よすが
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#27 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
サトルはちょっとバカだけど、いざという時は頼りになるし、心の底から信じられる友達だ。

出会ってすぐの頃、サトルとあたしとあたしの母と、三人で大型のショッピングセンターに出掛けたことがあった。
あたしとサトルは楽しくて、母の言うことを聞かずに走り回って遊んでいたら、いつの間にか母とはぐれてしまった。

複雑な構造のショッピングセンターの中で、あたしとサトルは母を探してあちこち歩き回ったけれど、母の姿はどこにもない。
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⏰:08/04/03 01:10 📱:SH903i 🆔:RM1EQ/SI


#28 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
あたしは心細くなって、泣き出してしまった。
するとサトルは、そんなあたしの手を引っ張って、近くにいた店員さんに話しかけた。

「迷子になっちゃったんですけど、どこに行ったらいいですかっ」

サトルの顔は真っ赤だった。きっとサトルも心細かったに違いない。
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⏰:08/04/03 02:11 📱:SH903i 🆔:RM1EQ/SI


#29 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
迷子の放送をしてもらい、母が迎えに来てくれたとき、サトルも泣き出してしまった。
あたしが不安にならないように、我慢していたのだろう。

それがすごく嬉しかったし、あたしには一つ年下のサトルがとても強く見えた。

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⏰:08/04/03 02:11 📱:SH903i 🆔:RM1EQ/SI


#30 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 

大通りに面したコーヒーショップの窓際の席に座り、あたしはサトルに夢のこと、過去のことを全て話した。

サトルは何も知らない。
今まで、あたしの中で過去の話はタブーだったから。

初めて聞くあたしの話に、サトルは一生懸命耳を傾けてくれた。
たまに理解出来ないところを聞き返してくることもあったけれど、それ以外は黙って聞いてくれた。
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⏰:08/04/03 02:14 📱:SH903i 🆔:RM1EQ/SI


#31 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
全てを話し終えて、あたしは最後にこう付け加えた。

「あたし、思い出したいの」

サトルは、あたしの顔を真っ直ぐ見つめて黙っていた。
何と答えようか、考えているのだろう。

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⏰:08/04/03 02:15 📱:SH903i 🆔:RM1EQ/SI


#32 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
たっぷり五分は沈黙が続いた後、サトルが口を開いた。

「もし、ユキが辛くなったら、僕がいるから。何があっても僕がユキを守るからね!」

嬉しかった。サトルはいつも、あたしを安心させてくれる。
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⏰:08/04/03 02:18 📱:SH903i 🆔:RM1EQ/SI


#33 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
「うん、ありがとう」

サトルは、自分に手伝えることは無いか、と言ってくれた。
あたしはその言葉に甘えることにした。

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⏰:08/04/03 02:18 📱:SH903i 🆔:RM1EQ/SI


#34 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 

あたしたちはコーヒーショップを出て、昔一緒に通っていた小学校に向かった。

「久しぶりだよね、小学校なんて。高校入学の報告に行ったきりだなあ、僕」

「あたしもだよ。中山先生、まだいたよね?」

中山先生とは、あたしが小学校に転入した年の担任教師だ。
記憶を失って精神的に不安定だったあたしを、いつも気遣ってくれる、良い先生だった。
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⏰:08/04/03 12:55 📱:SH903i 🆔:RM1EQ/SI


#35 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
学校に着き、事務室の窓口で中山先生を呼んでもらおうとした。

「中山先生は去年、T町の学校に転任されましたけど」

あたしとサトルは顔を見合わせた。

「しかたないね」

サトルがそういって悲しそうな顔を見せる。
サトルにそうだね、と返し、窓口の事務員に尋ねた。
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⏰:08/04/03 12:56 📱:SH903i 🆔:RM1EQ/SI


#36 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
「あたし、十年前にここに転校してきたんですけど、その前にいた学校がどこか調べてもらえませんか?」

そう言うと、事務員の女性はあからさまに不審な目を向けてくる。あたしは慌てて説明した。

「あの、あたし、八歳の時に記憶喪失になって、ここに転校してきたんです。それより前のことは覚えてなくて……」

「……身分証明できるものあります?」
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⏰:08/04/03 12:57 📱:SH903i 🆔:RM1EQ/SI


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