*柴日記*
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#801 [○○&◆.x/9qDRof2]
#23 [ゆびきりげんまん(1/2)]
ゆびきりげんまん、うそついたらはりせんぼんのーます。
ゆびきった。

「私ね、昔約束したんだ」
「約束?へぇー、誰とよ?」

図書館の机。
私の前に座る友達が読んでいた本を閉じた。こんな話にも興味を持ってくれたらしい。
広辞苑を読んでいたのだから、相当暇だっただけなのかも知れないけど。

⏰:22/10/04 10:39 📱:Android 🆔:☆☆☆


#802 [○○&◆.x/9qDRof2]
「誰かは思い出せないんだ。どんな約束かもよく憶えていない」
「何それ。約束した事しか憶えていないの?」
「うん。誰かと指切りげんまんしたんだ」
ゆびきりげんまん、うそついたらはりせんぼんのーます。
ゆびきった。

⏰:22/10/04 10:39 📱:Android 🆔:☆☆☆


#803 [○○&◆.x/9qDRof2]
頭の中で、そのフレーズがずっと反芻される。
あの約束で、初めて交わした指切りげんまん。

でもいつだったっけ?結構幼い頃だったような気がする。
でも人生4、5年ぐらい生きてりゃあの歌には出会えるし。何とも確証がない。頭の中で壊れたようにあのフレーズがずっと流れる。
ゆびきりげんまん、うそついたらはりせんぼんのーます。
ゆびきった。

⏰:22/10/04 10:39 📱:Android 🆔:☆☆☆


#804 [○○&◆.x/9qDRof2]
「…あっ」
「…?どしたの?」
「思い出したのよ」
「誰と約束したかを?」
「ううん、約束した事を」

うそついたら、ね?
約束した相手の声だけが頭の中で再生される。
少し低い女の子の声。顔は忘れたけど、声は思い出せる。
赤いランドセルに黄色い帽子をかぶって、約束したんだ。

⏰:22/10/04 10:40 📱:Android 🆔:☆☆☆


#805 [○○&◆.x/9qDRof2]
あれは多分初めての指切りげんまん。

「一緒に地獄へ堕ちよう、って約束したんだ」

あの子は、憶えてるのかな。

⏰:22/10/04 10:40 📱:Android 🆔:☆☆☆


#806 [○○&◆.x/9qDRof2]
ギィギィ、と錆びた音が廃れた公園に響き渡る。

僕の横でブランコを漕ぐのは、あの時と何一つ変わらない君。

⏰:22/10/04 17:17 📱:Android 🆔:☆☆☆


#807 [○○&◆.x/9qDRof2]
亡き君に告ぐ
⏰:10/12/17 22:07 📱:SH04B 🆔:f3tn8iq6

⏰:22/10/04 17:17 📱:Android 🆔:☆☆☆


#808 [○○&◆.x/9qDRof2]
#3 [不発花火]
僕がまだこの公園で遊んでいた時は、周りは古びた団地で、道路を渡ってすぐに優しいおばあちゃんがいる駄菓子屋があって、その少し離れた所に友達の家が経営している本屋があったはずだった。

でも今は見渡しても駄菓子屋も本屋も古びた団地もなく、コンクリートのビルや綺麗な高層マンションがそびえ立っていた。

その中でこの廃れた公園だけは昔と何一つ変わらずに、まるでここだけ世界が違うように佇んでいた。

⏰:22/10/04 17:17 📱:Android 🆔:☆☆☆


#809 [○○&◆.x/9qDRof2]
⏰:10/12/17 22:08 📱:SH04B 🆔:f3tn8iq6

#4 [不発花火]
でも、昔はたくさんの子供達やその母親で賑わっていた公園も、今ではしんと静まり返っている。


ただ、ブランコの音がギィギィと鳴り響いている。


「君は変わらないな」

⏰:22/10/04 17:18 📱:Android 🆔:☆☆☆


#810 [○○&◆.x/9qDRof2]
ブランコを囲む鉄柵に座る僕の横で無言のまま小さくブランコを漕ぎ続ける君に僕は話し掛けた。

十何年という長い時間は、僕を大人にするのは充分すぎる程だった。
⏰:10/12/17 22:08

⏰:22/10/04 17:18 📱:Android 🆔:☆☆☆


#811 [○○&◆.x/9qDRof2]
🆔:f3tn8iq6

#5 [不発花火]
大人になった僕は、小さい頃の面影なんてない程に成長していた。

顎髭なんか生やしているし、似合わないスーツだって毎日のように着ている。

昔のようにTシャツと短パンで駆け回ることもなくなった。

でも君は何一つ変わらず幼いままだ。

⏰:22/10/04 17:18 📱:Android 🆔:☆☆☆


#812 [○○&◆.x/9qDRof2]
どれ程の時間が経ったのだろうか。

僕は君が亡くなってから、一体何年この公園に足を運ばなくなったのだろうか。


「おじさん、誰?」

まだ声変わりをしていない、高らかな少年の声。
何も知らない、君の声。

⏰:22/10/04 17:18 📱:Android 🆔:☆☆☆


#813 [○○&◆.x/9qDRof2]
「僕は君の友達だよ」

懐かしさから涙が零れそうになるのを必死で耐えながら、言葉を紡ぐ。

君は気付いてくれるだろうか。
⏰:10/12/17 22:09

⏰:22/10/04 17:19 📱:Android 🆔:☆☆☆


#814 [○○&◆.x/9qDRof2]
#6 [不発花火]
「でも、僕はおじさんを知らないよ?」
「僕は君をずっと昔から知ってるよ」

ブランコを漕ぐのを止め、僕の目を見透かえながら君はきょとん、とした顔をしている。

「僕の、友達…?」

⏰:22/10/04 17:19 📱:Android 🆔:☆☆☆


#815 [○○&◆.x/9qDRof2]
そう、人見知りで泣き虫な君の、たった一人の友達だったんだ。

笑って頷くと君は嬉しそうに、けれど恥ずかしそうに再びブランコを漕ぎ出した。

「じゃあ…ブランコを押してくれる?」

「…もちろんだよ」

⏰:22/10/04 17:19 📱:Android 🆔:☆☆☆


#816 [○○&◆.x/9qDRof2]
僕は鉄柵から立ち上がり、緩くブランコを漕ぐ君の細い背中を優しく押していく。
⏰:10/12/17 22:09 📱:SH04B 🆔:f3tn8iq6

#7 [不発花火]
「しっかり掴まってるんだよ?」

手放さないように。

「うん!もっと、もっと高く―」

あの時のように、手放さないように。

⏰:22/10/04 17:19 📱:Android 🆔:☆☆☆


#817 [○○&◆.x/9qDRof2]
僕は少し強めに背中を押すが、君はまだ満足出来ないのか『もっと、もっと』と楽しそうに笑っている。

ふと、雨が降り出した。

ポツポツと雨粒が乾いた地面に小さな染みを作り、地面の色を変えていく。

「さあ、雨が降って来たよ。お家に帰ろうか」

⏰:22/10/04 17:20 📱:Android 🆔:☆☆☆


#818 [○○&◆.x/9qDRof2]
また天気が良い日に、君に会いに行くよ。
そしたら君に謝りたいことがあるんだ。
⏰:10/12/17 22:10 📱:SH04B

⏰:22/10/04 17:20 📱:Android 🆔:☆☆☆


#819 [○○&◆.x/9qDRof2]
8 [不発花火]
「―どうして?」


君は許してくれるだろうか。


「どうして、って雨が降ってるからだよ。風邪を引いてしまうだろ?」


僕からは君の顔は見えない。
僕の心臓は急激に早く鼓動を刻み始めた。

声は震えていなかっただろうか。


「あの時は雨が振ってても、もっと強く背中を押してくれたのにね?」

⏰:22/10/04 17:20 📱:Android 🆔:☆☆☆


#820 [○○&◆.x/9qDRof2]
ぐるり、と180度君の顔が僕の方を向く。

人間では、有り得ない向きで君は僕の顔を見ている。

「ひっ」

つい嗚咽が漏れてしまい、慌てて手で口を塞ぐ。

⏰:22/10/04 17:20 📱:Android 🆔:☆☆☆


#821 [○○&◆.x/9qDRof2]
心臓の音が煩い程に鳴っている。
⏰:10/12/17 22:10 📱:SH04B 🆔:f3tn8iq6

#9 [不発花火]
「どうして僕を置いてったの?」
「僕はまだ生きていたのに」
「どうして?」

⏰:22/10/04 17:20 📱:Android 🆔:☆☆☆


#822 [○○&◆.x/9qDRof2]
君は僕を許してくれるだろうか。

「ごめ、ごめん…本当にごめん…怖かったんだ…責められるのが」


『君を殺した』と責められるのが。

⏰:22/10/04 17:21 📱:Android 🆔:☆☆☆


#823 [○○&◆.x/9qDRof2]
あの日たまたま雨が振っていて、僕はブランコを漕ぐ君の背中をいつものように押していたんだ。

ほんの少しの雨だったから、構わず親友である君と遊んでたんだ。

君を喜ばせたくて、雨粒がキラキラと宝石のように綺麗だったから、いつもより強く背中を押していたんだ。
⏰:10/12/17 22:11 📱:SH04B 🆔:f3tn8iq6

#10 [不発花火]
『立ったら、きっともっと楽しいよ』

その言葉で立ち上がった君の背中を僕が強く押した瞬間、雨で濡れた鉄で出来た手摺りから君は手を離してしまい、君の小さな体は宙を舞った。

高く飛んだ君の体は地面に強く叩き付けられ、しばらくビクビクと痙攣し、血を吐き出した後ピクリとも動かなくなった。

僕は怖くなってしまい、逃げ出してしまった。

「違、違う…助けたかったんだ…本当だよ…ごめん、ごめんよ…」

「嘘だ」

⏰:22/10/04 17:21 📱:Android 🆔:☆☆☆


#824 [○○&◆.x/9qDRof2]
無表情な君からは、何も感じられなかった。

怒りも悲しみも何も感じられない、君。

僕はただそれに恐怖を感じるしかなかった。

⏰:22/10/04 17:21 📱:Android 🆔:☆☆☆


#825 [○○&◆.x/9qDRof2]
ギィギィ、と錆びた音が廃れた公園に響き渡る。

僕の横でブランコを漕ぐのは、あの時と何一つ変わらない君。

⏰:22/10/04 17:22 📱:Android 🆔:☆☆☆


#826 [○○&◆.x/9qDRof2]
亡き君に告ぐ
⏰:10/12/17 22:07 📱:SH04B 🆔:f3tn8iq6

⏰:22/10/04 17:22 📱:Android 🆔:☆☆☆


#827 [○○&◆.x/9qDRof2]
#3 [不発花火]
僕がまだこの公園で遊んでいた時は、周りは古びた団地で、道路を渡ってすぐに優しいおばあちゃんがいる駄菓子屋があって、その少し離れた所に友達の家が経営している本屋があったはずだった。

⏰:22/10/04 17:22 📱:Android 🆔:☆☆☆


#828 [○○&◆.x/9qDRof2]
でも今は見渡しても駄菓子屋も本屋も古びた団地もなく、コンクリートのビルや綺麗な高層マンションがそびえ立っていた。

⏰:22/10/04 17:23 📱:Android 🆔:☆☆☆


#829 [○○&◆.x/9qDRof2]
その中でこの廃れた公園だけは昔と何一つ変わらずに、まるでここだけ世界が違うように佇んでいた。
⏰:10/12/17 22:08 📱:SH04B 🆔:f3tn8iq6

⏰:22/10/04 17:23 📱:Android 🆔:☆☆☆


#830 [○○&◆.x/9qDRof2]
#4 [不発花火]
でも、昔はたくさんの子供達やその母親で賑わっていた公園も、今ではしんと静まり返っている。


ただ、ブランコの音がギィギィと鳴り響いている。

⏰:22/10/04 17:23 📱:Android 🆔:☆☆☆


#831 [○○&◆.x/9qDRof2]
君は変わらないな」

ブランコを囲む鉄柵に座る僕の横で無言のまま小さくブランコを漕ぎ続ける君に僕は話し掛けた。

十何年という長い時間は、僕を大人にするのは充分すぎる程だった。

⏰:22/10/04 17:23 📱:Android 🆔:☆☆☆


#832 [○○&◆.x/9qDRof2]
⏰:10/12/17 22:08 📱:SH04B 🆔:f3tn8iq6

#5 [不発花火]
大人になった僕は、小さい頃の面影なんてない程に成長していた。

顎髭なんか生やしているし、似合わないスーツだって毎日のように着ている。

昔のようにTシャツと短パンで駆け回ることもなくなった。

⏰:22/10/04 17:24 📱:Android 🆔:☆☆☆


#833 [○○&◆.x/9qDRof2]
でも君は何一つ変わらず幼いままだ。

どれ程の時間が経ったのだろうか。

僕は君が亡くなってから、一体何年この公園に足を運ばなくなったのだろうか。


「おじさん、誰?」

⏰:22/10/04 17:24 📱:Android 🆔:☆☆☆


#834 [○○&◆.x/9qDRof2]
まだ声変わりをしていない、高らかな少年の声。
何も知らない、君の声。

「僕は君の友達だよ」

懐かしさから涙が零れそうになるのを必死で耐えながら、言葉を紡ぐ。

君は気付いてくれるだろうか。

⏰:22/10/04 17:24 📱:Android 🆔:☆☆☆


#835 [○○&◆.x/9qDRof2]
⏰:10/12/17 22:09 📱:SH04B 🆔:f3tn8iq6

#6 [不発花火]
「でも、僕はおじさんを知らないよ?」
「僕は君をずっと昔から知ってるよ」

ブランコを漕ぐのを止め、僕の目を見透かえながら君はきょとん、とした顔をしている。

⏰:22/10/04 17:24 📱:Android 🆔:☆☆☆


#836 [○○&◆.x/9qDRof2]
「僕の、友達…?」

そう、人見知りで泣き虫な君の、たった一人の友達だったんだ。

笑って頷くと君は嬉しそうに、けれど恥ずかしそうに再びブランコを漕ぎ出した。

「じゃあ…ブランコを押してくれる?」

⏰:22/10/04 17:24 📱:Android 🆔:☆☆☆


#837 [○○&◆.x/9qDRof2]
「…もちろんだよ」

僕は鉄柵から立ち上がり、緩くブランコを漕ぐ君の細い背中を優しく押していく。
⏰:10/12/17 22:09 📱:SH04B 🆔:f3tn8iq6

⏰:22/10/04 17:25 📱:Android 🆔:☆☆☆


#838 [○○&◆.x/9qDRof2]
#7 [不発花火]
「しっかり掴まってるんだよ?」

手放さないように。

「うん!もっと、もっと高く―」

あの時のように、手放さないように。

僕は少し強めに背中を押すが、君はまだ満足出来ないのか『もっと、もっと』と楽しそうに笑っている。

⏰:22/10/04 17:25 📱:Android 🆔:☆☆☆


#839 [○○&◆.x/9qDRof2]
ふと、雨が降り出した。

ポツポツと雨粒が乾いた地面に小さな染みを作り、地面の色を変えていく。

「さあ、雨が降って来たよ。お家に帰ろうか」

また天気が良い日に、君に会いに行くよ。
そしたら君に謝りたいことがあるんだ。
⏰:10/12/17 22:10 📱:SH04B 🆔:f3tn8iq6

⏰:22/10/04 17:25 📱:Android 🆔:☆☆☆


#840 [○○&◆.x/9qDRof2]
#8 [不発花火]
「―どうして?」


君は許してくれるだろうか。


「どうして、って雨が降ってるからだよ。風邪を引いてしまうだろ?」


僕からは君の顔は見えない。
僕の心臓は急激に早く鼓動を刻み始めた。

声は震えていなかっただろうか。


「あの時は雨が振ってても、もっと強く背中を押してくれたのにね?」

⏰:22/10/04 17:25 📱:Android 🆔:☆☆☆


#841 [○○&◆.x/9qDRof2]
ぐるり、と180度君の顔が僕の方を向く。

人間では、有り得ない向きで君は僕の顔を見ている。

「ひっ」

つい嗚咽が漏れてしまい、慌てて手で口を塞ぐ。

心臓の音が煩い程に鳴っている。
⏰:10/12/17 22:10 📱:SH04B 🆔:f3tn8iq6

⏰:22/10/04 17:26 📱:Android 🆔:☆☆☆


#842 [○○&◆.x/9qDRof2]
#9 [不発花火]
「どうして僕を置いてったの?」
「僕はまだ生きていたのに」
「どうして?」


君は僕を許してくれるだろうか。

「ごめ、ごめん…本当にごめん…怖かったんだ…責められるのが」

⏰:22/10/04 17:26 📱:Android 🆔:☆☆☆


#843 [○○&◆.x/9qDRof2]
『君を殺した』と責められるのが。


あの日たまたま雨が振っていて、僕はブランコを漕ぐ君の背中をいつものように押していたんだ。

ほんの少しの雨だったから、構わず親友である君と遊んでたんだ。

⏰:22/10/04 17:26 📱:Android 🆔:☆☆☆


#844 [○○&◆.x/9qDRof2]
君を喜ばせたくて、雨粒がキラキラと宝石のように綺麗だったから、いつもより強く背中を押していたんだ。
⏰:10/12/17 22:11 📱:SH04B

⏰:22/10/04 17:26 📱:Android 🆔:☆☆☆


#845 [○○&◆.x/9qDRof2]
#10 [不発花火]
『立ったら、きっともっと楽しいよ』

その言葉で立ち上がった君の背中を僕が強く押した瞬間、雨で濡れた鉄で出来た手摺りから君は手を離してしまい、君の小さな体は宙を舞った。

高く飛んだ君の体は地面に強く叩き付けられ、しばらくビクビクと痙攣し、血を吐き出した後ピクリとも動かなくなった。

⏰:22/10/04 17:27 📱:Android 🆔:☆☆☆


#846 [○○&◆.x/9qDRof2]
僕は怖くなってしまい、逃げ出してしまった。

「違、違う…助けたかったんだ…本当だよ…ごめん、ごめんよ…」

「嘘だ」

⏰:22/10/04 17:27 📱:Android 🆔:☆☆☆


#847 [○○&◆.x/9qDRof2]
無表情な君からは、何も感じられなかった。

怒りも悲しみも何も感じられない、君。

僕はただそれに恐怖を感じるしかなかった。

⏰:22/10/04 17:27 📱:Android 🆔:☆☆☆


#848 [○○&◆.x/9qDRof2]
ゆびきりげんまん
ゆびきりげんまん、うそついたらはりせんぼんのーます。
ゆびきった。

「私ね、昔約束したんだ」
「約束?へぇー、誰とよ?」

⏰:22/10/04 17:33 📱:Android 🆔:☆☆☆


#849 [○○&◆.x/9qDRof2]
図書館の机。
私の前に座る友達が読んでいた本を閉じた。こんな話にも興味を持ってくれたらしい。
広辞苑を読んでいたのだから、相当暇だっただけなのかも知れないけど。

「誰かは思い出せないんだ。どんな約束かもよく憶えていない」

⏰:22/10/04 17:33 📱:Android 🆔:☆☆☆


#850 [○○&◆.x/9qDRof2]
「何それ。約束した事しか憶えていないの?」
「うん。誰かと指切りげんまんしたんだ」
ゆびきりげんまん、うそついたらはりせんぼんのーます。

⏰:22/10/04 17:34 📱:Android 🆔:☆☆☆


#851 [○○&◆.x/9qDRof2]
ゆびきった。
頭の中で、そのフレーズがずっと反芻される。
あの約束で、初めて交わした指切りげんまん。

⏰:22/10/04 17:34 📱:Android 🆔:☆☆☆


#852 [○○&◆.x/9qDRof2]
でもいつだったっけ?結構幼い頃だったような気がする。
でも人生4、5年ぐらい生きてりゃあの歌には出会えるし。何とも確証がない。頭の中で壊れたようにあのフレーズがずっと流れる。

⏰:22/10/04 17:34 📱:Android 🆔:☆☆☆


#853 [○○&◆.x/9qDRof2]
ゆびきりげんまん、うそついたらはりせんぼんのーます。
ゆびきった。

「…あっ」
「…?どしたの?」
「思い出したのよ」
「誰と約束したかを?」
「ううん、約束した事を」

⏰:22/10/04 17:35 📱:Android 🆔:☆☆☆


#854 [○○&◆.x/9qDRof2]
うそついたら、ね?
約束した相手の声だけが頭の中で再生される。
少し低い女の子の声。顔は忘れたけど、声は思い出せる。
赤いランドセルに黄色い帽子をかぶって、約束したんだ。

⏰:22/10/04 17:35 📱:Android 🆔:☆☆☆


#855 [○○&◆.x/9qDRof2]
あれは多分初めての指切りげんまん。

「一緒に地獄へ堕ちよう、って約束したんだ」

あの子は、憶えてるのかな。

⏰:22/10/04 17:35 📱:Android 🆔:☆☆☆


#856 [○○&◆.x/9qDRof2]
Gemini双子の正体

あたしとアイはいつも一緒。
ご飯のときも、寝るときも、お風呂も歯磨きもぜーんぶ一緒。

⏰:22/10/04 17:35 📱:Android 🆔:☆☆☆


#857 [○○&◆.x/9qDRof2]
あたしとアイはすごく高いところにあるお部屋に住んでる。
お父さんはビルって言ってた。
ベランダっていう窓からお外が見えるけど、危ないから出ちゃダメなんだって。

⏰:22/10/04 17:36 📱:Android 🆔:☆☆☆


#858 [○○&◆.x/9qDRof2]
一緒に住んでるお父さんは、二人目のお父さん。
一人目のお父さんは優しくていつも一緒に遊んでくれて大好きだったけど、いなくなっちゃった。
それから今のお父さんのお家にお引っ越ししたの。

⏰:22/10/04 17:36 📱:Android 🆔:☆☆☆


#859 [○○&◆.x/9qDRof2]
でも今のお父さんは一緒に遊んでくれないしお仕事であまりお家にいないから、あたしは前のお父さんの方が好きなんだ。
お父さんには秘密だよ。

⏰:22/10/04 17:36 📱:Android 🆔:☆☆☆


#860 [○○&◆.x/9qDRof2]
あたしは公園が大好き。
ブランコとかお砂場とかジャングルジムとか、楽しいのがいっぱいあるから。
でも、公園には行っちゃいけないの。
今はぶっそうなよのなかだからってお父さんが言ってたけど、あたしもアイもよくわからない。

⏰:22/10/04 17:36 📱:Android 🆔:☆☆☆


#861 [○○&◆.x/9qDRof2]
一度お父さんがお仕事に行ってるときに、アイと二人でこっそり公園に行こうとした。
でもお部屋のドアが開かなくて、出られなかった。

⏰:22/10/04 17:37 📱:Android 🆔:☆☆☆


#862 [○○&◆.x/9qDRof2]
今のお父さんのお家に来てから、あたしはお外で遊んでないの。
アイと二人で、お父さんがつくったごはんを食べたり、テレビを見たりしてる。

⏰:22/10/04 17:37 📱:Android 🆔:☆☆☆


#863 [○○&◆.x/9qDRof2]
でも、アイはお外に出てるの。
あたしが寝てる時にお父さんに連れて行ってもらってるんだって。
アイがお外に行った次の日は、あたしにお外の話をしてくれて楽しい。

⏰:22/10/04 17:37 📱:Android 🆔:☆☆☆


#864 [○○&◆.x/9qDRof2]
でも、どうして?
アイとあたしはいつも一緒なのに。
どうしてアイだけお外に出られるの?
アイに聞いてみたけど、テレビを見ててお返事してくれなかった。

⏰:22/10/04 17:37 📱:Android 🆔:☆☆☆


#865 [○○&◆.x/9qDRof2]
今日のお天気は雨で、いつも窓から見てるお外がよく見えない。
アイがあたしを呼んでる。
なあに?

⏰:22/10/04 17:38 📱:Android 🆔:☆☆☆


#866 [○○&◆.x/9qDRof2]
―お外に出たい?
 
出たいよ。公園でブランコにのりたいな。
 
――じゃあ次にお父さんとお出かけするときは代わってあげる。

⏰:22/10/04 17:38 📱:Android 🆔:☆☆☆


#867 [○○&◆.x/9qDRof2]
ほんと?
 
――うん。
 
夜、お父さんがアイを呼んだ。
あたしはアイのふりして、お父さんと一緒にお部屋を出た。
ひさしぶりにお外に出てうれしかった。

⏰:22/10/04 17:38 📱:Android 🆔:☆☆☆


#868 [○○&◆.x/9qDRof2]
お部屋の真ん中にあるおっきなベッドに寝かされて、お父さんの手があたしの体のいろんなところを触ったりなでたりしてる。
お父さん、なにしてるんだろう?

⏰:22/10/04 17:38 📱:Android 🆔:☆☆☆


#869 [○○&◆.x/9qDRof2]
――まだあなたにはわからないね。
 
アイ?
お父さんは、なにをしてるの?
アイとお父さんはいつもこんなことしてるの?

⏰:22/10/04 17:39 📱:Android 🆔:☆☆☆


#870 [○○&◆.x/9qDRof2]
――逃げないで。ちゃんと向き合って。本当は知ってたんでしょ?
 
アイ、なにいってるの?
 
――あの人と、したことを。知ってたんでしょ?
 
やだ……。

⏰:22/10/04 17:39 📱:Android 🆔:☆☆☆


#871 [○○&◆.x/9qDRof2]
――あなたが消したい記憶を、全部あたしが背負ったの。
 
やめてよ……聞きたくない!
 
――聞いて! あたしは……

⏰:22/10/04 17:39 📱:Android 🆔:☆☆☆


#872 [○○&◆.x/9qDRof2]
その瞬間、全部思い出した。
アイは、あたし――。

⏰:22/10/04 17:39 📱:Android 🆔:☆☆☆


#873 [○○&◆.x/9qDRof2]
すれ違い
(※すこしホラー※)

 昨日、嫌なことがあった。いや、嫌なことなんて毎日ある。なぜなら、ぼくはいじめられているから。良いことなんて、ここ数年あったことがない。

⏰:22/10/04 17:40 📱:Android 🆔:☆☆☆


#874 [○○&◆.x/9qDRof2]
でも、昨日は特別に嫌なことがあった。帰り道にいつも通り、ぼくの好きなひとみちゃんの後をつけていたら、彼女は他校の男子と待ち合わせしていた。

⏰:22/10/04 17:40 📱:Android 🆔:☆☆☆


#875 [○○&◆.x/9qDRof2]
ぼくは、ひとみちゃんと付き合えるなんて勘違いするほど馬鹿じゃないから、彼女が他の男と待ち合わせしてデートするのは仕方ない。ぼくにはどうしようもないことだ。

⏰:22/10/04 17:40 📱:Android 🆔:☆☆☆


#876 [○○&◆.x/9qDRof2]
しばらくひとみちゃんと男の後をつけて、日が暮れだした頃、二人は公園に入っていった。ベンチに座って楽しそうに話す二人を、ぼくは隠れて見ていた。男がうらやましかった。

⏰:22/10/04 17:40 📱:Android 🆔:☆☆☆


#877 [○○&◆.x/9qDRof2]
あれがぼくだったら.......そう思っていたら、男がひとみちゃんにキスをした。ぼくの大好きなひとみちゃんに!ひとみちゃんにキスの経験が無いのを知っていたぼくは、彼女が嫌がる、助けなきゃ、とその場に飛び出そうとした.......が、ぼくの考えとは逆に、彼女は自分から舌を入れたり、男の背中を撫で回したり。

⏰:22/10/04 17:41 📱:Android 🆔:☆☆☆


#878 [○○&◆.x/9qDRof2]
なんて淫乱なんだ!騙された……あんな女だったなんてっ!

 ぼくは彼女に幻滅した。そして今日、ここに来た。ぼくはいつも、嫌なことがあると近くの山に登る。山と言っても、頂上まで30分もかからない小さな山だ。

⏰:22/10/04 17:41 📱:Android 🆔:☆☆☆


#879 [○○&◆.x/9qDRof2]
ぼくは、頂上に続く獣道を慣れた足取りで歩いていた。10分ほど歩くと、茂みの中に見覚えのあるものを発見した。あの淫乱女.......ひとみがいつも首に巻いているマフラーだ。

⏰:22/10/04 17:41 📱:Android 🆔:☆☆☆


#880 [○○&◆.x/9qDRof2]
なぜこんなところに?誰か他の人の?いや、毎日後をつけているぼくが見間違うはずはない。ぼくは地面に落ちていたマフラーを拾って匂いを嗅いでみた。間違いない、何日か前に嗅いだ体操服と同じ匂いだ。

⏰:22/10/04 17:41 📱:Android 🆔:☆☆☆


#881 [○○&◆.x/9qDRof2]
ひとみが近くにいるんだと思い、ぼくは茂みの奥へと入り込んでいった。5分ほど茂みの中を突き進んだぼくは、再びひとみの落としものを見つけた。

⏰:22/10/04 17:42 📱:Android 🆔:☆☆☆


#882 [○○&◆.x/9qDRof2]
彼女が肌身離さず持っている白い携帯電話だ。ぼくは素早く拾いあげると、携帯電話のボタンを操作する。この作業は、ぼくが夢にまで見ていたものだった。

⏰:22/10/04 17:42 📱:Android 🆔:☆☆☆


#883 [○○&◆.x/9qDRof2]
いままで一度もチャンスが無かったのだが、ぼくの気持ちが変化してからこんなことがあるなんて、皮肉なものだ。次々と画面に表れるのは、ひとみと友達のツーショット写真や、男と交わしたメッセージ.......だが、あるメール画面が表示された時、ぼくの手は止まった。

⏰:22/10/04 17:42 📱:Android 🆔:☆☆☆


#884 [○○&◆.x/9qDRof2]
『××山のコテージで待ってる』


送信メールの中で見つけたものだが、宛先の名前には見覚えがない。どうせあの他校生か誰かだろう。

⏰:22/10/04 17:42 📱:Android 🆔:☆☆☆


#885 [○○&◆.x/9qDRof2]
この山の頂上の少し手前には、なぜかひとつだけポツリと建てられた小さなコテージがある。そこで彼女が誰かを待っているようだ。ぼくは迷わずその場所に向かった。

⏰:22/10/04 17:43 📱:Android 🆔:☆☆☆


#886 [○○&◆.x/9qDRof2]
茂みを掻き分けてどのくらい進んだだろうか、コテージが見えてきた。だが、周囲に人影らしきものはない。あの中で、あいつはまた淫らなことをしているんじゃないだろうか。見たくない。

⏰:22/10/04 17:43 📱:Android 🆔:☆☆☆


#887 [○○&◆.x/9qDRof2]
はずなのに、ぼくのからだは意識を無視して行動していた。ぼくは建物の裏側から、周囲の様子を伺いながら慎重に近づいた。そしてコテージの壁にはりついて、窓からこっそりと内部を覗く。緊張しながらも、ぼくはひとみの姿を探した.......だが、ひとみどころか中には誰の姿も無かった。

⏰:22/10/04 17:43 📱:Android 🆔:☆☆☆


#888 [○○&◆.x/9qDRof2]
ほっとしたのと同時に、期待を裏切られたような気分だった。もう帰った後だったのだろうか。ぼくは、表に回ってコテージのドアを開けた。やはり中には誰もいない。

⏰:22/10/04 17:43 📱:Android 🆔:☆☆☆


#889 [○○&◆.x/9qDRof2]
だが、テーブルの上に置かれた赤い布がぼくの目に映った。あれは……制服のスカーフだ。近づこうとしてコテージの中に一歩足を踏み入れた瞬間、頭に衝撃が走ってぼくは崩れ落ちた。痛みに顔を歪めているぼくの耳に、男の声が聞こえた。

⏰:22/10/04 17:43 📱:Android 🆔:☆☆☆


#890 [○○&◆.x/9qDRof2]
「こいつ、やっちゃっていいの?」
「うん。いいよ」

それに答えたのは.......間違いない、ひとみだ!どういうことだ?なぜひとみがぼくを?

⏰:22/10/04 17:44 📱:Android 🆔:☆☆☆


#891 [○○&◆.x/9qDRof2]
「ずっと付きまとわれててさ。キモいんだよね」

ぼくはもうお前に付きまとうつもりは無い!だが、男の足が倒れているぼくのみぞおちを強打したため、声にはならなかった。痛みをこらえて目を開けると、視線の先には嫌悪感に満ちたひとみの顔があった。

⏰:22/10/04 17:44 📱:Android 🆔:☆☆☆


#892 [○○&◆.x/9qDRof2]
視界の端を棒のようなものが通りすぎると、すぐに頭に痛みを感じた。何かが弾けるような感覚の後、ぼくは意識を失った。

⏰:22/10/04 17:44 📱:Android 🆔:☆☆☆


#893 [○○&◆.x/9qDRof2]
現実を遮断する直前に聞いたのは、ひとみの声だった。



「ストーカーだったなんて、幻滅した.......好きだったのに」

⏰:22/10/04 17:44 📱:Android 🆔:☆☆☆


#894 [○○&◆.x/9qDRof2]
卒業

 もうこの学校に先輩はいない。先輩は少しだけ春の木漏れ日が差し込んだ先週の金曜日、わたしの通う高校を卒業した。もうこの学校に先輩はいない。朝わざとぎりぎりに学校に登校しても、昼休みに売店に行っても、移動教室の時友達に無理を言って遠回りしてみても。

⏰:22/10/04 17:45 📱:Android 🆔:☆☆☆


#895 [○○&◆.x/9qDRof2]
もう先輩を見つけることはできない。


 あと二年早く生まれたかった。なんどその言葉を口にしただろう。所詮、わたしは後輩。たまに挨拶をするのがわたしの精一杯の自己表現。だけど先輩は、少しだけめんどくさそうな顔をして頭を下げてくれる。

⏰:22/10/04 17:45 📱:Android 🆔:☆☆☆


#896 [○○&◆.x/9qDRof2]
それだけで一日中幸せになれた。名前を呼んでくれた日など一生忘れないと思った。もちろん、いまでも覚えている。

 だけど。そんな先輩はこの学校を卒業してしまった。

⏰:22/10/04 17:45 📱:Android 🆔:☆☆☆


#897 [○○&◆.x/9qDRof2]
いまでも、朝学校に来れば、まず先輩の姿を探してしまう。売店へ行くと先輩はいないと頭では分かっているのに、目が勝手に先輩を探してしまう。こころが勝手に今日もパンを買ってるんじゃないかと期待してしまう。

⏰:22/10/04 17:45 📱:Android 🆔:☆☆☆


#898 [○○&◆.x/9qDRof2]
廊下ですれ違うことは二度とないのに、先輩を一目見ようと遠回りしてしまう。先輩とは、一年しか同じ学校に通っていないけど、その学校の至る所に先輩の思い出が隠れている。

⏰:22/10/04 17:45 📱:Android 🆔:☆☆☆


#899 [○○&◆.x/9qDRof2]
それでも。わたしはこの恋を終わらせるつもりはない。確かに想いは届かないだろう。だけど、わたしが先輩に恋した時間は永久にわたしのこころの中に残るから。

⏰:22/10/04 17:46 📱:Android 🆔:☆☆☆


#900 [○○&◆.x/9qDRof2]
短い期間だったけどわたしのこころは先輩でいっぱいになったから。


 だから。わたしは先輩を忘れない。


 卒業おめでとうございます。

⏰:22/10/04 17:46 📱:Android 🆔:☆☆☆


#901 [○○&◆.x/9qDRof2]
春への想い
雪が降っていた。

しんしんと積もる雪の音に、耳を傾ける。

白に近い灰色の空を見上げながら思うは貴方のこと。

⏰:22/10/04 17:46 📱:Android 🆔:☆☆☆


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