よすが
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#392 [蜜月◆oycAM.aIfI]
昔から好きだったレモンキャンディ。どれでもいい訳じゃなくて、あたしは袋に特徴のある顔をした大きなレモンが描かれたものが一番好きなのだ。
ほっとした。
サトルがついていてくれるならどんな状況でも大丈夫だと思える。
あたしはサトルに謝らなければいけないことがあったのを思い出した。
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:08/05/26 01:42
:SH903i
:190zu.A6
#393 [蜜月◆oycAM.aIfI]
「サトル、あたし……忘れててごめんね」
手にレモンキャンディを握りしめたままあたしはサトルの瞳を見つめた。
あたしは物心つく前から同じ時間を過ごした友達を記憶から消していたのだ。
あたしがサトルの立場なら……ショックを受けるに違いない。
「思い出したんだ?」
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:08/05/26 01:44
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#394 [蜜月◆oycAM.aIfI]
「思い出した。……ずっと近くにいてくれたのに、あたし……本当にごめん」
あたしは頭を下げた。
どうしてサトルは自分のことを忘れてしまったあたしの近くにいてくれたのかはわからない。
でも十年もそばにいてくれたのにちっとも思い出してあげられなかったことが申し訳無かった。
「いいんだ、僕のことは。ユキが笑っててくれたら、それでいいんだ」
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:08/05/26 01:45
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#395 [蜜月◆oycAM.aIfI]
そう言いながらあたしの顔を上げさせたサトルは、やっぱり笑顔だった。
いつもの笑顔。まぶしく輝く、とびっきりの笑顔。
「飴、食べなよ」
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:08/05/26 01:46
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#396 [蜜月◆oycAM.aIfI]
優しく促されて、あたしはコクリと頷くと包みを破ってレモンキャンディを口に含ませた。
舌の上で転がすと、レモンの酸味と飴の甘味が口いっぱいに広がる。
口の奥の方がキュッと縮こまる感じがした。これが大好きなのだ。
サトルが穏やかな表情で見守ってくれていたので、あたしは小さく笑い声を零してしまった。
「おいしいよ」
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:08/05/26 01:47
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#397 [蜜月◆oycAM.aIfI]
「ほんとに好きだねぇ。持ってきてよかった!」
へへ、と笑ったサトルにあたしは心の底から感謝した。口では言い表せないくらいだった。
「ありがと、サトル!」
と、気持ちが抑え切れずにあたしは自然とサトルの体に抱きついていた。
サトルは驚いたような短い声をあげたけれど、嫌がることもなくあたしの肩をポンポンと優しく叩いてくれる。
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:08/05/26 01:47
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#398 [蜜月◆oycAM.aIfI]
しばらくそのままの状態であたしたちは抱き合っていた。
あたしはサトルに恋愛感情を持ったことはないし、この先もないと思う。それはサトルの方でも同じだろう。
だからといってサトルに男としての魅力がない訳ではなくて、むしろサトルはモテる方なんだと思うんだけど、今やあたしにとってサトルはほとんど家族みたいなものなのだ。
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:08/05/26 01:48
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#399 [蜜月◆oycAM.aIfI]
だからこうやって抱き合っていてもあたしは安心しか感じていなかった。
今の状況はあたしには謎だらけだけど、サトルがいるからパニックにならずにすんでいるのだ。
あたしは気持ちが落ち着くとサトルから体を離してこう切り出した。
「あたしたち、どうしてここにいるの? サトルが勝手に入ったんじゃないよねぇ?」
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:08/05/26 01:49
:SH903i
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#400 [蜜月◆oycAM.aIfI]
あたしは出来るだけ重くならないようにサラっと聞いたつもりだったけど、少し声が震えてしまったかもしれない。
「うーん……」
サトルは何か考えているように視線を漂わせると、急に立ち上がってこう宣言した。
「自分の目で見た方がいい!」
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:08/05/26 01:49
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#401 [蜜月◆oycAM.aIfI]
自信満々に言い切るサトルを、あたしは布団の上からぽかんと見上げていた。
「体は? まだ辛い?」
体を屈めたサトルの手の平が再びあたしの額を覆う。やっぱり冷たくて気持ちいい。
「もう大丈夫だけど……見るって何を?」
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:08/05/26 01:50
:SH903i
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