わった後の僅かな休み時間と、一時間目の休み時間にわざわざ祐子のクラスまで謝りにくる。
その姿がまるで忠犬のようだとクラス中が思っている事を二人は知らない。
祐子はずっと窓の外を見たまま口を閉ざしている。
謝れば何でも許すと思ったら大間違いだと意地になる。
さすがの一朗も困り果てている。
「……お昼、祐子さんが一緒じゃなきゃ……寂しいよ……」
心底寂しいそうな声に、少し祐子は心揺れる。
:08/11/18 01:49
:SO906i
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#731 [向日葵]
それでも、と、半ば意地になって、許してしまいそうな自分をなんとか抑えて、祐子はじっと空を見つめる。いや睨む。
すると祐子を苛立たせる声がした。
「あーっ!もう一朗こんなとこにいたのー!?」
祐子の脅しもなんのその。
ケロリと忘れてしまっているのか、杏はずかずかと教室に入ってきた。
祐子の事をわざと無視して一朗の腕を引く。
一朗は祐子の方を気にしたが、二人を見れば更に怒りはおさまりそうにない祐子はそっぽを向いたままだった。
一朗は肩を落とし、小さく「またあとで」と言って教室をあとにした。
:08/11/29 22:18
:SO906i
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#732 [向日葵]
一朗がいなくなってすぐ、クラスの女子が祐子の元へと集まる。
「祐子さん、なんなのあの子っ!」
「……幼なじみらしいよ」
「あー……よくあるパターンだよね。“幼なじみは将来の旦那さま”っていう法則みたいなの」
そんな法則は滅びればいいと思う。
「でも一朗くんもまんざらじゃなさそう……」
「馬鹿っ!」
何気にそう言った誰かの口を、皆が一斉に塞ぐ。
皆が祐子をそろりと見るものだから、祐子は苦笑いするしかなかった。
:08/11/29 22:23
:SO906i
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#733 [向日葵]
「気にしなくてもいいよ」
本当はどうしようもなく不安。
それでも一朗を信じたいから、次来た時には仲直りしようかと心を入れ替える。
大丈夫だと思った。
こんな小さなすれ違いくらい……。
――――――――…………
ところが、お昼休みになっても一朗は現れなかった。
気になった祐子は、一朗の分まで作った弁当を持って、一朗の教室へ行く。
すると人だかりが出来ていた。
なんだと間から見れば……。
「はいアーン!」
「だからいらないって。僕にはお弁当が」
:08/11/29 22:28
:SO906i
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