よすが
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#345 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
冷たい北風があたしの頬を撫でる。頭から流れていた血は止まったけれど、涙と混じって顔中にこびりついていた。
脇腹と左腕が激しい痛みとともに熱を帯びて痺れている。
けれどそんな体の状態に反してあたしの気持ちは晴々としていた。
たった一つの悲しみを除いては。

「ねぇ……ハナ」
.

⏰:08/05/16 03:36 📱:SH903i 🆔:kSaLjsmM


#346 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
「なあに?」

「一緒に……帰れない……かな? ……このまま……逃げられないかな……?」

声を出すのも辛いけれど、どうしてもハナを置き去りにしたくなかった。
あたしの言葉を聞いたハナは悲しげに目を伏せて黙り込んでしまった。
.

⏰:08/05/16 03:37 📱:SH903i 🆔:kSaLjsmM


#347 [蜜月◆oycAM.aIfI]


>>344
コピペミスです
レス頭の

「ハナ……ありがと……」

↑この部分スルーして下さい(;´д`)

⏰:08/05/16 04:35 📱:SH903i 🆔:kSaLjsmM


#348 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
「……ハナは……帰りたくない……?」

弾かれたように彼女はブンブンと首を横に振る。

「じゃ……帰ろう? ……一緒に……お父さんと……お母さんのとこに……」

俯いたハナの目に迷いが浮かぶ。けれどすぐには頷いてくれなかった。
.

⏰:08/05/16 23:12 📱:SH903i 🆔:kSaLjsmM


#349 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
下から見上げたハナの頭の向こうに広がる空は、オレンジと紺色が混じり合ってところどころ紫色を滲ませていた。
あたしはどんどん増してくる痛みに耐えながら、ハナの答えを待つ。

沈黙が寒さを募らせる。
あたしが口を開こうとした時、一瞬早くハナが言葉を発した。

「あたし帰らない」
.

⏰:08/05/16 23:12 📱:SH903i 🆔:kSaLjsmM


#350 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
ハナの苦しげな表情があたしにのしかかる。
頭の中に疑問が渦巻いた。
あたしはそれを解くために重い口を開く。

「……どうして……ねぇ? ……今なら……帰れる……のに……ハナ……お父さんと……お母さん……安心……させたいんでしょ……?」

「あの人が……」

――あの人?
.

⏰:08/05/16 23:13 📱:SH903i 🆔:kSaLjsmM


#351 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
「あたしを必要としてるから」

ハナのいうあの人、それはあの男のこととしか考えられない。
必要としてる? ただ殴ったり蹴ったりするだけじゃないの?

依然として苦しげな表情をしたハナの向こうの空はオレンジ色を失いつつある。
あたしが険しい顔をしていたからか、ハナは言葉を続けた。

「うちの家族は……幸せだよね? ユキも幸せだったよね?」
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⏰:08/05/16 23:14 📱:SH903i 🆔:kSaLjsmM


#352 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
ハナが何を言いたいのか解らず、あたしは戸惑いを隠せなかった。何も言えずにハナの顔を見つめる。

すると、ハナはふっと表情を柔らげてあたしに微笑みかけた。

「あたしは……幸せだって思い込んでただけみたい。ユキとかお父さんお母さんを嫌いなんじゃないよ、大好きなんだけど……大好きだから……」
.

⏰:08/05/16 23:15 📱:SH903i 🆔:kSaLjsmM


#353 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
微笑んだまま、ハナの目に涙が溢れ出す。一筋流れた涙が、ポツリ、あたしの頬を濡らした。

「……ハナ……?」

「辛かったの。お父さんとお母さんがユキを可愛がるのも。ユキがお父さんとお母さんに甘えるのも。あたしには無かったから」
.

⏰:08/05/17 23:05 📱:SH903i 🆔:r2FaV5hA


#354 [蜜月◆oycAM.aIfI]
 
ハナの顔にはさっきまでと同じ微笑みが浮かんでいたけれど、そこには苦しみが混じって見えた。
優しい顔。だけど、恐ろしくもある。

ハナにそんな苦しみがあったなんて、考えもしなかった。
あたしは我が儘な子どもだったと思う。父と母はいつもそれを許してくれた。
.

⏰:08/05/17 23:06 📱:SH903i 🆔:r2FaV5hA


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