よすが
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#109 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
――でも……サトルは今、何を考えているんだろう?

「ねえ、サトル」

駅から家に向かう道の途中で、あたしは声をかけた。
あたしの手を引いて前を歩いていたサトルが、立ち止まると同時にくるっと振り向いた。
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⏰:08/04/08 23:15 📱:SH903i 🆔:U9CTaOi2


#110 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
振り向いたサトルの表情は、……笑顔だった。
いつもの、人懐っこい子犬のような笑顔。

「なあに?」

見慣れた笑顔が目の前にあった。

きっとサトルは、心配そうな、困ったような顔をしているんだろうと、あたしは思っていたのに。
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⏰:08/04/08 23:16 📱:SH903i 🆔:U9CTaOi2


#111 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
「ふふっ、……あっはっははは!」

急におかしくなってきて、あたしは吹き出してしまった。
あたしは何を心配してたんだろう?
何も心配することなんか無いじゃない!

まだ笑っているあたしを、サトルは不思議そうな顔をして見ている。
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⏰:08/04/08 23:17 📱:SH903i 🆔:U9CTaOi2


#112 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
「何でもない!」

あたしはそう言って、今度は逆にサトルの手を引っ張って歩き出した。

「なにー? 一人で笑ってずるーい! 何が面白いの? 僕にも教えてよ!」

サトルがいつものようにギャーギャーと騒ぎ始めた。
あたしはそれがなんだか嬉しくて、「秘密だよ」とだけ言って歩き続けた。

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⏰:08/04/08 23:17 📱:SH903i 🆔:U9CTaOi2


#113 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
家に着く頃には太陽は沈み切って、立ち並ぶ街灯や看板の明かりが道を照らしていた。
あたしは別れ際、帰り道の間に考えていたことをサトルに伝えた。

「明日ね、図書館に行こうと思ってるんだけど。……一緒に来てくれないかな?」

街灯の光で、二つの影が地面に伸びている。
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⏰:08/04/09 01:01 📱:SH903i 🆔:APNEtQ/Q


#114 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
明日は土曜で学校は休みだ。
あたしは、記憶喪失の原因になった事件のことを調べようと思っていた。

「珍しいね!」

目を真ん丸にして、嬉しそうにサトルがそう言ったけれど、あたしは何のことか解らない。

「ユキが僕についてきてなんて、今まで言ったことないよね」
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⏰:08/04/09 01:01 📱:SH903i 🆔:APNEtQ/Q


#115 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
――そうか、あたしが頼まなくてもサトルがいつもついてきてくれるからだ。

気がつかなかった。
あたしが一緒に居て欲しい時、何も言わなくてもサトルは来てくれてたんだ。

サトルは、どうしてあたしの気持ちが解るんだろう?
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⏰:08/04/09 01:02 📱:SH903i 🆔:APNEtQ/Q


#116 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
「え、ユキ? ちょっとっ……どうしたの? ごめん、何か嫌だった?」

気がつくと、あたしの目から涙が一筋流れていた。

「ち、違うのっ……ごめんね、サトル。嫌なことなんか無いんだけど……」

自分でも驚きながら、溢れる涙を拭い、サトルに無理矢理作った笑顔を見せた。
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⏰:08/04/09 01:03 📱:SH903i 🆔:APNEtQ/Q


#117 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
多分この涙は、自分の不甲斐なさに対するものだと思う。
サトルがいつでもあたしを見てくれていたことに今更気付いた自分が、情けなかった。

「図書館一緒に行くから、だから泣かないで?」

そんなことで泣かないよ。
サトルの心配そうな顔がおかしくて、あたしは自然と笑顔になっていた。
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⏰:08/04/09 01:04 📱:SH903i 🆔:APNEtQ/Q


#118 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
「うん、ごめんね。ありがと! じゃあ、明日ね」

あたしの笑った顔を見て安心したのか、サトルも笑顔で手をブンブンと振りながら帰って行った。



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⏰:08/04/09 01:04 📱:SH903i 🆔:APNEtQ/Q


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